幻影④
北と南に分かれぶつかり合う2つの国。
友、家族、故郷、全てを失い、ただひたすら復讐だけを願う少女とその仲間、そしてその敵。
そんな人間たちの人生を描いていく物語。
衝撃的な光景を目の前に立ち尽くしていたが、
殺気を感じた何も無いところから何かが
飛んでくるような気がした。その瞬間全員は
伏せた。頭の上をナイフが通る。
「アスモデウスさんはっ…」
血の匂いがする。ピチャ…と血の音もする。
(幻影にしては作り込まれすぎだ……)
この状況で唯一頼れる人の倒れる姿を見て、
全員は完全に怯えていた。
だが、サクラはここでも冷静だった。
「【波動】波よ感じろ!」
サクラが波を飛ばした先はアスモデウスであった。
サクラが叫んだ。
「波は地面にぶつかった!あれは幻覚だ!」
「【分散】霧集め!」
一気に周りの世界が集まったように見えた。だが
それは幻覚であった。目の前にはアスモデウスが
素手で黒い面をつけた人間と戦っている所だった。
「やった!ようやく霧が晴れた!」
そういってアスモデウスが拳をぶつける。
仮面が割れる。すると中から大量の煙が出てきた。
「何これ…見えない…」
4人は急襲を警戒したが、どうやら逃げたようだ。
アスモデウスが叫ぶ。
「皆大丈夫ー!?」
「ええなんとか…アスモデウスさんは
傷とかありません?」
無かった。視覚嗅覚聴覚を奪う幻覚の中で、
傷一つなく耐えている。
相手も相当の使い手なはずだと言うのに。
(やっぱ大将軍ってバケモンだな…)
「じゃハイドちゃん、
落ち着いたら聞かせてもらえる?何があったか」
「今で大丈夫です、お気遣い感謝します、
私は、皆さんの前では取り繕ってましたけど、
精神が弱いんです……」
(マモン様って心読めるのかな…)
レヴィンがマモンの観察眼に驚いている。
「私は元々南国貴族の出身だったのですが、
親は、殺されました。女王ルシファーに…」
「女王ルシファー…私たちの国の王ベルゼブブの
因縁の相手ね………」
「母親は私をこの国に逃がすように
手引きしたのですが、おそらく計画通りに
進まなくて、物心ついた頃には人を殺すように…
その時は仲間なんて居なかったので何とも思って
居なかったのですが、あなた達と出会ったんです」
生まれて初めて出会った仲間達であった。
「あなた達のことを好きになっていくにつれ、
命の大切さがわかってきました…
私が殺してきた人々にも友、家族がいて、
そう考えるだけでもう…
それでも、戦いになると殺さなくちゃいけない…
私は笑うしか無かったんです…それが辛くて、」
「そこを狙われたのね…」
「はい、昨日は幻覚の人と、
もう1人いて、精神が崩れるにつれ、
なんだかその人の術中にはまる感じがして、」
「南国には確かに洗脳師結構いるわね…
壊れた精神に取り入るのは許せないわ…」
アスモデウスが母親のように話を聞いてあげていた。
他3人は、ハイドが抱えていた苦痛を目の前に、
衝撃を受けていた。だが、サクラが動き出した。
「ハイド!1発殴って!!」
「え、どうして……」
「なんか殴られたくなったんだよ!
やらないんならこっちから殴るよ!」
「サクラさん、多分罪悪感とか
感じてるんでしょうけど…それは…」
「なんだよ!まださん付けするの??
ほんとに殴るぞ!」
その光景を見てレヴィンがクスッと笑った。
「相変わらずサクラは不器用だね」
「レヴィンたんこぶ何個欲しい?」
「あのー喧嘩はほどほどに…」
なんだか、いつもの光景に戻ったようだ。
それを見たアスモデウスは感動の涙を……
(若い子の元気の良さ。そそるわぁ…)
感動の涙を流していた。
マモンが遺した若手達は、順調に育っていた。
だが、そんな子供達の夢を終わらせる戦争が
始まろうとしていた。
「一騎打ち。勝敗がついたら戦争も開始。」
「ようやくだ…先代の仇討ちだ……」
平和はいつくるのか。
能力紹介その11
異能力【虚飾の幻影】
攻撃力……1
俊敏性……1
防御力……1
技範囲……5
隠密性……5
5 高い ↔ 低い 1
〈能力者のひとこと〉
ベルフェゴール様のとこ所属です☆
次出会ったら名乗るよ☆
(能力とテンションは噛み合わないことがある)