二日目
さて今日は探索者二日目。ベテランは探索の間に休みを入れるらしいが、今の俺にそんな余裕は無い。毎日ダンジョン生活だ。
早速第一層を走り抜け第二層に降りると、平原ゴブリン狩りを始める。この辺AGI型ソロは有利だな。
しばらく狩るとピコンと音がしたのでステータス画面を開き、SPを振り分ける。
NAME:忍野 瞬
JOB:
LV:4
EXP:0
SP:0
HP:40
MP:40
STR:4
VIT:4
INT:4
MND:4
DEX:4(+5)
AGI:38(+3)
LUK:10
SKILLS:
隠密Ⅰ 探知Ⅰ
いつも通りAGIに振ったが、スキルも一つ取った、【探知】だ。名前通り周囲の情報を探知、取得することが出来る。
何故このスキルを取ったのか、これには理由がある。昨日は金曜日だったので気付かなかったが、ここは東京ダンジョン、休日は人が多いのだ!
多くのパーティーがゴブリン狩りをしているため、平原にたくさんいたはずのゴブリンがだいぶ少なくなっている。浅い階層というのもあって、休日しか活動しない探索者が多いのだろう。
俺もレベルが上がったし、いつまでも平原で狩り続けるわけにもいかないので、新しいスキルとともに要塞攻略に乗り出すことにしたのだ。
要塞周辺の末端ソルジャーを狩ったあと、要塞の周囲を囲む柵を見て回る。するとやはり視界の通りが悪い所の柵に綻びがあった。防具も身に着けてない俺なら通れる広さの穴を通り抜ける。
柵の内側にはたくさんのテントのような住居があり、真ん中には大通り、大通りの先には要塞の門がある。そしてやはりというか、武装したゴブリンが大量にいる。真っ当に攻略は出来ないだろうな。
俺はテント型住居の入り口の反対側に回ると、テントの端をつまみそっと持ち上げる。そこには床に転がり眠るゴブリンがいた。こいつらも眠るのか、朗報だな。
音を立てないようそっと近付き喉にナイフを突き刺す。ビクリと目を開けて声を出そうとしているようだが、喉のナイフがそれを邪魔する。声が出ないとなれば手足を動かすが軽くパタパタと動いただけで、すぐに力を失い動かなくなった。
俺はゴブリンの消滅を確認すると、魔石を拾いすぐにテントを出る。同室のやつがいるかもしれないしな。
俺は同じやり方で、テント型住居の中から少しずつゴブリンを減らしていく。しばらくして結構な数のゴブリンを狩ったところで、ギャギャ!という鳴き声が響く。するとゴブリン達が騒ぎ出し、周囲を警戒するように歩き回り始めた。どうやら侵入がバレたらしい。
ここまで順調にいけていたので心に余裕がある。テントの一つの中にあった木箱の陰に隠れると、【隠密】を使う。カバンから糧食と飲用水を出して休息を取る。腹が減ってはなんとやら。
俺がゆったり休んでいると、周囲の騒ぎが少しずつ離れていく。テントから少し顔を出し見てみると、どうやら他のパーティーが正面から柵を破壊してゴブリンソルジャー達に勝負を挑んでいるらしい。しかも要塞の門からも応援部隊が出ていく。そのため門が開いている。
運が良い!ナイスな陽動をしてくれたパーティーに感謝しつつ、俺は【隠密】をかけたまま門に走り、すっと通り抜ける。見回すと何もいないので【隠密】を切る。
まさか今日要塞に入れるとは思っていなかったが丁度いい。このまま要塞を探索するとしよう。
中にあったのは要塞というより城だった。外側からは城壁に囲まれてて良く見えなかったが、石造りの白く美しい城だ。なんかゴブリンの印象変わるな。
まずは城の外側を探索するが、井戸と、庭に四阿のようなものがあっただけで他には何も無い。城の壁にも入り込めそうな隙間は無かった。
仕方なく【隠密】をかけ直し城の正面から入る。近くにあった柱の陰に隠れると、初めて【探知】を使う。周囲の情報が頭に流れ込んで来る。あまりの情報量に目眩がするが、おかげで地形と敵の位置を把握出来た。
城内を陰から陰へ移動しつつ、一匹で行動するゴブリンに近付く。それは騎士のような格好をしている。兜と甲冑を着込んでおりそのままではナイフは通らない。
でも今の俺にはわかる。【探知】で知った情報で、俺はこいつを殺せる。
慎重に近付く。後ろから飛びかかり両足でしがみつくと、左腕を頭に回し掴み、頭を兜ごと無理やり持ち上げる。予想通り兜と甲冑の間に少しだけ隙間が出来る。そこにナイフを差し込むとスッと首筋を切り裂く。
仮称ゴブリンナイトが混乱しているのがよく分かる。バタバタ暴れるので離れると、暴れたせいか他にも鎧の隙間が出来ていることに気付く。脇と股間周りだ。
まずは右の脇を斬り付け、次は左。最後に股間にナイフを刺し軽く捻じるとすぐ離れる。
急所へのクリティカル判定だったのか、あれだけ暴れていたゴブリンナイトは急に力なく倒れ消滅した。
ナイトを問題無く倒せると分かった俺は、【探知】を使って同じように一匹ずつ狩るとピコンと音がしたので狩りを中断。時計を見るともう夕方!しかもMPが尽きかけている。危ない、のめり込みすぎた。俺は帰るために城を出ると、正面突破したであろうパーティーとすれ違う。【隠密】のせいか相手は気付かなかったようだ。
来たときと同じ道を通り帰る。それにしても第三層への階段が見つからなかったな。どこにあるんだろう。
ギルドに着くなりオジサン受け付けに査定を頼む。今回数は稼げなかったがソルジャーとナイトの魔石がそこそこ美味しかった。ナイトのレアドロップで靴が手に入ったが歩く度ガシャガシャうるさくて俺のスタイルに合わなかったので売り払った。魔石と合わせて約3万円!まだカバンの分赤字だけど。
城の中でだいぶ気を張っていたのか、夜はすぐ眠れた。




