表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

気になる彼

作者: 空野 鶫

初めて彼に会ったのは、大学1年の冬だった。

春休みを利用したボランティアに参加するための研修で彼は隣の班のリーダーだった。

彼は、ボランティア2年目の先輩だった。

彼は私の班のリーダーと仲がよく、研修中は2つの班合同のようなものだった。

同じ班の子が「かっこいい!! 彼女いるんですか?」とか、グイグイいっていたが、私はさほど気にとめることもなかった。

それから2度研修が有ったが、挨拶をする程度の仲だった。

研修が終わる頃には、彼から真面目だという評価をもらっているなんて思ってもみなかった。


春休み、ボランティアが始まったとき私は彼とペアを組まされた。

彼は実際、仕事ができ、いい勉強になった。ONとOFFがはっきりして公私混同することもなく、嫌みにならない程度に気遣いもしていた。

友達の多かった彼は、少し引っ込み思案だった私をみんなの中へ引っ張っていってくれた。

一人、不安に思うとフォローしてくれた。

私は自分でも気付かないうちに彼に惹かれていった。


私は知った。

彼に高校生の時から付き合っている彼女がいることを。

遠距離恋愛でも仲がいいらしい。

私は自分の気持ちを隠した。

彼にしてもらったことを考えれば、彼を困らせることはできない。

想いを伝えることも、距離を置くことも、できない。

ただ想いを隠して、一緒に仕事をした。

一度、彼が「俺に彼女がいるかとか、聞かないの?」と言われたことがあった。

何故彼がそんなことを言ったのかわからないが、いるのを知っていて聞けるわけがない。

想いを押しとどめることはしても、自分から傷つくことはしない。

私はずるい人間なんだ。


初めて会ってから2年が経った。いろいろなことがあった。彼とは未だに仲のいい先輩後輩だ。

彼に誘われるまま、ボランティアを続けている。

その間に、私は何人かに告白された。すべて断ったけど。告白されるたびに彼の顔が浮かぶ。

彼の思いを隠すことができているのなら、その程度の想いだったのではないかと思う私もいる。

私は仲のよい友達が増えた。彼のおかげと言っても過言ではないと思っている。

そして、あと2ヶ月もすれば、彼は卒業する。

そんなとき、男友達づてに聞いた。

卒業間際になって、彼女に振られたらしい。

別れたことを友達の方が先に知ったことにちょと嫉妬してる。男同士の話もあるだろうから嫉妬しても仕方ないとは思うが…

伝えてきた友達は、私にどうして欲しかったのだろう。

私は、どうすればいい?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ