プロローグ
数年前の夏。
彼女と星を見に来ていた。
「すごい綺麗だね。」
彼女は、目を輝かせながら星を見ている。
俺はそんな彼女の横顔を見つめる。
それに気付いた彼女は照れくさそうに言った。
「私の顔じゃなくて、星を見ようよ。」
「すごく楽しそうだから見惚れてた。」
「もぅ。」
彼女は頬を膨らませたが、また直ぐに星を見始めた。
「あっ!流れ星!」
彼女が嬉しそうな声を出す。
「願い事、言えた?」
「うん!来年もかずくんと一緒に星を見れますようにって!」
「それは叶うから大丈夫だよ。」
「やったー!」
また、彼女は嬉しそうな声を出す。
しかし、ふと悲しそうな顔をするのであった。
「流れ星って、なんだか儚いよね。」
彼女はおもむろにそんなことを言う。
「急にどうしたの?」
「とっても綺麗だけど、一瞬で消えちゃうから。」
「なるほどね。まあでも、その一瞬でも誰かに綺麗って思ってもらえるなら嬉しいんじゃない?」
「何その考え方ー。変なのー。」
彼女はくすくすと笑っていた。
そんな時間が、俺にとってとても幸せな時間だった。
この幸せがずっと続くと俺は信じて疑っていなかった。
しかし、その幸せはなくなってしまった。
彼女が俺の前からいなくなってしまったのである。
初めて、小説家になろうで投稿させていただきました。
拙い文章ではありますが、楽しんで読んでいただければ幸いです。