第四十九話 勘
「それではこれより、第一ラウンドのカットを行ってください。」
暗倉は自身のタブレットに目を落とした。タブレットには、線によって8等分されているサークルケーキがあり、右上、もっと詳しく言うと、1時の方向から時計回りに8、6、3、7、1、2、4、5の順で並べてあった。
それを見た暗倉は顎に手をあてて、少しの間思考する。その姿とは裏腹に対面のドームの中ですわっている鞍馬は意気揚々と鼻歌を歌いながら、タブレットに指を走らせていた。
「そんなに悩んでても、意味無いぜ。勘が自分の中で1番信じられるもんなんだからよ。」
暗倉は、インカムから聞こえてくる鞍馬の声を無視しながらタブレットを見つめている。
「何だ、無視かよ。」
そこから少しの静寂が訪れた後、暗倉も指をはしらせ、スクールケーキを3等分にしていく。
指をタブレットから離した時、タブレットには5、8と6、3、7と1、2、4で区分けされたスクールケーキが映っていた。
そして、暗倉はスクールケーキの下にある決定の画面を指でおす。
「両プレイヤー共にカットが完了致しましたので、チョイスに移行します。」
片山が話終えるのと同時に両プレイヤーのタブレットに、黒塗りされ、3等分されたサークルケーキが映し出される。
暗倉のタブレットには、4ピース、2ピース、2ピースの3つに区切られているサークルケーキが映し出されていた。勿論数字は黒塗りされて見えない。
「先程、鞍馬さんは勘が1番信じられると言っていましたが、勘に頼る前にやることがあるんじゃないんですかね。」
先程無視した言葉に対する返答をインカム越しに鞍馬に投げかけた。
「いや、無いね。勘以外に頼るものなど無い。それを今からお前に証明してやるよ。」
鞍馬はタブレットに映し出されている3等分されたスクールケーキの欠片から1つを選択した。それに続き、暗倉も3等分されたスクールケーキから2ピースの内の1つを選択し終えると、タブレットには先程切り分けた自身のサークルケーキが映し出された。
サークルケーキは黒塗りされており、数字は見えない状態であったが、先程切り分けた時と位置は変わっていないため、自ずと残っている数字は把握出来た。
暗倉の切り分けたサークルケーキに残っていたのは、5、8と1、2、4の2つの欠片であり、この結果から、鞍馬京介は、6、3、7の1番数字の大きい組み合わせを取ったことが理解できた。
暗倉は残っているサークルケーキの欠片の中で1番数字の大きい組み合わせである5、8の欠片を選択した。暗倉が選択し終えた時には既に鞍馬は選択を完了していた。
「両プレイヤー共、チョイスを完了致しましたので、イートに移りたいと思います。」
片山が背後に設置してあるコック姿の人形に付いているモニターを片手の手のひら全体で指し示す。
モニターには2人が選ばなかったサークルケーキの欠片が映し出された。
モニターの左側、つまり鞍馬京介の側からは2ピースで構成されている欠片が、モニターの右側、暗倉一斗の側からは3ピースで構成されている欠片が映し出されていた。
欠片は黒塗りされており、数字は見えない。だが、次の瞬間にそれぞれの欠片が数字に置き換わった。
鞍馬の側にあった2ピースの欠片は6に置き換わり、暗倉の側にあった3ピースの欠片は7に置き換わっていた。このことから、それぞれのピースに割り当てられていた数字の合計が映し出されたものだと推測できた。
そして、その数字がモニターの下方向から出てきた炎のエフェクトに燃え尽くされた後に、モニターの中央に線がひかれ、左右それぞれに鞍馬京介と暗倉一斗の名前が映し出され、さらにその下に数字が映し出される。
鞍馬京介:33
暗倉一斗:26
「ほら、言っただろ。勘が1番信用できるって。」
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