潜入
倉庫の影に隠れるボッサン、ユオ、モリモリ。
正面には、貨物船“ジェニー”が停泊している。
人影は無し。
「どうするの?」
「行くか!」
「行くんスか?」
「行かないの?」
「行くだろ!」
「行くよね」
「行きたい?」
「行きたくないけど」
「行きたくないけど?」
「行くしかない!」
「行かなきゃ!」
「よし!行くぞ!」
「吉幾三?」
「違う!」
「じゃあ千昌男?」
「ふざけるな!…鳥羽一郎だ」
「誰それ?」
「知らんのか」
「知らないよ」
「知っとけ!いくぞ!」
闇に紛れて貨物船に近づく3人。
船に掛かる橋をゆっくり渡り乗りこむ。
甲板から船内へ入る。
銃を抜く。
「何処にいる?」
奥に進んで行くと、ドアが開いている部屋がある。中は暗い。ボッサン、ユオ、モリモリの順に入る。
しんがりのモリモリが
「ひぇっ!」
「しーっ!静かに!」
「背中をつつかれた。」
「なに?」
蛍光灯がパチパチッと点いた。
いつの間にかAK-47を持った3人の部下に囲まれていた。
モリモリは、もう1人の部下に銃を突きつけられていた。
3人の部下の後ろにデブがいる。RJだ!
「残念だったな。俺を捕まえられなくて」
ボッサンたちは銃を取り上げられてホールドアップ。
ボッサンはRJを睨み付けて言った。
「お前を絶対捕まえてやる!」
「ま~た始まった。この状況でよくそんな事が言えるな。お前らの処分は香港に着いたら考える。それまで下の倉庫にぶち込んどけ!」
ボッサンたちは手錠を掛けられて、倉庫に入れられた。
「大人しくしてろよ」
ドアを閉めて鍵を掛ける。
遠ざかって行く足音。
ユオはボッサンに聞いた。
「どうする?」
ボッサンは頭を抱えて言った。
「最悪だ!」
モリモリは腹をさすって言った。
「腹減った‥。」
薄暗い倉庫の中はヒンヤリとしていた。
と、その時
部屋の隅で何かが動いた!