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あーかい部! 41話 白くて緋い

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。


……ではなく、保健室。




「お、2人とも来たな?」


「お邪魔するよぉ〜。」


「……なんでひいろが白衣着てるの。」




養護教諭(?)ひいろ、爆誕。




「白ちゃんにここを任されたんだ。……今頃、部室で絶賛懺悔中だからな。」


「懺悔って、誰に?」


「おばさん……教頭先生にだよ。」


「白ちゃん今まで、ひいろちゃんと教頭先生が親戚って知らなかったもんねぇ。」


「別に謝ることはないと思うんだけどな……。」


「縦社会かぁ……。」




「白久先生〜、あれ?いないの?」




体操着を着た生徒が保健室に入ってきた。膝の擦り傷がなんとも痛々しい……。




「ああ、こっちまで歩いて来られるか?」


「うん……って、赤井さん?なんで白衣?」




白ちゃんの代わりに白衣を着たひいろを見て生徒は困惑しているようだった。




「ひいろ顔広いよね〜。」


「そりゃあ赤井様だからねぇ。」


「あんまり言いふらすんじゃないぞ?おばさんに迷惑かかるのは嫌だからな。」




ひいろは消毒液と脱脂綿、絆創膏を棚から取り出す傍らであさぎときはだに釘を刺した。




「待たせたな。患部を診せてくれ。」


「うん……。」


「まずは脛の出血を拭き取るが、脛は痛まないか?」


「うん。」


「ちょっと痛いけど、耐えてくれ。」



ひいろは幹部の周りに付着した血を拭き取り、絆創膏に切れ目を入れると、脱脂綿に消毒液を染み込ませ、患部に当てた。




「うん……、っっ!」


「すまない……よく耐えたな♪」




痛みで目を瞑っていた生徒が再び目を開けると、患部に合わせて綺麗に絆創膏が貼られていた。




「あ……。」


「もう大丈夫。それと、これを。」




ひいろは生徒に予備の絆創膏を手渡した。




「痛むとは思うが、身体を洗うときは絆創膏を貼り替えるように。絆創膏を巻くときは端に切れ目を入れてクロスさせるように巻くと(たわ)まなくて取れにくい。」


「……。」


「あんまり痛むようなら無理せず病院に行くんだぞ?無理と言えば……、




ひいろは生徒の靴に視線を下ろした。




「その足もだ。靴と、靴下を脱いでくれ。テーピングをする。」


「え……!?なんでわかったの、そんな悪い


「と思うなら黙って脱げ。」


「……はい。」




ひいろは生徒に有無を言わせず、流れるような手つきで足首をテーピングした。




「これで少しは楽になるだろう。……今日はもう早退しろ。」


「いや、


「やっぱり戻る気だったか……。そのコンディションで練習しても碌なことにならないぞ?

ここに来たのも周りに言われて無理やりってところか……。」


「そんなの関係


「頑張るのを悪いこととは言わないが、休むときはしっかり休め。キミを慕う人が心配するだろう。」


「……うん。」


「それに……、」




ひいろは無意識にか、意識してか、生徒の手を両手で覆い、生徒の瞳をまっすぐ見つめた。




「……!?」


「……ワタシもキミが心配だ。」


「!?…………はい///」




生徒の頬が緋色に染まった。




((堕ちたな……。))




この後、ひいろが生徒をお姫様抱っこしようとしたが生徒はこれを固辞。


ひいろは生徒に肩を貸し途中まで連れ添ったようだが、保健室に戻ると最後まで連れ添えなかったことを不満げに2人にぼやいていた。


そんなひいろが着ている白衣の襟の片側に、指先で強く握ったような皺がついていたのを2人は見逃さなかった。






あーかい部!(4)




ひいろ:投稿完了だ!


白ちゃん:お疲れ様。保健室ありがとね♪


ひいろ:懺悔の方は上手くいったのか?


白ちゃん:ええっと、まあ……?




あさぎ:はいダメ


きはだ:ダメダメだねぇ


ひいろ:な、なんだよ……!?今までダメ出しなんてしてこなかったのに


あさぎ:ちょっと編集してくる


きはだ:ゆけぃ!あさぎちゃん!


ひいろ:は?編集って、おい何するつもりだ!?


白ちゃん:ひいろちゃん嘘でも書いたの?


ひいろ:いや、ない!断じてそんなことはないぞ!


きはだ:足りないんだよ、『大事なところ』がねえ!!??


あさぎ:きはだ添削よろしく


きはだ:よしきた!


白ちゃん:なんで今回は2人ともノリノリなのよ……


ひいろ:待て待てまだワタシ見てないんだぞ!?さらに添削って何するつもりだ!?


白ちゃん:へ〜、編集中だと閲覧できないのね


あさぎ:何って、あったことを書いただけだけど?

あさぎ:雑談した内容は丸々次回に繰り越しってことで


ひいろ:丸々繰り越しって、何書いたんだ!?


あさぎ:〜♪


ひいろ:答えろあさぎ!?


白ちゃん:いやほんと何したのよみんな……


きはだ:差し替え完了ッ!!!


あさぎ:グッッ!ジョブ!!


白ちゃん:とりあえず見てみるわね




ひいろ:おい待てなんだこれは!?

ひいろ:タイトルは懺悔室のはずだろう『白くて緋い』ってなんなんだ!?///

ひいろ:もう別物じゃないか!?


きはだ:あーかい部は日常を記録する活動だからねぇ


あさぎ:池図女学院はこの活動を応援しています


ひいろ:するなぁぁあ!?///消せ消せ消せ消せ


白ちゃん:ひいろちゃん……


ひいろ:違うんだ!これは2人の捏造だ!


白ちゃん:備品の数も顧問の先生の証言とも一致しているのだけど……


きはだ:だって事実だもん


あさぎ:ひいろが怪我の処置をしてその子を堕とした、何も嘘はついてません


きはだ:ねえ?


ひいろ:後半はいらないだろう!!


きはだ:でもしっかり聞いたよ?『それに……、ワタシもキミが心配だ。』って


あさぎ:ちゃっかり手握ってたし


ひいろ:だとしてもあんな、ねっとり書くことないだろう!?///


きはだ:尺の都合だから致し方ないのさ


あさぎ:ね〜?


ひいろ:だったら雑談したこと書けばいいだろう!色々話したじゃないか!?


あさぎ:でもあんなの見せられたら


きはだ:他のことなんて書けないよぉ


あさぎ:ね〜?

きはだ:ね〜?


白ちゃん:私はとんでもないものをこの世に生み出してしまったのかもしれないわ……

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