表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
One Apple  作者: 胡瓜パフェ
第二章 強欲・憤怒
13/26

強欲

「おうおう、ディアボロスが死んだっぽいな。」


突如として攻めてきた脅威。

誰もが恐れていた者が、

誰もが恐れていたタイミングで襲来した。


「仇討ちだ。楽しくやろうぜ。

【怠惰の鎖】

【怠惰の馬車】

せっかくの訪問ありがとうな。

お前達にはここらで力尽きてもらう。」

「なんで、火山ができてんだあ?

ここさっぱりした野原だろ?」


突然、鋼鉄の馬車に乗った3人組が現れた。

それを見たレインとマモンは汗を流していた。


(間違いない…あれはアズの仇……

相変わらずほっそりとしたスタイル…

どうやって戦うんだ……)


(何でここで…1番面倒くさそうなやつが)


「自己紹介してええ?ベルフェゴール。

あと仲間のカルとリン。よろしくな」


口を開くなり自己紹介をし始めた。


「ベルフェゴールさんよ、久しぶりだな。何用だい」


「何用って、ディアボロスの必殺技が聞こえたから」


思わずハイドか答える。


「ディアボロスとは……?」


「ベルフェゴール曰く、サタンの愛称らしい。

同じ悪魔って意味みたいらしいが本人からは

嫌われてたな。」


「ま、とりあえず消耗してるとこ悪いけど。

早く帰りたいからささっとやられてくれな

【怠惰の馬車】」


鋼鉄のようなもので出来た馬と馬車ができ上がった。

するとベルフェゴールの部下の1人、リンが動いた。


「【車輪】回転」


馬車の車輪が回転し始め、3人はそこに乗った。

もう1人の部下、カルも動く。


「【鉄壁】作動」


馬車が光に包まれる。


マモンが焦る。


「おいおい、カルかよ………」


「カルってどんな異能力を…?」


サクラが尋ねる。


「簡単に言えばあいつは1面だけ壁を貼れる。

その壁はカルが解除するか、他のところに壁を貼る

までは無敵だ。全ての攻撃を防ぐ。」


「よく知ってんじゃん。面白。」


馬車が突っ込んでくる。

馬車の窓から、長い鎖が数本でてきた。


「全員避けろぉぉ!!!」


鎖が凄まじい勢いで振り回されてゆく。


「ベルフェゴールが馬車を生み出し、

リンが馬車を動かし、

カルが守りながら、ベルフェゴールが鎖で

遠距離攻撃をする。これが奴らの方法か」


「どっかの単騎特攻燃え尽き野郎とは違って

チームとしてのパワーがあるからな。」


ベルフェゴールはサタンのことを罵りつつ、

どんどん走っていく。


「このままだと俺達が力尽きる。

なにか打開策を探したいが、【毒牙】も【波動】も

奴らの前では………」


「私は撤退を勧めます…」


いつもは戦闘を楽しむハイドも、

この絶望的な状況を前には弱気になっていた。

だが、相手はそんなことも許さないレベルだった。


「おいおい、タダで返すと?

【怠惰の鉄骸】」


「地響きが………」


マモンが言った。


「全員逃げろ。俺が時間を稼ぐ」


現れたのは、全長が40メートル程ありそうな、

巨大な鋼の骸骨であった。

そしてその手が、マモン達に振り下ろされる。


一瞬だった。

マモン以外の全員が倒れた。

唯一意識を保ったマモンも、限界だった。


「………全滅だけは避ける…………」


マモンの中にはそれしか無かった。


「マモン…お前しぶといな……」


「…お前は守られてばっかだからな。

俺は今こいつらを守ってるんだぜ……」


マモンが続けて言う。


「ベルフェゴールさんよ、お前が仲間思いってのは

有名な話だ。俺も最近仲間を持つことで持てる

感情がわかったんだ。だから守るさ。

コイツらだけは守る……………」


「お前はホントに強欲だな。こんな状況で」


マモンが叫ぶ。


「連れてきた援軍共!こいつらを国に返せ!

こいつらこそが未来の国の希望だ!

命に変えても守りきれ!

後ろは俺が守るから絶対に振り返るな!」


「そんなことさせたらディアボロスが報われねえよ」


「当たり前だ。報わせねぇよ」


マモンの身体が変化し始めた。

身体中から銃が生み出される。


「【強欲の機関銃】俺の命尽きるまで。」


激しい音と共に無限とも思える程の弾丸が

馬車に飛ばされる。

その隙に300騎ほどが、4人を連れて逃げていく。


「いくら攻撃が効かなくても…

反動でバックはするだろうが!」


およそ5分間、絶えず弾丸が浴びせられた。

そして、マモンはその場に倒れた。


「無敵防御ってなんだよ……」


そこにベルフェゴールが歩いてくる。


「一騎もやれなかったな。お前すげえよ」


「そのおかげでもう、動くことも出来んがな」


「ディアボロス倒しただけあるな。

あ、そうだ。なんか遺言あるか?

お前友人少ないし、弟子宛への伝言でも」


「お前のそうゆう甘さが嫌いなんだよ。

そこまで甘くするんなら紙とペンくらいくれよ。

無理すんなよって伝えとけ。」


「全く、ちゃっかり遺言伝えさせるんだな。

相変わらずお前は………」


「あんなに良い弟子達に囲まれてた俺は本当に……」



『強欲だな。』



2人の将軍の戦いは終わった。


目が覚めるといつものマモン様の屋敷だった。

だが、そこにマモン様はいない。

仇を取れればハッピーだと思っていた

だがレヴィンもハイドもサクラも笑っていなかった。


そんな時に鋼鉄の鳥が飛んできた。

私達には危害を加えずに、1枚の手紙を渡した。


「無理すんなよ。」


間違いなく、マモンの字だった。

それを読んだ私たちは、涙を流した。


第二章・完

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ