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東方鏡霊記  作者: 雪代
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東方鏡霊祭EX一話 ああ、ごめん。それボクだ。

あらすじがあらすじになっていない。

まあ鏡蛟紀読んだ人なら何となく分かるんじゃないだろうか?


ちなみに一番最初の一文は掲載サイトをあっちこっちと変える雪代自身のメタです。



 その日、博麗霊夢は朝から神社の中で湯飲みを傾けつつ、ゆったりとした時間を過ごしていた。

「平和ねえ……」

 朝からこんな風にゆっくりするのは何時いらいだろうか。

「すまねえってんですよ……」

 異変の片棒を担いでいた霊が苦笑いしながら謝罪する。

「もう終ったことでしょ、何時までも気にしなくてもいいw……」

 ドオオオオォォォォォォン

「「……………………」」

 突然幻想郷中に響く爆音。博麗大結界が一瞬ぶれたほどの魔力の奔流。

「…………私の平和な時間が」

「…………まあ、私も手伝ってやるってんですよ」

 同情するような表情で霊が私の肩をポンポンと叩いた。



 その日、霧雨魔理沙はいつものように自宅で魔法の触媒を作成していた。

 魔法の触媒と言っても、魔法の森で見つけたキノコを煮たり焼いたり、干したりと色々試しているだけなのだが。

「はは……今日のはちょっと自身あるぜ」

 すでに試行錯誤すること二十以上。けれど今回はどうやら上手く行っているようだ。

「爆発はしないみたいだぜ」

 どうやら爆破の性質を帯びたキノコらしく、すでに十回以上小さな爆発を起している。

 と言ってもまあ気にするほどのものでも無かった……いつものことだ。

 魔理沙の魔法はこうした幾百、幾千もの試行錯誤の先に生まれていくのだから。

 失敗を一々悔やんでいる暇など無い。時間はいくらあっても足りないのに、人間と言う存在の時間は妖怪のそれに比べ限られているのだから。

「おーし……そろそろ頃合だろ……」

 と、その時。

 ドオオオオォォォォォォン

「……………………」

 幻想郷中を揺るがす爆音と振動、不幸にもその振動でキノコを煮詰めていた鍋が倒れ……。

 ボオォォォォン

 触媒となるキノコが爆発した。

「………………おい」

 霧雨魔理沙は失敗を悔やまない。反省はするが、くよくよと悩み、悔やんでいる間にも時間が過ぎていくことを知っているからだ。その一秒、一秒が親友でありライバルでもあるあの巫女との差を開かせていくことを理解している。だから後悔はしない……のだが。

「…………許さねえ」

 だからって、このまま泣き寝入りするのを良しとするほど、人が出来ていなかった。

 爆発せず、無事完成した触媒をスカートのポケットに詰め込み……そして外へ飛び出し箒に跨った。






 EXTRA 鏡の国のアリス





「足し算はできますわね?」

 と、白の女王様は尋ねました。

「1たす1たす1たす1たす1たす1たす1たす1たす1たす1はいくつかしら?」

「分かりません」

 アリスは答えました。

「数えそこないました」

「足し算はできないんだね」

 赤の女王様が話をさえぎりました。

「引き算はどうなんだろね? 8ひく9は?」

「8から9を引くなんて、できっこありませんよ」

 アリスはすぐに答えました。

「だけど――」

「引き算もできない」

 白の女王様がおっしゃいました。

「割り算はできるかしら? パンわるナイフ――その答えは?」

「ええっと――」

 アリスが答えかけましたが、赤の女王様がわりこみました。

「そりゃ、トーストに決まってるさ。引き算をもういっぺんやってごらん。犬ひく骨。残ったのは?」

 アリスはじっくりと考えました。

「もちろん、骨は残りません。でも、骨を取り上げたら―犬だって残りません。度を失ってかみついてくるでしょうから――それで、わたしも残りません!」

「それじゃ、あんたはなんにも残らないって思うのかい?」

 赤の女王様がおっしゃいました。

「それで、あってると思います」

「いつもながら、あんた間違ってるね」

 赤の女王様がおっしゃいました。

「犬の度が残ってるじゃないか」

「だって、わたしはそんな――」

「そら、見てごらんよ」

 赤の女王様は叫びました。

「犬は度を失ったわけだね、ええ?」

「そうかもしれませんね」

 アリスは慎重に答えました。

「犬がいっちまったんなら、犬の度が残ってるじゃないか!」

 と、赤の女王様は勝ちほこって叫びたてました。








「ところで縁?」

「どうかした梗?」

「一体何の情報貼り付けて構成してくれたわけ?」

「え? 取り合えず梗の情報は片っ端から」

「ピンポイントに情報が消滅して、気づいたら種族が龍神になってるんだけど」

「わぁ…………」

「いや、わぁ、じゃなくてさ。人化が解けたりしたら大騒ぎなんだけど」

「じゃあ解かなければいいよ」

「……………………」

「……………………」

「……………………」

「困ったね」

「全くだよ」

たまに影響が出てる?」

「いや、タマちゃんをもう一回式にして龍神の神力でマッチポンプ気味に供給してるから、問題ないはずだよ」

「ところでさ、梗」

「なに?」

「ボクも何故か鏡神になってるんだけど、しかも梗が昔なってたみたいな人間レベルのじゃなくて幻想郷でも飛びぬけて強力な神に」

「それはあれだね、縁とボクが同一存在だと見られてるから、神力が共有されてるんでしょ」

「ボクも人間外れたんだけど……少なくとも寿命無くなったよね」

「それ良いことなんじゃない?」

「でもこれ以上成長しないってことだよ? 背が伸びないんだよ?」

「でも太らないよ?」

「う”…………それは捨てがたい、女の子としては」

「縁もやっぱり女の子なんだね」

「キミは…………いや、もういいや。その辺も含めて親として教育してあげるよ……今度はずっと一緒だから」

「…………うん」

「ところでその喋り方はボクと被るから止めない?」

「でもずっとこの喋り方だったし……今更ねえ」

「じゃあせめて一人称だけでも変えない?」

「うーん……じゃあ」












「多分……こっちね」

 溢れ出す神力を感じ取りつつ神社の本殿へと入る。

「っていうか…………ここって」

「…………まあ、想像にかたくねえですね」

「だな」

 飛び出したはいいが、あても無く神社にやってきた魔理沙も合流して三人で再び本殿の鏡の中へと入っていく。

 すると……。

「いきなり?」

 以前入った時に梗と出合った場所……そこに出る。

 そして。

「あ……やっぱ来ちゃったかあ」

「さっきのって梗の仕業?」

 また異変を起すのか、と言う可能性に危機感を覚えつつ尋ねると梗が苦笑いして答える。

「うーん、()も縁も以前の体と違い過ぎて、ちょっと慣れるために悪戦苦闘してたんだよ……」

「…………()?」

 たしか梗は自分のことを「ボク」と言っていたはずだぜ、と魔理沙が呟く。

 偽物か? と霊夢がそんなことを考えていると。

「ああ、一人称が被って口調も同じじゃ分かりにくいし(主に読者が)縁が一人称だけでも変えろって言うから」

「なんでそんな女の子みたいな…………」

「霊夢? 何言ってやがりますか?」

 霊夢の言葉に、梗と霊が同時に首を傾げて…………。


「私は女だよ?」

「梗様は女性だってんですよ?」


 疑問符を浮かべつつ、そう言った。


「…………………………え?」

「…………………………は?」

 何を言っているのか理解できず霊夢と魔理沙が呆ける。

「何? 霊夢、十年以上ずっと私と朝から夜まで顔合わせてて気づかなかったの?」

「……え? あれ? …………え!?」

「んあ……ぁ……えぇ!? え、あ……え?」

 二人とも驚愕し過ぎでしょ。別に隠してたわけじゃないし、気づきなよ。

「そもそも私、自分が男だなんて一回も言ってないよ?」

「いや、そうだけど」

「そう言われるとそうだな」

 取り合えず魔理沙は立ち直ったらしいけど、霊夢はまだ動揺したままだった。

「ねえ、霊夢」

「え……? あ、な、何よ?」

「ボクが女だったら何か困るの?」

 そう言われ、霊夢が少し考え。

「そう言われると、そうね」

 霊夢は自分で気づかせるように説得するのが効果的……と。

 伊達に十年も霊夢の親代わりやってないよ。

「だいたいさ……縁の映し身で、咲夜の同位体なんだから、女に決まってるじゃないか」

 生まれてからずっと一緒にいた霊夢がこの調子だと、他にも勘違いしてる人多そうだなあ。

 などと考えた。



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