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龍闘神戦記  作者: 無電冥路
9/17

終わってなかった………

 なんの反応もなく、砕け散ったパペットがただ消えていった。

「ふぅ………」

 軽く息を吐き、戦闘態勢を解除する。

 ついでに周囲の確認も行う。

 ……………うん、明らかに目立ってしまいましたね!その証拠に、こちらに向けられる視線が戦闘実習前と後とで完全に別物になってるよ。

 以前はどうみても格下扱の視線だったのだが、今現在こちらに向けられている視線は、信じられないといった驚愕、未知に対する恐怖、極僅ごくわずかに強者に対しての憧れなどが複雑に混じりあっているものだった。

 微妙な居心地なので少々なれない。というよりは苦手だなぁ、この空気は。

 さて、戦闘は終了した訳だからさっさとこのフィールドから出てしまいますか。

 外側に向かって歩き出す。

 足の先端が結界の外に出ようとして……

 ドン!

 見えない壁にぶつかった。

「……あれ?」

 戦闘が終了すればフィールドの結界は解かれているはずなので外に出られるはずなのに、何故出られない?

「あー、すまん宇野原。注意事項で言うのを忘れてたんだが、この魔法陣を造った者からのメッセージがあってな。何でも『祖式戦闘術』を使った場合は、もう一戦闘追加なんだそうだ。」

 へ?天魔爆雷弾あれ、使っちゃったからもう一戦闘、れ!と申されますか。

 しかも拒否出来なさそうな流れみたいだし。

 あ、結界の中央辺りにパペットがゆっくりと出てきたよ。

 今度は一体だけのようだ。一対一タイマンか。ならば、我流体術がりゅうたいじゅつでやってやるさ!





 あらためてパペットに向き合う。

 ………向き合ってパペットのレベルを探ってみて気付いたが、あれ、かなり強力だぞ。

 先程の三体と比べても、多分こっちの奴の方が上だ。恐らく俺と同じように、あの三体まとめて破壊できるくらいに。

 手加減は、無理だな。どう考えてもそんなことして勝てる相手ではなさそうだ。

 今度は左半身を前に、左手の甲を相手に向ける。右半身は左半身の後ろへ、右手は拳を握り腹部の辺りに構え、そして腰を少し落とし気味にする。これは祖式戦闘術の徒手空拳の基礎中の基礎の構え、鱗牙りんがの構えという。

 余談だが、左右が逆になると爪殻そうかくの構えと言われている。

 基礎の構えまでは同じ。だが、この後に続けて行う行動、あるいは攻撃は全くの別物である。

 先ずはパペットの出方を待つ。

 強さを探ってからある程度の予想はあった。

 俺のこの構えに対してパペットがとる行動は、有効な攻撃を繰り出しやすい構えをとるか、多少の不利を承知でより攻撃的な構えをとるか、

同じ構えをとるか、の三択だ。

 さて、どうしてくるか?






 時間にしてたった数秒後、選択肢は決定された。

 より攻撃的な構えをとって、ジリジリとゆっくりと横へと構えたまま、摺り足で移動を始めたと思った直後に距離を詰めてきた。

 さて、初めの攻撃は、と。下からの右手刀による斬り上げの斬撃か!

 ならこちらの対処は、斬撃を下げた左の甲で受け流す。たが、パペットの姿勢を崩すには至らない。

 続けて突き出された左の手刀。

 受け流した際に反転し、前に向いた右足でそれを蹴り上げる。

 思い切りやったためか、パペットは態勢を大きく崩したようだ。

 この隙は逃さん。

 追撃をしようとしたが

「!?」

 瞬間に感じた悪寒が咄嗟に追撃を中止、防御態勢維持。そのままバックステップ。

 直後、直前にいた場所の下から強烈な右足の蹴り上げ。

 危なかった。

 俺の戦闘能力のコピーならば、あれくらいは当然か。

 距離を開けたため仕切り直しとなったが、一つはっきりとした。

 中途半端な攻撃は間違いなく命取りだ。自分の戦闘能力ならばまずそうなるだろう。

 ましてや相手は自分の能力にある程度の強化が施された魔術戦闘人形デュエルパペット

 「次できめるか……」

 誰にでもなく、ぽつりと呟いた。



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