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縁鬼乱舞  作者: ひろゆき


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90/149

 第一部  終  ――  待っているわ  ――

 第九十話。

 遠くで感じる。

                     

          第一部


           終



 長らくいきていたけれど、不思議なこともあるんだと、驚かされてしまう。

 ただ、それ以上に嬉しさの方が勝っていたのかもしれない。

 それは夢のような感覚。

 私は誰かの体に憑依し、その体で粋がった鬼と戦っていた。

 ま、鬼と言ってもモブ。大して楽しい遊びにならなかったんだけど。

 だからつい、夢だったとしても文句を言っちゃった。

 まだあんなバカな鬼もいるのね。鬼の質ってのも低くなったのかしら。

 けど、憑依していた者は面白い感覚だった。はっきりと覚えていないけれど、私に意見をぶつける人間もいたし。

 あれは本当に楽しかった。

 だからつい、願ってしまう。

 あの感覚が夢じゃなければいいのにって。

 

 


 目が覚めたとき、遠くの空で雷鳴が光った気がした。

 不思議と、夢のなかでみた光景とがどこかで繋がっている気がして、胸が熱くなっていく。

 けれど残念。空は見渡す限り快晴が広がっている。

 雲一つない空を見ていると、期待をすべて否定されたみたいで、どこか自分たちの存在を拒絶しているみたいで、嘲笑してしまう。


「私たちは邪魔なのかしら?」


 誰も答えないと知っていながらも、問いかけてしまう。すると、風が頬を撫で、赤い髪を靡かせた。

 ふと手を当てて耳にかけた。

 誰もいない草原に風が走り、草花を靡かせていく。その風に導かれるように、在らぬ方向を眺めてしまう。

 やはり、どこかで雷鳴が光った気がしてしまう。

 そうか。あそこにあるのね。

 あそこにあるのは…… 黄色い光かしら。


「どうなるのかしら。あなたは何を求めてここに来るのかしら?」


 遠くの空に右手を伸ばし、問いてしまう。


 鬼はなぜ戦う? 

 なぜ、〝修羅〟となることを望む?


 誰だったか、何度も問われて聞き飽きていた。

 そんなものは知らないわよ。

 戦えばそこにいただけ。

 きっとあなたも様々な疑念を抱くでしょうね。


「その先はいずれ〝兵〟になって、私の前に現れるのかしら?」


 手の平をギュッと握り締めた。またしても風が強く吹いた。どうも私の問いに答えたみたいで、目を細めてしまう。

 面白いわね、それは。


「待っているわ」



             第一部


              完                               


 これからどうなるものか……。

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