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第二話 ちゃんと見て!

彗斗と結月の事を話してから数日後。

俺は部室で授業の課題に取り組んでいた。

天文サークルは基本的に夜活動することが多く、この時間は手持ち無沙汰なのである。

また、連日、雨が降っているため、活動を制限されていた。

「今日も雨ですね。」

隣で、暇そうに結月が呟く。

「そうだな。」

それに対して、俺は適当にあいづちを打つ。

「暇です。」

「なら、帰っていいぞ。しばらく、活動できないだろうしな。」

「もー!ひどくないですか!?こんなに可愛い後輩が構って欲しそうにしてるんですよー!」

「はいはい。そうですね。」

俺は適当に返事をし、目の前の課題に打ち込む。

「まあ、そんな冷たい先輩でもキュンですよ!」

「キュンってもう死語なんじゃないか?」

「えっ?そうなんですか?わかんなーい?」

結月はぶりっ子ポーズをし、頭に?を浮かべている。

「お前、俺以外にはだる絡みしないよな。」

俺はふと思った事を口にする。

今思えば、この一言はとても悪手であった。

「それは先輩だからですよ〜。先輩だからだる絡みするんです!」

「その心は?」

「先輩が好きだからです。」

「へー。…。えっ…?」

適当に聞き流そうとしたが、とんでもない事を言われた気がして、結月を二度見する。

「聞こえませんでしたか?」

結月は心配そうに俺の顔を覗き込む。

「いや、聞こえてたけど…。マジなの?」

「大マジですよ。」

「さいですか…。でも、なんで突然…。」

「別に突然ではないですよ〜。今まで、好意はたくさん見せてきたつもりですし。どっかの誰かさんは見て見ぬふりをしてましたけどね〜。」

「そんなつもりはないけどね…。」

俺は図星を突かれ焦る。

「それに、某KK先輩にアドバイスを貰いましたしね〜。」

「彗斗のことか…。」

あいつ、やたら結月の事言ってくると思ったら、裏で繋がってたのか。

まんまと嵌められた。

しかし、適当な流れとはいえ、しっかり、気持ちを口に出して言ってくれたのだ。

だから、俺もちゃんと言うことを言わなければならない。

「結月。申し訳ないん「ちょっと待ってください!!」

俺が断ろうとしたら結月が俺の言葉を遮ってきた。

「なんだよ。せっかく誠心誠意断ろうとしてたのに。」

「中々に残酷なことをしますね。」

「変に期待させても悪いだろ。」

「確かにそうですけど…。それに、断られる事は分かってました。」

「えっ?どうして?」

「元カノさんのことを引きずっていると、某KK先輩から聞きました。」

「そんなことまで聞いてるのかよ…。」

彗斗は次会った時に絶対ボコボコにする。

「元カノさんを忘れる事は難しいかもしれませんが、せめてちゃんと私のことを見てください。」

「見てるよ。」

「見てないです。ちゃんと見ようとはしてくれてません。」

「まあ、うん…。」

結月の言うとおりではある。

確かに、結月のことは頑なに後輩として見ようとしていた。

異性として見ることに、抵抗感があったからだ。

それも全部、俺が未練たらたらなのが悪い。

「見るって、どうすればいいんだ…?」

「そうですね。手始めに、私と一緒にデートをしましょう。」

「なぜ。」

「お互いの事を知るためです!」

「もう結構してるけどな。」

「もー、文句言わずに行きますよ!」

「えっ、今からなの??」

結月は俺の腕を引き、強引に外に連れ出す。

雨はいつのまにか、上がっていた。


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