第四十六話 神崎組
東京と神奈川を13年間もの間纏めあげている組。その組は神崎組。組長の名は神崎士郎御歳56となる。
組長室のソフィに座り、菓子をつまみながらテレビを見ている男がいた。
「まぁまぁ、おもしれぇじゃねぇか。」
テレビに映っているのは配信サイトで配信されている任侠もののドラマである。
「だが、今はこうもいかねんだよな。」
そのドラマでは今まさにヤクザの抗争が流れていた。
コンコン。
組長室のドアからノック音がした。
神崎士郎はサイドテーブルの上に置いていたテレビのリモコンを手に取り、電源をおとす。
「入ってきていいぞ。」
ガチャ。
組長室の扉が音を立てながら開く。
「失礼します。」
そこに立っていたのは神崎組若頭である新田堂護であった。
新田は手に古いポータブルDVDプレイヤーをもっていた。
「組長。これを見て頂きたいのですが。」
新田は手に持っていたポータブルDVDプレイヤーをサイドテーブルに置き、再生をおした。
ジ、ジ、ジジー。
画面に映ったのは2人の男であった。1人は、椅子に座っていて、長髪で、後ろで髪の毛を束ねており、丸眼鏡をかけていた。もう1人は、後ろに立っており、金髪で、ジャケットを身にまとっていた。
画面が映るなり長髪の男が口をひらいた。
「俺は、斑会会長、宇都宮冬司という者だ。俺は関東地方をとるために川名組と神崎組に勝負を挑む。まず初めに東京に居座っているお前ら、神埼組だ。さぁ、組をかけたゲームをしようじゃないか。」
DVDの内容は神崎組に対する宣戦布告であった。
「これが、先程。送られて来まして。」
新田がDVDをここに持ってくるまでの経緯を説明した。
「成程、神崎組も舐められたもんだな。いいだろ。その野望を真っ向から打ち砕いてやるよ。」
こうして、斑会と神崎組のお互いの組織を賭けた戦いが幕を上げた。
◆
「はぁ。」
パーマをかけたかのようなねじ曲がっている黒髪の男が道を歩きながらため息をもらす。
「不安だなぁ。危ないことが起きなければいいのですが。」
その男がビクビクしながら歩いている道は公園の真横にあり、その公園では少年達が楽しく野球をしていた。
「投げるぞ。」
ボールを持った少年が声をかける。
「よっしゃー。こい。」
バットを持った少年がそれにこたえた。
シュッ。
少年の投げたボールがキャッチャーのミット目掛けて飛んでくる。
カキンッ。
そのボールをバットで打ち返すが、当たり所が悪かったのか、ボールはあらぬ方向へと飛んでいった。
そのボールは不幸にも道を歩いている黒髪の男性に当たりそうになった。
スっ。
だが、その男性はボールを見ることなくかわしてみせた。そして、何事もなかったかのように歩んでいる。
「あぁ、危なかったぁ。野球をしているとボールをあらぬ方向に飛ばすこともありますからね。それに、それがたまたま僕にあたる可能性もありえましたからね。予測しておいて良かったです。」
その時、黒髪の男のポケットから着信音が鳴り響く。
スマホを手に取って見ると画面には『神崎組長』と映されていた。
ピッ。
「もしもし、そのぉ。もしかしてゲームですか?」
電話にでるなり唐突にそんなことを言い出した。
『さすが、暗倉だな。その通りだ。斑会の奴らがゲームを仕掛けてきた。返り討ちにするぞ。』
「あぁ、やっぱりそうですか。」
このいつも不安がっている黒髪の男こそ、神崎組のギャンブラー。暗倉一斗である。
読んでいただきありがとうございます。面白ければ、ブックマーク、評価お願いします。あと、よろしければ感想やレビューも書いていただけると嬉しいです。




