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第四十話 安全策


「なっ、何をやってるんですか?」


川名春吉は阿黒賢一と会ってから何度目かもわからない驚愕をする。


何故なら、モニターにうつる自身の組のギャンブラー、阿黒賢一の意味不明な相手にタブレットを見せるという行為をしたからである。


だが、川名春吉も無駄に阿黒賢一と一緒にいた訳では無い。以前とは違い数秒で冷静さを取り戻す。


(いや、落ち着け。阿黒さんには絶対に何か策があるはずだ。亜久津を騙し、逆転できる何かが絶対に。だけど、これにどんな意味があるんだ。これによって阿黒さんの賭けたライフコインの数は亜久津にバレてしまう。そうしたら、亜久津はそれよりも1枚多くライフコインを賭ければ絶対に勝てる。)


川名は必死に思考するが、答えには辿りつけなかった。





阿黒賢一は10と入力したまま、変えることなく決定を押し、タブレットを元の場所に戻した。


それを見ていた亜久津は何も言わない。


(阿黒賢一、君は一体何を考えている。ここで俺にライフコインの賭け数を教えて何になるというんだ。)


いや、亜久津は何も言わないのではない。何も言えないのだ。


(だが、君のことだ。何かしらの策を隠し持っているのだろう。ポイズンアンドホーリーの時のように。)


亜久津は脳内でポイズンアンドホーリーの時の阿黒賢一のことを事細かに思い出す。


(ポイズンアンドホーリーの時の札の公開は毒と聖水の順番に目を向けなくするためのものだった。今回も同じような目的なのか、それとも、違う目的があるのか。)


阿黒賢一の策を見破ろうと思考している間に徐々に制限時間という名のタイムリミットが近づいてくる。


(これ以上、阿黒賢一の策を見破るための思考に時間をさく訳にはいかないな。)


亜久津は自身のタブレットに目を落とす。


(阿黒賢一はファーストで1、セカンドで10の合計11のライフコインを賭けた。俺が12コイン賭ければ差を大きくすることはできるが、それは予想できること。阿黒賢一がそれを予想しないはずがない。俺に12コインを賭けさせることが目的の可能性が高いな。ここは、阿黒賢一の狙いを確かめる意味も込めて同じ数賭けることが良いだろう。)


亜久津は阿黒賢一が公開して賭けたライフコインの枚数と同じ数字を入力した。


「それでは、ジャッジに入りたいと思います。」


ゲームマスターである河野が1ラウンド目と同じく声高らかに宣言すると、再び背後に文字がうつしだされる。


Draw


「2ラウンド目は引き分けに終わりました。これにより、阿黒様と亜久津様にさそれぞれデスコインが5枚ずつ付与されます。」







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