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One Apple  作者: 胡瓜パフェ
第二章 強欲・憤怒
10/27

硬化

北と南に分かれぶつかり合う2つの国。

友、家族、故郷、全てを失い、ただひたすら復讐だけを願う少女とその仲間、そしてその敵。

そんな人間たちの人生を描いていく物語。

レヴィンとハイドはマモンに大きく言ったものの、

中々ダメージを与えられずにいた。


「小僧共…将軍サマに助けてもらわなくて

よかったのか…お前達ではまず勝てるわけが無い」


「馬鹿言えお前みたいな下っ端1分であの世行きだぜ」


「小僧…抜かしおって、楽には死なせんぞ……

……【硬化】」


相手の鎧についていた傷が消えた。


(なるほど…鎧は異能力によるものだったのか…

こいつはどうやって倒そうかな…)


「レヴィン、私が注意を引きますので、

1点集中突破でお願いします。」


「馬鹿言え、毒が通る相手じゃないぞ。」


「必ず隙はある筈です!

とりあえず弱点を探りましょう!」


この2人は連携したこともなく、まずレヴィンは

基本一匹狼なので、当然上手くいかなかった。


(相手はハイドばかり狙ってるから隙は沢山あるのに

どれだけ攻撃してもダメージのひとつも

与えられないし、先にハイドの体力の限界が…)


そう思っていると鎧武者は口を開いた。


「女……名はなんだ…殺す前に聞いておこう

それほどの若さでここまで耐えるやつは

そうはいなかった…」


「勝った気にならないでくださいよ。

まずはあなたから名乗ったらどうです?

突然現れてホントに失礼なやつですね。」


「我が名はアスタロト……サタン様に使える者…

そしてお前達に引導を渡す者だ………

【硬化】形状変化・爆」


次の瞬間、アスタロトの鎧が全て弾けた。

その欠片がレヴィン達に襲いかかる。

ハイドは最初の方は弾けたものの、数の暴力に負け

ひとつの破片が腹部に刺さってしまった。


「これは…相当やばめ…ですね……」


レヴィンは小柄なので避けていたが、

最初に受けた傷が痛んだ。

その一瞬の隙にいくつもの小さい破片が

彼の手足をかすった。


「ハイド…!大丈夫か!」


「ほう、この小僧…攻撃は大したものではなかったが

なかなかの俊敏さだ………評価に値する…」


さっきよりも鎧が減り、

アスタロトの攻撃速度も上がった。

レヴィンはハイドを庇いながら、

攻撃を何度も受け流した。


(ハイドが攻撃の方向を変えてたありがたみが

今ようやく理解できた…これはもう詰みなんだ…)


レヴィンはジワジワと追い詰められていった。


(もう体力も残ってねえや…)


僅かにハイドが喋っている。


「私が…最期に注意を…引きますので……

その間に…逃げて……下さい……」


レヴィンは理解した。

もうここで決めないと、仲間は死ぬ。

粘ったところで勝てない。

他の仲間は助けてくれる状況ではない。


「アスタロト…だっけ?」


レヴィンは覚悟を決めた。


「勝負しようぜ、お前の防御力と…

俺の攻撃力を!!」


「素晴らしい…こんな子供がここまで……

良いだろう。かかって来い………」


「最後のチャンス…頼むぜ………

【毒牙】10連撃!!」


「【硬化】形状変化・不落城!」


2つの技がぶつかり合う。


「小僧…まだ耐えるか……」


レインはとっくに体力の限界を迎えていた、

彼の頭の中には、昔の姉の姿が思い出されていた。


(5つ離れている姉だった…僕が生まれてすぐに

母親が死に、父親は出ていった。

ずっと僕のために、貧しい中必死に働いていた姉…

そんな姉は今や大将軍なんだな…

そういえば1回、技教えてもらったっけ…)


「突き技ってのは勢いも大切だけど、

1点集中するんなら継続的にとにかく

突いて突いて突きまくるのよ!」


全て走馬灯だったのかもしない。

レヴィンは心の中で姉に感謝しながら叫んだ。


「【毒牙】!!!」



アスタロトの中で、かつてのトラウマが蘇った。

自分の硬化が一撃にして敗れ去った。

【嫉妬の毒牙】…一撃で戦闘不能になった。

今攻撃してきている小僧が、

その能力者にしか見えなくなっていた。


一瞬、硬化が緩んだ気がする。

そこに何発も毒牙が刺さった。


ピシッという音と共に、硬化した鎧が砕け散った。

血液中に入った毒が効いているのかもしれない。

そして、レヴィンは地面に倒れながら言った。


「俺の、勝ち!」


そう言って、レヴィンは気絶してしまった。

だが、アスタロトは違った。

傷を負い、毒が入った部分は左腕。

アスタロトは左腕を切断した。


「【硬化】」


みるみる血が固まっていく。


「小僧…よくやったな…だがここは戦場だ。

惜しい気持ちで沢山だか、さらばだ。」


「そう、ここは戦場です。

突然殺されても文句は言えませんよ。」


気がつくと、アスタロトの首にハイドが

刀を指していた。


「ようやく硬化を解いてくれましたね…」


「小娘…異能力で近づいたのか……」


「小僧とか小娘とか言ってますけど

やればできる子ですからね」


「クク…言ってくれるよ。」


そう言って、アスタロトは死亡した。

ハイドは急いでレヴィンのところまで走った。


「レヴィン君!大丈夫ですか、!」


「マモン様…10分後には起きますから………」


その言葉を聞き、安心したハイドもその場に倒れた。


こうして、2人の力を合わせた戦いは終わり

いよいよ大将軍同士の死闘が始まる。

能力紹介その7

異能力【硬化】

攻撃力……2

俊敏性……2

防御力……5

技範囲……2

隠密性……3


5 高い ↔ 低い 1


〈能力者のひとこと〉

いくら敵でも、下っ端は酷くない???

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