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時間割  作者: はやはや
1/7

1時間目:算数

 算数が苦手だ。小学一年生のたし算の段階でつまづいた。数の概念を持つことが、どうやら私は苦手らしい。


 例えば、

 1+1=2 を考える時、耳で数式を聞いて答えを覚えているにすぎなかった。だから1+4=5 と答えられても2+3は? と問われると

「そんな数式聞いたことない……」

 と愕然としていた。


 どんなに私がつまづこうが、算数の勉強は進んでいく。とてつもなく苦しかった。


 次に私を苦しめたのは、水のかさの問題だった。ℓとか㎗。

 細長くて高さがある入れ物と、横に幅がある入れ物に水が入っている絵が描いてある。水は見た目には、細長くて高さのある入れ物の方が、水位が上に描いてある。

 どちらにたくさん、水が入っているでしょう? という問題だ。

 こんなの見ただけでわかる と私は思った。

 自信満々で、細長い高さのある入れ物の方を選んだ。ところが、先生が示した答えは横に幅がある入れ物の方だった。

 またしても、私は愕然とする。

 先生が横幅の広い入れ物の方が体積が大きいから、水の量が多い……というような説明をしていたと思う。


 私は納得がいかなかった。実際に実物を見せて、説明してくれ! と叫びたかった。

 聞いて覚えることはできるので、宿題やテストで同様の問題が出たら、先生が言った通りに、横に幅がある入れ物の方を選べば、概ね正解できることはわかっていた。


 でも、どうしてもどうしても、私は自分の中で納得がいかず

「やっぱり細長くて高さがある方が、水がたくさん入っているような気がする……」

「いや、先生が言っていたように、横に幅がある方が正解にちがいない」

「まてよ、この問題に限っては、細長くて高さがある方が正解かも……」

 と、算数とは全く関係のない攻防戦を一人頭の中で繰り広げ、結局自分の考えを譲れず、まんまと見た目に騙されて、〝細長くて高い方〟を選び、不正解になっていた。


 可視化された物が絶対である、というこの考えは今も私を苦しめている。

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