ダンジョン
探索者になるにはダンジョン庁探索者管理局、通称【ギルド】に登録する必要がある。
当然俺も今日、ギルドで名前と年齢と住所を書いた紙を提出し、簡単な講習を受けて、探索者証を発行されたので、正式に探索者となったわけだ。
講習で聞いたところによると、ダンジョンといっても様々らしく、難易度からランクが付けられるらしい。俺が潜る東京ダンジョンはランクE、最低ランクだ。最高ランクのAランクダンジョンは北海道にある札幌ダンジョンと、沖縄唯一の沖縄ダンジョン、日本ではこの二つらしい。
探索者にもランクがある。登録したての探索者はランクE、それがランクD、ランクCと上がっていき、最高はランクA。当然俺はランクE。
ちなみにランクA探索者は世界中のどこにもいない。まだダンジョンが出来てから一年、世界ダンジョン対策機構が出来たのが八か月前、日本のダンジョン庁は半年前に出来たばかりだから、探索者の質もそこまで高くないのだ。
前置きが長くなったが、俺は今から東京ダンジョンに潜る。第一層は弱いスライムと、奥の方で時々ゴブリンが出るくらいなので、素手で入れるダンジョンとして初心者向けと言われている。
ダンジョン前に来るとギルド職員に探索者証を見せてダンジョンに入る。
聞いていた通りスライムがふよふよと地を這っているだけで危険は無い。近くにいたスライムに、自宅から持ち出したナイフを取り出して刺す。ピッという音とともにスライムが消滅し、石ころが残る。
この石ころが魔石と呼ばれる、探索者の収入源だ。ダンジョンから発掘される物の中に【魔導具】と呼ばれる物があり、その燃料として魔石が用いられる。魔導具はかなり利便性が高く、夜道を照らすカンテラから大規模発電施設まで様々だ。ダンジョン出現以後、石油産出国はダメージを食らってるらしい。
魔石を拾うと次のスライムにナイフを刺す。これを繰り返しているとピコンッという音がしたのでステータス画面を開く。
NAME:忍野 瞬
JOB:
LV:2
EXP:0
SP:10
HP:20
MP:20
STR:2
VIT:2
INT:2
MND:2
DEX:2
AGI:2
LUK:10
SKILLS:
レベルが上がったことでステータスが全体的に上がり、SPも貰えている。SPはステータスポイントでありスキルポイントだ。ステータスに振り分けて素の能力を上げるか、スキルを取得して戦闘の幅を広げるか選ぶことが出来る。
初心者におすすめなのはVITに少し振り分けること。VITが1上がるとHPが10上がり、物理防御力も上がるからだ。もしスキルを持っているならINTで、1上げるとMPが10上がる。魔法使いなどの後衛JOBを目指すならINT上げになる。
俺はというと…
NAME:忍野 瞬
JOB:
LV:2
EXP:0
SP:0
HP:20
MP:20
STR:2
VIT:2
INT:2
MND:2
DEX:2
AGI:12
LUK:10
SKILLS:
AGI全振りのAGI型だ。ソロなので味方の支援は期待出来ない、つまり敵の攻撃を喰らえないし、もし喰らっても守って回復してくれる味方がいない。
勿論利点もある。パーティーを組むと行軍速度というものができる。足の遅い味方を置いて進むことは出来ないので、パーティーの中で一番足の遅いメンバーに合わせる必要がある。
ソロだと歩調を揃える必要が無いのでAGI型でも問題無いのだ。
ステータスを上げた俺は走ってみる。明らかに早い。100m10秒で走れそうだ。何の運動も鍛錬もしてない俺でこれか。ステータスの恩寵は大きいらしい。
気を良くした俺はスライムを狩りながらダンジョンの奥へと走っていく。すると前方に緑の肌をした人型が現れる。ゴブリンだ。
ゴブリンはこちらに気付いたようだが遅い。ゴブリンの横を走り抜け、すれ違いざまに首の横を斬り付ける。反転した俺は、血が吹き出て慌てるゴブリンに走り寄り、今度は太ももを斬り付ける。両手で首と太ももの傷を押さえるゴブリン。弱いとは聞いていたがここまでとはなどと思いつつ、ナイフを両手で持ち今度は正面、みぞおちから胸部へと掬い上げるようにナイフをえぐり込む。ゴブリンが苦しげにギャアと呻いたあと魔石を残して消滅する。
スライム狩りとは違う、まともな初戦闘としては上出来かなと思う。ただ第一層の最弱ゴブリン相手に三手も使うのは駄目だな。
俺が目指すのはAGI型暗殺ビルド。出来れば雑魚は一撃で屠りたい。でもまあ焦らずレベル上げに勤しむしか今出来ることはない。
次の標的を探すため、俺はまた走り出すのだった。




