表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/103

水魔将様ご乱心?!

「本当にキミたちには感謝しているのよ♪ 」


 いつもの毅然とした。否。ちょっと怖い。否残虐な女であるはずの上司がオカシイ。

魔王軍第一軍団海軍提督ゾンビマスターこと芳一と魔王軍第一軍団魔王親衛隊黒騎士団長デュラハンこと勇征はお互いの瞳を盗み見あった。

新鮮な血をなみなみと湛えるはずの盃には死族である二人には有害な聖なる水。

水魔将の持つ魔剣。異世界にて旅しているという彼らが仕える魔王の『オリジナル』に付き添ったという剣士の武器『霧雨』が生み出した水だ。


「『水の絆は血より濃い』のよ。知ってた? 」


 きゃいきゃいとはしゃぐ水魔将に二人は思った。

「「ダメだ。水魔将様がおかしい」」と。

人間には良い効果を生み出す花の香りと清流の匂いは死族の二人にはあまり相性が良くない。

 そもそも二人は水魔将の部屋に招かれたことが基本ない。上司の私生活は二人ともほとんど知らない。

視線を無言で交し合う二人。テンションの高い姉に戸惑う妹、副官ニンフ。

「お姉さま。二人は『霧雨』の水は飲めません」「あっ?! 」

ごめんごめんと舌をだしてふざける水魔将に芳一と勇征の二人は本気で水魔将の正気を疑い始めている。

実はこっちが素なのだがそれを知る者は由紀子や妹、魔王その人くらいであるので仕方ない。


「ホントだよ? キミたちがいるから第一軍団は動いているんだからッ 」「……」「……」


 うん。確実にウンディーネ様はおかしい。

芳一と勇征は真剣にウンディーネの頭を心配しだした。

水で構成されたウンディーネには当然脳みそを含む内臓はないのだが。

「二人とも。私の頭を疑っている? 」ぶうと頬を膨らませる水魔将様。

二人から見ればキャラが崩壊している。真面目に別の意味で怖い。

 水魔将は魔王軍で最も残虐にして怖ろしい女とされる。

占領地の治世も恐怖政治が基本だ。ある程度人情を理解する元人間の芳一や勇征とは根本的に違う。

最も、極めて公正かつ治安が良いことも有名だが。


「キューギも普及して、海軍では『ばれー』だったっけ? 『排球』とかが人気だそうだし」


 その件はゾンビマスターも絡んでいるので知っている。

『トーヨーノマジョ』の強さを由紀子に延々と解説されたからだが。

「『てにす』とか言うのはちょっと失敗だったけど」ため息をつく水魔将と魔王親衛隊を率いる勇征。

「アレは危険すぎましたね」「まったくよ。親衛隊をもって訓練どころか大損害」「やっぱり投石器カタパルトの近距離狙撃訓練は危険すぎました」何をやった?! それの何処がテニス?!


 青々とした植物が茂る水魔将の私室に第一軍団首脳陣のため息が漏れた。

一部死んでいる死族なのでわざわざため息をするのは一苦労である。特に首が肺に繋がっていない無い男には。


「だから、今日は呑もう♪ 呑もう♪ 」水魔将には毒も病気も効かない。酒もだ。

「水魔将様がおかしい」「出撃命令を覆すためには我らの死した命を用いて直談判しか」

本気で心配する直属の部下たちを尻目にはしゃぐ水魔将。


 神と呼ばれるがその実は貧弱な種族であるニンフ。

女性だけでどうして増えているのか謎の種族であるニンフ。

彼女たちには予言の力がある。

はしゃぐ水魔将に戸惑う部下たち。夜は更けていく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ