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縁鬼乱舞  作者: ひろゆき


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 第4章  13  ――  夢物語  ――

 第五十七話目。

 鬼を求める。


            13



 鬼を求めている。

 そんなことはない、と即答はできない自分がいた。

 それを見透かしているのか、老人の細い目で責められてしまう。


「どうなんだ?」

「少なくても、被害を広げようなんて考えていないわ、私もユラだって」


 ユラとの付き合いは短い。だけど、あいつが乱暴な奴ではないことぐらい私にだってわかる。


「私らはただ、鬼を捜しながら旅をしているだけ」


 そこで老人の眉間にシワが寄る。


「妙な言い方だな。それでは話に矛盾があるのだが」


 この人は見た目より勘が鋭いのか、静かな圧力をかけてくる。

 ごまかせないってことか。


「そうね。私は鬼の死んだ世界を望んでいるわ」

「あんた、本気でそんなことを」


 突拍子のないことと感じたのか、老人は目を剥く。

 私はそこに挑発するように口角を上げた。


「それは鬼の滅亡を望んでいるのか? だが、それは恐ろしいことだ」

「恐ろしい?」

「ああ。この街では絶対に望めないことだ」


 冷めた目つきになる老人に、すぐさま頬を緩め、かぶりを振った。


「私は人と鬼との隔たりを失くしたいのよ」

「隔たり?」

「難しいことだってわかってる。鬼と人との間には、大きな溝があるのはわかってるわ。こことか、あの屋敷の周りのことを考えたらね。でも私はその隔たりを失くしたい。鬼と人が普通に暮らせればって」

「残念だが、それはただの夢物語だと思うがな」

 

 自分が抱いている気持ちを真っ向から否定され、嘆いた。


「わかっているわよ。それが前途多難だってことは。けどさ、あいつの方がもっと無謀なことを考えているみたいだけどね。私としては、あいつについて行けば、私の願いに近づけそうなのよ」


 無謀であることは重々理解している。けれど、それだけは譲れなかった。


 隔たりをなくしたい。

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