ドキッ! 男だらけのバスケットボール大会☆ポロリもあるよ!
「ククク。やはり貴様とは決着をつけねばならぬようだな」「フハハハハ。笑止」
男たちはにらみ合う。暗闘もしくは直接の殺し合いも辞さない火魔将と風魔将の組み合わせである。
片方の胸を露出したトーガを纏った炎魔将の炎は既に赤から青、青から白へと変化しつつある。
その熱は一点集中され、火魔将の周囲の物品が燃えることなく溶けて消えていく。
片や腰にゆったりとした布を巻いた風魔将。透けた身体に暴風を纏ったその姿。吹き荒れる風は渦を巻き、彼の前で凝縮され、周囲の物品は沸騰しながら氷ついていく。
そして物凄い勢いでミスリル銀の小さな球を打ち合う。卓球であった。
火魔将は何処からかスプーンを取り出し。風魔将も小さなしゃもじを取り出し。二人の間を行きかう弾丸は亜音速に達しつつある。
貴様ら物を持てないという設定はどうした。
火魔将はペンを持つようにスプーンを握り、対する風魔将はしゃもじを手に悠然と構える。
「どうしたッ 」「ハハハハハ」
何をやっているのですか魔将二名。一人まだ頼りないのですから仕事してください。
というか、直接お互いを撃っているのだがそれは卓球ではない。殺し合いだ。
風魔将が放った一撃は鋭い風と共に射出され、やがて風の速度を超えて銀色の刃となって炎魔将の眉間を狙う。その一撃を炎魔将は顔面にかざしたスプーンで弾く。ナニで出来ている。
強力なスピンのかかった弾丸は急激にスピードを落として二人の間の高価な机の上でガリガリと発火と共に回転。そして急激に跳ねて風魔将へ。
「ククク! 愉快! 」「フハハ! 痛快! 」怪物の楽園の死闘は続くが別にこの話に王子は出てこない。彼らの魔王様は喪女だし。
魔族の装束は自らの身体の一部である。要するにと言うかなんというか。普段装備していないものを無理やり生み出した所為で彼らのトーガとふんど……腰巻は無くなっていた。
股間もろだしで『どちらが温泉の暇つぶし最強なのかを決定する』という無駄な暗闘を行っている二人の魔将だが貴様らは温泉に入れない。
ガンガン飛び交う真銀の弾丸にブンブン振りまわるきん……そのまぁデカいアレを察してください。
炎に包まれ輝く筋肉質な炎魔将の尻。暴風と共に激しく回転する風魔将のアレ。
本編のファンの方がいたら憤死する原作レイプである。でも描いてる作者は同じだ。自爆テロごめんなさい。
さて。出撃を控えている火風魔将二人と比べて土水の義親子は実に忙しく仕事していた。
特に陣地構築に飛び回る土の激務は尋常ではない。疲れを知らぬ体質故に部下に休憩を命じることを何度も忘れかけてしまうほどだ。
そういう意味では人間の義娘の存在は兵には有難い。
気丈な彼女とは言え、激務に就けば顔色も少々変わる。
そんな二人の労をねぎらい、血袋の男たちは普段世話になっている二人の為に親善試合を始めることを魔将二人に嘆願。認可されたのである。
『直訴』と書いた書状を受け取り内容を読みポロリと眼球をこぼして感動するゾンビマスター。
どうせ待遇改善とかそういう内容だろうと思ったら由紀子の待遇改善策は完璧に近く、そのお礼も兼ねていた。
『相手の積極的同意を得ず女性、同性を犯そうとすると永続的に勃起不全になる呪祈祷解除』だけはゾンビマスターも許可しなかったが。
さて。半裸の血袋たちはボールを手ににらみ合う。
「行くぞぉおおおおおおおおおおおっっ」「おうぅう!!!! 」
彼らはボールを掴んだまま殴り合い、蹴り合い。ってそれアメフトッ?!
「行かせるかぁぁぁ」腰巻に手をかけて妨害する選手。尻が出ている。
「水魔将様love!!!!! 」そういって駆け出した選手は腰巻を脱ぎ捨てて走る。本来なら魔王及び水魔将への不敬である。
ちなみに、当の水魔将は半裸で殴り合う捕虜たちを見て即座に赤十字軍を呼び出した。
昭和の娘に半裸の男たちのもみ合いは少々どころかかなり刺激が強い。力道山の試合は見ていたが。
「うおりゃあああぁぁ」鍛えぬいた男がボールを手にジャンプし、全力でゴールを守る男にボールをぶつける。ぶつけてどうする。それはドッジボールだ。
負けじとゴールを守る男は強烈なヤクザキックでそのボールを弾く。
今、腰巻からちょっとだけモノが見えた。ナニがと聞くな。
「ふおおおおっ」頭を抱えてポーズを決める半裸の男はボールを殴り飛ばして走る。興奮してまたポージング。
「これは」「うむ」義親子はつぶやく。
「ルールを把握していないな」「ですね」
魔法が使えない故に、血袋達の試合は更に過激に展開していた。
試合が終わった後、水魔将は血袋達の為に自らの給金を投じてズボンとシャツ、女性にはスカートと下着一式とその替えを購入。
魔軍に所属するものは捕虜を含めて洗濯を行う専門業者の入札を行い、風呂場の利用を解禁した。
思いもよらぬ水魔将の計らいに血袋たちの人気は高まる一方であった。