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縁鬼乱舞  作者: ひろゆき


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 第二部  第一章  6  ――  情報  ――

 第九十九話目。

 頭が痛い。

                      

            6



「あんた、本当にバカみたいね」

「私もまさか、そんな大事なことを忘れていたなんて。信じられない」


 多少は動くことに支障はないのだけれど、アカネとヒスイの呆れて蔑んだ声を聞いてしまうと、傷が開きそうなほど、2人の嫌味が沁み込む。

 体を切り裂きそうな声に打ちのめされそうで、唇を噛んでしまう。


「仕方ないだろ。あのとき、ラピスから娘の名前を聞き出せる状況なんかじゃなかったんだから」


 ラピスと対面していたころを思い出し、眉間を指で擦ってしまう。


「そこにランスもいたんでしょ。何してくれてんのよ。ランスッ」


 頭を掻いて唸るアカネ。気が治まらないのか、隣りの部屋に籠るランスに怒りをぶつけた。

 それでも治まらないのか、丸椅子に座り、腕を組んで唇を尖らせてしまう。


「なんで、あなたがそこまで怒るのかしら」


 本当にそうだ。アカネの態度に戸惑っていると、ヒスイがおかしそうに顎を指で突いていた。

 まあ、ほかに情報がなくて、焦りはあるけれど。


「ったく。うるさいな。なんで俺が怒られなきゃいけないんだよ」


 アカネの呼び声に、ランスは釈然とせず頬を歪めて部屋に戻ってきた。


「聞いたわよ、あんた。ユラがラピスから娘の名前を聞こうとしたとき、邪魔したんでしょ」

「はあっ? 話が見えねえんだけど」


 一方的に責められ、事態がつい噛めないランス。

 それでもアカネは不快に睨みつけてくる。


「とりあえず謝っておけば? その方がこの子も納得するみたいなんだし」


 首を竦めるランスに、ヒスイは「無関係」と言いたげに両手を上げて小さく振った。


「だってそうでしょ。あんたが邪魔をしなければ、ラピスから娘の名前を聞いて、もっと捜しやすくなっていたかもしれないんだよ」


 不貞腐れて話すアカネに、昔の話だと察したのか、ランスは顔を背ける。

 気のせいか、僕とは目を合わそうとしない。

 まあ、あのときのことはお互い、いいことではない。触れられたくないんだろう。


「それはこいつが不用意に動こうとしたのが悪いんだよ」

「何よ、それ。邪魔をしたのはあんたでしょ」

「知るか。情報がなければ、道中に情報を得て進めばいいだけだろ」

「だから、それが難しいから苦労してんじゃん。どうすんのよ、これから」


 怒りをぶつけるアカネに、釈然としないまま、ランスは何か差し出してくる。

 手には一通の手紙を握っていた。


「それは?」


 唐突に差し出され、戸惑いながら受け取る。

 意図が掴めず躊躇していると、ランスは促すように顎をしゃくった。

 人の物を見ることに後ろめたさはある。

 でも、読むしかないらしい。


「あのときもそうだ。町の連中にバレないようにして、上手く立ち回れば、名前も聞けたんだ。その手紙みたいにな」


 さらに手紙を指差すランス。より強調する態度に鼻を擦ってしまう。


「そこにあいつの名前が載っていた」

「あいつって?」

「ラピスだったか。あの鬼の名前だ」


 悪いのは僕なのか?

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