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第四十七話 開幕


黒い車が道路を走っている。車内には3人の男性。運転席に座っているのは斑会副会長狩川憲次(かりかわのりつぐ)であり、後部座席には会長の宇都宮冬司とそのギャンブラーである鞍馬京介がのっていた。


「あぁ、パチンコ打ちてぇ。」


鞍馬京介が頭を抱える。


「さっき打ってきたばかりだろ。」


宇都宮冬司が隣で唸っている鞍馬に苦言を呈した。


「まだ打ちたりなかったんだよ。」


不機嫌そうに言い返す。


「仕方ないだろ。移動の時間になったんだから。ゲームに勝てばまた打てるんだ。それまで我慢してろ。」


そう言う宇都宮冬司の姿は子供に言い聞かす親のようであった。


「今日のゲームも早く終わらせてパチンコ打ちに行くんだ。俺は。」


鞍馬は決意を固めた。


2人の会話を来ていた狩川憲次が唐突に口を開く。


「鞍馬さん。私への借金のことも忘れないでくださいね。」


「チッ。わかってるよ。」





同時刻、別の黒い車の車内にも3人の男性。運転席に座っているのは神崎組若頭の新田堂護であり、後部座席には、組長の神崎士郎とそのギャンブラーである暗倉一斗が座っていた。


「僕のことを見てバカにしてきたりしないかな。悪口とか言ってこないかな。怒鳴ったりしてこないかな。あぁ、不安だな。」


暗倉がブツブツと何かを呟いている。


「お前はいつも不安がってるな。」


小説を見ている神崎士郎は一瞬だけ隣に座っている暗倉のことを見た。


「しょうがないじゃないですか。こいういう人間なんですから。こんな不安そうにしてるギャンブラーには任せられませんか?」


神崎士郎に質問をなげかける。だが、暗倉のその表情から、かえってくる答えがわかっていて質問しているように見えた。


「いや、神崎組のギャンブラーはお前にしか任せられないな。」


(お前にしか任せられねぇよ。お前はいつもビクビクしてるくせに、相手に負けることに関しては一切不安がってねぇんだからな。)


心の中で暗倉一斗を信用している理由をつぶやくが、それを言葉にすることは無かった。





黒い車は星流(せいりゅう)ホテルの駐車場に止まった。


運転席に座っている1人は車に残り、後部座席に座っている2人はドアを開き、車を出た。


2人はそのままホテルに入り、ロビーの受付に『ヴレ・ノワール』の示したスマホ画面をみせると、受付の奥に案内された。


長い廊下を進むと扉の開いた1つのエレベーターがあり、2人が乗り込むと自動で扉が閉まり、下に向かっていく。


チーン。


音ともに扉が開くとそこには赤いカーペットが敷かれており、その先には扉があった。


1人は黒服の男に連れられて他の部屋へと移動する。残されたもう1人は扉に向かって赤いカーペットを進んでいく。


扉の前に立っていた黒服の男たちに身体検査を受けた後、問題がないと判断され、ここで待っているようにと指示された。


しばらく待っていると扉が音を立てて開く。


扉の先にあった部屋の床は白く、壁紙はポップな絵柄に変えられており、それはまさに遊園地のようであった。


そんな部屋には、強化ガラスでできたドーム型の建造物が向かい合うように設置してあり、その床だけ他と違く黒く、そのドームの中にはタブレットを搭載している長方形の箱のような机と椅子が設置してある。


椅子の斜め後ろには2.5m程の人形があり、その人形の心臓の位置にハート型の画面が付いている。そんな人形の真横には、椅子をまたいで飲食店の外装を模したコンクリートのような素材で出来たパネルが設置してあり、そのパネルには星型のLEDライトが3つついている。


そして、鞍馬側のドームの左斜めまたは、暗倉側のドームの右斜めの場所に推定高さ6mのコック姿の人形が設置してあり、その人形の腹には大きなモニターがついていた。更にその部屋には、複数のカメラが設置してある。なんとも異質な部屋であった。


そんな異質な部屋に3人の男が立っていた。2人は対面しており、もう1人はそれを眺めている。


「俺は鞍馬京介。斑会のギャンブラーにして、お前らを負かす男だ。」


鞍馬が対面に立っている男に対して自己紹介をした。


「暗倉一斗です。よろしくお願いします。」


不安がりながらもそれに答えるかのように暗倉も自己紹介をした。


「それでは、役者も揃いましたので始めていきたいと思います。今回のゲームマスターである片山です。」


片山と名乗ったゲームマスターはインカムを装着しており、それを外すことなく、お辞儀をした。


「まずは、今回のギャンブラーの紹介です。」


片山は右手で鞍馬をさし示す。


「パチンコ依存症の異常者だが、その強さは本物。斑会ギャンブラー、鞍馬京介。相対しますは、」


今度は暗倉の方を左手でさし示す。


「いつも不安がっていますが、長い間神崎組を護り続けた男。神崎組ギャンブラー、暗倉一斗。」


片山はギャンブラーの紹介を終えると、さし示していた手を引っ込める。


「この2人にはそれぞれの組織を賭けてゲームをして頂きます。そして、今回行うゲームはこちらです。」


片山の背後にあるコック姿の人形に付いているモニターが光を発して、何かを映し出す。


「その名も、ホールカット・ホールランド。」


読んでいただきありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価お願いします。あと、よろしければ感想やレビューも書いていただけると嬉しいです。


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