決着
三体同時攻撃か。それなら!
正面から突っ込んでくるパペットにこちらからも距離を詰める。
他の二体より先に正面のパペットと近接戦闘の間合いに入る。入った直後に攻撃を仕掛ける。
「祖式格闘術!妨動技!気針経殺!!」
気針経殺。闘気を針の形にして、相手の肘や膝といった関節に刺し、その相手を麻痺させ、しばらくの間行動不能にする戦闘補助の技だ。
パペットにも同様に効果があったようで動けなくなっているようだ。
それを回し蹴りで後方より迫る二体の方へ蹴飛ばす。蹴飛ばされたパペットはこちらの狙い通り二体を巻き込み行動阻害の障害物となった。
この隙に距離を開けて、魔力を練り上げる。
「魔力連撃攻弾!!!」
練り上げた魔力の弾丸が高速で連射される。
だが、それよりも早くパペット達は体勢を整え回避されてしまった。
さすがは俺の能力のコピーってとこか。楽に勝たせてはくれないか。
パペット達は距離を空けたまま先程と同じ陣形で再度俺を囲んだ。
こちらも構えは崩していない。
三体の魔力が練られていくのが感じられると今度は三方向からの魔術攻撃を仕掛けてきました。
しかも魔力攻弾ではなく魔力連撃攻弾の方でやってきました。
「ちっ!!」
舌打ちをしつつ、両方の掌に魔力と闘気を集中させ、魔力の弾丸を弾いたり叩き落とした。弾いたりできないのは回避する。無効化された魔力の弾丸はその形状が霧のようになっていく。
弾きながら、ある考えがうかぶ。この状況、利用出来るのでは?
早速実行してみるか。
魔力を練りつつ同時に闘気もコントロールする。
この戦闘実習を終わらせるための技を放つために。
先ずは魔力言語を。
「水の精霊達よ!水は空に混じりて舞いて霧とならん!霧は触れず、しかし望めば鎖とならん!」
次に発動呪言で魔術トラップの完成だ。
「水霊霧鎖縛陣!!!」
右手を下に向け唱えた発動呪言と共に大量の濃霧が戦闘舞台を包み込む。その中に三体のパペット達の位置を確認。
「捕縛!」
声に反応して霧が密集し幾つもの鎖が形成され、パペット達は霧の鎖に捕縛される。
「集獄!!!」
声と共に右手を引く。その結果、脱け出そうともがいていたパペット達は俺の側に集められた。
さて、終わらせるとしますか。
水霊霧鎖縛陣は現在の俺でも脱け出すには最低でも十秒はかかる。それくらいの魔力を注ぎ込んで使用したのだ。止めを刺すには充分な時間だ。
闘気を練るのと同時に今度は二つの属性の魔力も練り上げる。
これから使う技は、それが必要な技である。 それ故に扱う者は多くない。だが、その威力はそれを補って余りあるほどのものでもある。
闘気も魔力も準備は整った。この間僅か三秒。
俺はパペット達の真上へと高く跳び上がった。
「祖式格闘術!双属拳技!天魔爆雷弾!!!!!!」
練り上げた闘気と魔力を同時に解放し、身に纏わせ、未だ動けないパペット達へと突っ込んだ!!
轟音と共に強力過ぎる威力はパペット達を粉砕し戦闘不能へと追いやった。その際の衝撃も凄まじいものだったらしく、魔法陣こそ壊れなかったが周囲が地震でもあったように揺れたようだ。
「………こりゃ、少しやり過ぎた、かな…?」
パペット達の状態と校庭の様子を見て思わず呟くのでした。