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『 それでは終業式を始めます。 一同礼・・・ 』


 私達は今体育館に集まって檀上を見上げている。


 一学期も今日で終わり、明日からは夏休みである。

 学期始めに私が危惧していたことは杞憂の何ものでもなかった。


 そうだよ……、授業で先生が生徒を当てる場合は普通出席番号だよね!「今日は○日だから・・・○番!」て感じで・・・。

 先生によっては廊下側から順番とかあるけど、どっちにしろ名前で当てることはそうそうないということを失念していた。

 まぁ、同じ名前の人が当てられれば、ほぼ確実に次は私だがな!


 困るとしたらLHRロングホームルームぐらいで、役員決めたりとか、担任うちの先生が生徒を呼ぶときだ。


 そう、困るのはLHRぐらいなんだよ!!


 何故ならクラスメイトは初対面の人も皆、私の事を最初から「やさ姫」もしくは「やさ姫さん」と呼び、「佐藤さん」とは呼ばなかったからだ。

 部活に入っていない私はクラスメイト以外の人と関わる事はそうそうないから、普通にしていればなんら問題はなく、クラスメイトも区別して呼びやすかったというわけだ。

 ちなみに同じ名前の人は、「佐藤」「佐藤君」親しい人からは「ゆうき」と呼ばれている。

 羨ましいぜこの野郎・・・


 私がクラスメイトに最初から「やさ姫」と呼ばれるようになったのは、まなみが「けってーい」と叫んだ時間帯が悪かったからだ。

 あの時がちょうど朝のSHRショートホームルームが始まる5分前ぐらいだったらしく、(だから同じ名前の人も自分の席に座りに来てたわけで)クラスメイトはほぼ集まっていて注目を集めたのだ。

 そんな中の同じ名前の人とのあの会話・・・。

 その結果だ。


 ここまでこの呼び方が浸透しちゃったら、もう諦めて受け入れるしかないけどさ・・・こうなったのも同じ名前の人のせいだ!と思わずにはいられない。

 彼が冗談だったとしても、その呼び方を使わなかったらここまで「やさ姫」が定着しなかっただろうと思うから・・・。


 うん。 私の心の中の事だったとしても、ここまで彼を悪者にするのが間違ってるのはわかる。

 やつあたりだってわかってるけどさ、姫ってがらじゃないだもん、私・・・


 それになんでかは分からないけど、同じ名前の人の事を考えたりすると体が勝手に拒否反応を示す。

 ムカムカ、モヤモヤ・・・

 なんでだろうね? 去年は違うクラスだったし、中学は違う学校だったしで初対面なのに。

 おんなじ名前だから??


 『 それでは終業式を終わります。 一同、礼・・・ 』


 あ、終わった終わった。

 この学校の校長先生の挨拶は短い。「長いのはみなさん嫌でしょうから」と簡潔に話してくれる。

 中学の時は逆で、校長の話が長すぎて倒れた子とかいたのを思えば、すごい助かるよね!

 校歌斉唱はとっくに終わった。時々思うのだけど、あれって真面目に歌ってる人ってどうのくらいいるんだろうね?

 私はもちろん歌ったよ。小声で!!


 ・・・合唱祭でもない限り、普通に歌うのって恥ずかしいんだよ・・・周りで歌ってる人が皆無だからさ・・・

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