事実は小説よりも奇なり
読んでくれ
憂鬱な授業の黒板をみんながノートに写している間、俺は別のことをしていた。
多分クラスのみんなから見た今の俺はただ単に暇つぶしをしているだけに見えるだろう。
だが違う、俺は今めちゃくちゃ真剣だ。
俺は昨日のラノベを読んだ。
普通ならそこで終わるもしくはSNSで感想をかくそんぐらいだ。
ちなみにジャンルは普段はあまり触れてこなかった日常ラブコメだ。
名前は確か、「転校してきたお隣で優等生なロシア人の天使様が俺にだけからかい上手な件」
オタクのハッピーセットみたいなラノベだった。
買ったときはあまり考えなかったがあれを親に見られたらどうしよう。
そんなことは後で考えよう
今俺が考えたいの何故ラノベと現実はこんなにも酷い差があるかについてだ。
学校一モテる美女?
みんなは見たことあるか?
俺はない。
もちろんかわいい子もいる。
だが学校一か、と聞かれたらと違う。
ほんで学校一の優等生?
ツチノコと同じぐらいに俺は見たことがない。
現実は悲しい。
なんでこんなことを必死に考えてるかって?
もちろん俺だって知ってるよ所詮ラノベはフィクション。
だけどみんな何故、映画やアニメを観る?
そこに憧れがあるからだ。
これはラノベに限ったことじゃない。
俺は昨日まで日常ラブコメを読まず嫌いしていた。
理由はありえないと思ったからだ。
なんの能力も才能もない凡人の主人公に完璧に近いヒロインが惹かれる。
ありえないだろ?笑っちまうよな。
けど俺が好きなファンタジーやSFだってありえないのだ。
そう考えて好奇心が湧いた。
読んでみて思ったのが、普通に面白かった。
ほんでめちゃくちゃ嫉妬した。
だから俺もラブコメがしたいと思った。
簡単な話だ。
でも現実は悲しいほどよくできている。
だが俺は見逃さない。
この学校にも『学校一番』を冠する者がいることを。
そしてなんとそいつは偶然にも俺のクラスにいる。
隣じゃないけど。
これは運命だ。
間違いない。
しかも名前は、安倍新夏だ。
これはキタ、父さん風に言うならこれ確変だ。
実は陰陽師の末裔とかのパターンだ。間違いない。俺が読んだ教科書じゃそれが王道だ。
別に死神代行でもいい。
でもみんな気になるだろう?
彼女は学校一の優等生なのか?
いやそんなことはない。
なにせ彼女は今授業中みんなが先生の話を全く聞いていない。
何故分かるかって?
そりゃ分かるだろう。
だって彼女、授業はじまってからずっと教科書に漫画挟んで読んでるんだもん。
じゃ、学校一の美少女なのか?
いや違う。
彼女の見た目は普通だ。
多分卒業したら1年ぐらいで忘れるくらいには普通だ。
じゃなんの一番だよって?
そう焦るなよ~それを教えるのは俺じゃない。
なにせ今から、心の優しいみんなが教えてくれるさ。
「あいつ勉強しないなら学校くんなよ」
「それな!、私不良ですアピールきっつ」
「まじで死なねーかなあいつ」
「誰か先生に言えよ」
「は、じゃお前が言えよ」
「私あいつと関わりたくない無理」
これで分かったかなみんな?
そう。
僕の席の前の彼女は『この学校で一番嫌われ者』だ。
ありがとうm(_ _)m