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第三十六話 限界


「無いようですので、これより、ライフイズコイン。開始です。」


河野の合図により、お互いの組を賭けたゲーム、ライフイズコインが始まった。


「それではこれより、ライフイズコインの1ラウンド目のファーストを行ってください。」





川名春吉は別室のモニターでこのゲームを見ていた。


(ファーストが始まった。ファーストでのライフコインはお互いに確認が可能だから。)


両肘を机の上に置き、手を交互に組み、そこに顔をうずくめる姿勢をとる。


(できるだけ相手に情報を与えたくないから、1を選択するのが良いはず。)


そんなことを思いながら顔を上げ、モニターの方に向けた。




阿黒賢一はなんの迷いもなくタブレットに映し出されている数字を入力し、決定のボタンを指で押した。それから、数秒のラグの後、firstとかかれているところに入力した数字が映し出された。


阿黒賢一が入力を完了させた時には既に亜久津成義は入力を終えていた。


「ファーストが完了致しましたので、オープンしていきます。」


河野が背後にある大きなモニターめざして、手を向ける。


阿黒賢一:1

亜久津成義:1


ファーストの結果は川名春吉の考えた通りになり、お互いの残りのライフコインは99となった。


「それでは、セカンドを行ってください。」


ゲームマスターである河野が声高らかに言った。





川名春吉は再び考える。


(ファーストの結果は阿黒さんも亜久津も共に1だったから、残りのライフコインは共に99。ここで負けてしまうと、デスコインを10個獲得してしまう。)


先程と同じ姿勢をとり、思考を深くする。


(デスコインを簡単にいえば、ライフコイン-10ということになる。ライフコインは自分の命と共に勝利するために賭けるお金でもある。1ラウンド目でデスコインを受け取ってしまったら、相手よりも賭け金が減ってしまい、その後のゲームが不利になってしまう。このラウンドは勝利で終わりたい。)


顔を上げ、モニターにうつっている自身の組のギャンブラーを見ながら心の中で祈る。





川名春吉が祈っている時、阿黒賢一を黙って見つめていた亜久津成義が口を開く。


「俺は限界を超える。」


阿黒賢一に聞こえるよいに抑揚のない声で言った。


「それは、信じていいのかな?」


亜久津成義の目を見て問いかる。


「それは、君しだいだ。」


その問いは抑揚のない声によってかえされた。





(ど、どういうことだ?)


川名春吉はモニターうつっている相手のギャンブラーである亜久津成義が言った言葉の意味を理解しようと脳をはたらかせていた。


(限界を超える。どういう意味なんだ?限界?なんの限界何だ?このゲームに関わることで、限界?)


ライフイズコインのルールを思い出しながら深く、深く思考していく。


(限界、超える……、まさか、)


思考していく中で川名春吉は1つの答えにたどりつく。


(限界って賭けるコインの数のことなんじゃ。ペナルティのデスコインの数は10。もし、このラウンドで勝っても相手とライフコインに10個の差をつけ勝ったとしたら意味が無いんだ。)


相手がセカンドで1のライフコインを賭けたとして、自身が11のライフコインをセカンドで賭けたとしよう。この場合、2と12で勝利し、相手に10個のデスコインを送った場合、相手と自身の使えるコインの差は0なのである。


更には、相手が1で自身が12のライフコインをセカンドで賭けてしまった場合、勝利したのにも関わらず使えるコインは自身の方が1少なくなってしまう。


この思考にたどりついた川名春吉は亜久津の限界という言葉の意味を理解したのだ。


(亜久津が言っていた限界とはセカンドで賭けても比較的安全な数字の上限である11のこと。ここを超えてしまうと相手が1を選んだ時、自身の使えるライフコインが相手を下回ってしまう。限界を超える。つまり、11を超えるということは、12以上のライフコインを賭けるという宣言。)


川名春吉は更に深く思考という沼にはまっていく。


(だけど、これがブラフだった場合、亜久津が12以上を賭けると思い、1を賭けた時、亜久津がライフコインを2しか賭けてこなかったら、最悪の結果になってまう。それだけは避けたい。ならばそれすらもよんで3を賭けるか?いや、もし亜久津が宣言通り11以上である12を選択していたら、負けてしまう。だが、最悪の結果は避けられる。いや、待てよ。亜久津がそれすらもよんでいて4を賭けてきたら最悪の結果となってしまう。どうすればいいんだ。)


川名春吉が長時間悩んでいる間にモニターの先ではセカンドが終わり、ジャッジが始まろうとしていた。





「それでは、ジャッジに入りたいと思います。」


ゲームマスターである河野が声高らかに宣言をした。



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