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第十五話 埼崎組


わしはいつも通り、組長室で仕事をしていた。そんな時じゃった組長室のドアがノックされた。ノックしたのは若頭である倉垣泰三(くらがきたいぞう)じゃった。


「失礼します。」


黒スーツ、黒サングラスのガタイの良い男性が入ってきた。


「どうした。」


「組に入りたいと言っている若造がいるのですが。」


「いくつだ。」


「今年で20だそうです。」


この時には既にヤクザは虐げられる存在となっており、世間の風あたりは強く、ヤクザになって良いことなど1つもなかった。新入りも全然入ってこなくなり困り果てていた時だったので、組に入れることにした。


わしはどんな男なのかを自分の目で確かめるためにそいつに会いに行った。


そんな珍しい奴の名前は陣間智久といった。目を見ただけでコイツに野心があること、とてつもない才能を秘めていくることがわかった。


智久は組に入るなりわしの読み通り、才能を開花させ、すぐに手柄をあげた。数ヶ月もすれば組のほぼ全員が智久を人目置くようになり、さらに数年後には埼玉1の組になっとった。


だが、そんな時間も長くは続かなかった。『ヴレ・ノワール』という組織が突如としてでき、裏世界を牛耳ったのだ。だが、ここまでは良かった。問題なのはその後。『ヴレ・ノワール』の提示してきたルールにより、わしらは牙をもがれた。


そこから数年間は地獄のような時間じゃった。だが、そんな中でも智久は頑張って手柄をあげていった。君のように強いギャンブラーをあちらこちらにさがしに行ったり、その他のことで金を集めたりなどじゃ。


だが数年前、わしら埼崎組は他の組と争うのを極力避けるように方向転換をした。


『ヴレ・ノワール』のルールによって暴力よりも知が必要となった。組に入るようなヤツは大体が喧嘩っパやい性格をしている。そんなヤツらにはゲームは向かない。そして何より、ゲームを行えるギャンブラーが一人しかいなく、仲が良かった川名組のギャンブラーとしてもやって貰っとったことからの決断じゃった。


『ヴレ・ノワール』のゲームはオリジナリティに溢れておる。一戦だけでもギャンブラーの体力や精神力を大きく消費してしまうだろう。いくら強いギャンブラーだろうと何戦と短い間に続いたら、いづれガス欠を起こして負けてしまうのがオチじゃ。


だが、その決断に反対した者がいた。それが陣間智久じゃった。


陣間智久が組に入ってから1年くらいの時に聞いたことがあった。「どうして組に入った」のかと。すると、智久は「俺はてっぺんになりたいんですよ。それが親父との約束だったもんで、」と笑いながらかえしておった。


そんな智久にとってこの決断は受け入れられたものじゃなかった。


智久は組にギャンブラーが不足していることを重々と理解していた。だから、新しいギャンブラーを見つけるために日々さがし回ったりしていた。更には、川名組を切り捨てるようにとわしに言ってきたこともあった。


そんなふうに埼崎さんが話していると今まで黙って聞いていた川名春吉が口を開く。


「どうして川名組を切り捨てなかっんですか。俺は埼崎さん達に何一つ見返りを与えられなかったのに、何故ですか。」


埼崎組がなぜここまで川名組に力を貸してくれるのか、なぜ自身の組を広げることよりも川名組を選んでくれるのか、川名春吉は思っていたことを目の前にいる埼崎元組長に問いかける。


「親友の最後の願いには答えねぇといけねぇだろ。」


その言葉を聞いた瞬間に埼崎元組長がなぜ川名組をここまで思っていてくれたのかを理解した。


埼崎元組長は、どこか悲しそうな目でそう答えた後に、再び陣間智久について話し始めた。


埼崎組が変わってしまったことを止められなかった智久は次の日から組に顔を出さなくなった。どんなに探しても探しても、ついに見つかることは無かった。


それからしばらくして、智久は組に戻ってきた。真名慎太郎(まなしんたろう)という一人の男をつれて。そして、ゲームを挑んできた。


『ヴレ・ノワール』のルールにより、拒否することはできず、ゲームを受けた。そして、負けた。


陣間智久はわしと赤坂晨人を組から追い出した。ゲームを申請する時にわしの命をかけさせることもできだろうにそれはしなかった。そして、埼崎組から陣間組へと名前を変えて川名組にゲームを挑んできた


「という訳じゃ。」


一通り話し終えたら、埼崎さんは赤坂晨人をつれて帰って行った。


埼崎さんのおかげで陣間智久がどういう人間なのか、何が目的なのかを理解することができた。





「負けたのぉ。」


黒い車をの後部座席に座っている埼崎元組長が運転をしている赤坂晨人に対して言葉を発する。


「えぇ、コテンパンに負かされました。」


「で、どうじゃった?」


この間戦った陣間組のギャンブラーのことを脳裏に思い浮かべる。


「おそらく、彼よりも化け物かと。」


その答えに満足したのか、埼崎元組長は少しの笑みを顔に浮かべた。


「そうか。」






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