傲慢②
北と南に分かれぶつかり合う2つの国。
友、家族、故郷、全てを失い、ただひたすら復讐だけを願う少女とその仲間、そしてその敵。
そんな人間たちの人生を描いていく物語。
殴りかかった男の拳。
通行人の頭に直撃していた。だが、動かない。
男は汗を流しながら思った。
(なんだこいつ…硬すぎる。俺の瓦を10枚一度に
叩き割る拳が……)
「もういいです?」
通行人は飽き飽きしている。
だが男はその一言にイラッとした。
「粉々にしてやるぜ…
【粉砕】俺の破壊パンチ!」
その攻撃は早かった。
確かに当たったように見えた。
「死んだわね。」
アスモデウスだけが、通行人を目で追えていた。
「避けて50発打ち込んだ……
それもあれは異能力すら使っていない…
私では絶対に勝てない相手だ…」
そういってアスモデウスは4人と共にその場を離れた。
ルシファーはその後姿を消したようだ。
日が経つにつれ、どんどん仲間たちが来た。
だが、当然ルシファーの仲間達も来ているのだろう。
レインとハイドはアスモデウスからかつての経験等、
色々学びつつ、観光を楽しんだ。
レヴィンはレヴィアタンと一緒に
パフェを食べて幸せそうだった。
サクラはひたすら技の練習をしていた。
目標は音速超えだそうだ。
そうして、決戦の日が来た。
集まれと言われた砂浜。だが何も無い。
ビーチバレーで勝負するのか?と思った矢先、
地面が揺れた。何かが上がってきた。
気がつけば、鉄の闘技場が出来上がっていた。
観客席も準備されていて、レイン達は座った。
アスモデウス達大将軍は別のとこに行ったようだ。
「多分リングを挟んで向こう側には敵達が
座ってるんだろうね」
ポップコーンを食べながらレヴィンが喋る。
「やっぱり南国って少数精鋭って
言われてるだけあって、
こちらほど人多くないですね……」
4人が色々な話をしているところに、鐘がなった。
広いリングに2人が登場した。
「やっぱり前見た人はルシファーだったんですね、」
「王様…頼むぜ………」
闘技場が騒然とする。
するとスピーカーらしき物から音が鳴る。
《これより南国のルシファーと北国の
ベルゼブブによる一騎打ちを行う!
ルールはデスマッチ!試合が終わったら観客同士の
戦闘をすることとなっておる!
開始は花火が打ち上がったタイミングでだ!》
ヒュルルルルルと、花火の音がする。
全員が息を飲んだ。
バァン!
勝 と書かれた花火が打ち上がった。
だがそれをを見る者は誰一人いなかった。
「【傲慢の強化】」
ルシファーの使う異能力はただ1つ。
ひたすら自分の身体を強化するだけである。
だが、その効果は恐ろしい。
足の速さは弾丸を超え、
拳の威力はミサイルであり、
弾丸を受けてもそよ風と間違えるほどの
強靭な肉体にまで強化される。
「ベルゼブブ。お前はもう死ね」
強烈な一撃でベルゼブブを殴った。
一瞬にして空中に飛ばされたが、
ルシファーは飛ばされるベルゼブブに追いつき、
叩き落とした。ベルゼブブはリングに
強く叩きつけられた。
これが戦いが始まってから2秒での出来事である。
その後も同じような展開が続いた。
ひたすらルシファーが殴り続ける。
流石のレイン達4人も冷や汗が止まらなかった。
「これが、ルシファー………」
「これ、見えるの…?」
あまりに一方的なスタートに、誰もが驚愕していた。
だが、北国の大将軍、アスモデウスとレヴィアタンは
落ち着いてみていた。
まるでそれが計画通りのように………
能力紹介その13
異能力【傲慢】
攻撃力……5
俊敏性……5
防御力……5
技範囲……3
隠密性……1
5 高い ↔ 低い 1
〈能力者のひとこと〉
力こそパワー