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ゴブリンキング

 玉座に座るそれは、まさしく王だった。

 全身から覇気を垂れ流し、無謀な侵入者を見下ろす。


 やばいな。かなりマズい。キングは明らかに俺より格上だ。レベル1個分どころじゃないじゃないか。誰だダンジョン攻略サイトに嘘書いたやつ。

 逃げるか?玉座の間の扉は開いてる。俺が後ろに注意を向けた瞬間、キングが俺の前にいた。おかしい。速すぎる。

 キングがその両腕を振り上げたのを見て、俺は即座に真横に跳んだ。直後両腕が振り下ろされる。風圧だけで俺の髪がなびく。あれに当たったら間違いなく即死だ。いや、片腕当たっただけでも死ぬかもしれない。

 焦りと恐怖が頭を支配する。キングが、扉を閉める。退路を絶たれた。絶望…してられない。


 死んでたまるかよ。ここからなんだ。右手に短剣を、左手にナイフを握りしめ、決意を新たにキングへと向かい立つ。


 一撃も喰らえない。かするだけでもマズいかもしれない。足の速さも互角だろう。ただキングの一撃は大振りだ。避けるだけなら出来るはずだ。


 キングがこちらに走ってくる。俺の前で立ち止まると右腕を振り上げる。そして振り下ろすその速度は両腕の時より速い。だが今回は避けるだけじゃない。前に向かって跳ぶとキングの股の下を通り過ぎざまに短剣で太ももを斬り付ける。

 キングの足から血が垂れる!よし、ダメージは通る!

 やられてばかりじゃない、こちらからも仕掛けてやる。血が出たことに驚き固まるキングの右足の腱を斬り付ける。皮は切れたが腱まで通った感じはしない。あと何回で切れる?出来れば片足の動きは封じたいんだ。

 キングが怒ったように両腕を振り回しながら向かってくる。

 だから攻撃が大振りなんだよ。両腕振り回してるせいで足も遅くなってる。またすれ違いざまに腱を斬り付ける。今度は確実に傷つけた!

 右足を狙われてることに気付いたのか、右足を後ろに庇いながら、腰を低くして待ちの態勢を取る。

 バカかお前。ゴブリンはやはりゴブリンか。キングの強みは足の速さと攻撃力だ。腕の振りなら俺のが速い。俺がキングの眼前まで行くと、思った通り腕を振り回してくる。俺はその両腕を避けながら斬り付ける。肘の辺りを何度も執拗に斬る。皮が切れれば肉に、肉が切れれば関節に、短剣とナイフを抉りこむ。

 何度繰り返したか、ついにキングの右腕の肘から先がちぎれ飛んだ。それを追うように左腕も飛んでいく。

 攻撃手段を奪った。こうなればキングとて何も出来まい。そう思った。


 油断だった。


 突然眼の色を変えたキングが俺の持つ短剣に噛みつく。速い。明らかに速くなってる。噛みつかれた俺の短剣がバキバキと音を立てて崩れ落ちる。

 一瞬呆然とした俺の胴体に、キングの右足の蹴りが入る。

 身体がぶっ飛んで壁に叩きつけられる。


「…ウッ!ゲホッ」


 死んではいない。即死じゃなかった。ただめちゃくちゃに腹と背中が痛い。意識が飛びそうだがそんな場合じゃない。俺が叩きつけられた壁から砂ぼこりが待っている。急いで【隠密】を発動すると、足元に落としていたナイフを拾い移動する。

 やはりというか、キングはこちらの位置を見失っていた。俺は陰に隠れて呼吸を整える。

 HPを見ると3しかない。転んだらワンチャン死ねる。ピンチだ。

 でもピンチはチャンスとも言う。呼吸を整えた俺は慎重に、慎重にキングの背後を取る。ヨダレを飛ばしながら俺を探している。汚えな。


 キングが完全に前を向いた瞬間、俺は【加速】を使う。効果は単純。三秒間AGIを5%上昇させるというもの。たいしたことのない、でも俺には必要なスキル。

 速度と物理攻撃力を増した俺は、キングの背中に張り付きその首を後ろにナイフを突き立てる。何度も何度も抉るように突き立てる。

 キングが暴れて俺は振り落とされそうになる。もし落とされたら間違いなく死ぬ。死に物狂いでくっつき、突き刺す。

 【加速】スキルが切れる度発動し直す。ナイフを突き立てる。何度も繰り返した。


 最後に立っていたのは俺だった。キングのでかい図体は消滅した。


 勝った。勝った、けど…これのどこが暗殺ビルドなんだよ。

 嘆く俺が足元を見ると、キングの魔石と一枚の布が落ちていた。レアドロップか、苦労した甲斐があった。と思い、布を拾おうと触れると。


【ピコン。ゴブリンキングストレンジを単独討伐しました】

【レアドロップが王のマントから覇王のマントへ変更されました】

【特殊JOBが解放されました】

【スキルを取得しました】


 と脳内に謎の声が響いてきた。

 もう、何から突っ込めばいい?


「いや、もう帰ろう…」


 思考を放棄した俺は帰路に着くことにした。


 あっ、そういや…。カバンをガサゴソ探ると出てきた、ポーション。

 どうやら相当焦ってたらしい。ともあれこれで、帰り道でコケて死ぬことはなくなった。


 帰った俺はボロボロの姿を養父母に見られめちゃくちゃ心配された。

一旦中断

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