51話 哀哭
「仮面が割れたら別人だな」
「先程よりも鬼の力が強くなってるっす このままだと里が水に沈んでしまうっす」
「ちっ 厄介だな」
「ヒャハハハ 泣け 泣き叫べ」
溢れた水は渦巻きを作り村を破壊する
手下の鬼人も関係無しに水が襲いかかっている
「見境なしか」
窪地になっているため水が抜けず、どんどん溜まっていく
レゼが影でサメを作る
「水を飲み込んで」
サメの口が大きく開き水を吸い込んでいく
「早く、哭鬼の叫を倒すっす」
「簡単に言ってくれるぜ」
「ヒャハハハ」
叫の体にジャッカルを撃ち込むが水に変化していて大したダメージにならない
レゼのサメが休みなく吸い込んでいるが叫から止めどなく溢れているので水位が増していく
「これじゃあキリが無いっす」
「むぅ この前の様に凍らせれば」
氷の礫を作り出し、叫に向けて一斉に放つ
礫が当たった場所は見る見るうちに凍り付いた
「なんだ これ!体が凍って動けねぇ」
凍り付いた体をジャッカルで撃ち砕く
「う ア゛ア゛ァ 痛ぇ! 痛ぇ!」
腕と足が砕け、激痛が走る
溢れ出ていた水が止まったが叫の様子がおかしい
残った腕で胸を抑え苦しそうだ
「ア アガ ウ゛恨めしぃ なんで俺が この俺が・・・ ア゛ア゛ア゛ァァァ」
叫の体にみみず腫れの様に水が広がり、胸から黒い水が勢いよく吹き出した
吹き出た水は叫を覆うと、巨大な球体になりゆっくり落ちてくる
「大変っす あれは暴走した鬼の力が集まったものっす
このままだとこの辺り一面爆発によって跡形も無く吹き飛んでみんな死んでしまうっすよ」
「あぁ? やべぇじゃねぇか 全員が逃げる時間なんてねぇぞ」
「結界を張って爆発を押さえ込むしかないよ」
すずが現れる
「結界ってかなり強力なものじゃねぇとあの大きさのものを封じ込められねぇよな そんな奴いるのか?」
「それなら大丈夫 結界ならあたいにおまかせあれ 里の結界もあたいが張ったんだからね」
ウインクする
「僕も手伝う」
「いいの? ありがとう 助かるよ」
レゼに抱きつく
「さぁ時間がないからちゃっちゃとやりますか」
「うん ディーは里の人達を助けてあげて」
「おう 任せろ」
すずとレゼは球体を中心にして対角線上に立ち結界を張る
少しずつ結界を狭めていく
球体が結界に触れると爆発した
「くぅぅ!」
衝撃で体が後ろに吹っ飛びそうになるのを堪え爆発を押さえ込む
ピシッピキキ
結界にヒビが入るがレゼの影がヒビを縫うように広がる
「んっ!」
「はあぁぁ!!」
「やったっす 成功っす」
「ふぅ なんとかなっ・・・」
気を失い倒れそうになったすずをとび丸が支える
「あまり無茶するな」
「レゼ 大丈夫か?」
「うん 問題ない」
「そうか やっと片付いたな」
里襲撃から数日後
「瓦礫の山だったのに里もだいぶ元に戻ってきたね」
「病み上がりなんだからはしゃぐな」
「もう、とび丸は心配症だな もう大丈夫だって」
「だがな・・・」
「あっ レゼ ディー おーい!」
手を振りながら走ってくる
「すず」
「もういいのか?」
「うん 元気100倍だよ レゼ達も戦っていたのに里の復興に協力してくれてありがとうね」
「その件は拙者からも礼を言う」
「あのままじゃ可哀想だと思って」
「おーい昼にするぞ」
「そうだ お昼持ってきたんだった とび丸が作ったからとっても美味しいよ 一緒に食べよ」
「気が利くじゃねぇか」
すずが持ってきたお弁当を広げ昼食にする
ぱくっぱくっ
「本当にとび丸の料理は旨いな」
「里で一番だからね」
「こんなものまで作れるのか」
「料理は好きだから自然と色々作れるようになった」
「美味しい」
ぱくっぱくっ
「ごちそうさま! レゼたちは北東部に用事があるんだよね」
「あぁ 里の復興も一段落したから明日には里を立とうと思ってる」
「そっか なら道案内しなくちゃね」
「すずは病み上がりだから拙者が代わりに案内しよう」
「えぇ あたいが案内するよ」
「里の外は危険なんだぞ」
「分かってるよ そんなに心配ならとび丸も一緒に来ればいいじゃん!」
「一緒に・・・そうだな 長に確認してくる」
考えがまとまったのかお弁当を片付け止める間もなく行ってしまった
「直接案内しなくても地図を書いてくれればいいよ」
「それはダメだよ 極秘事項っぽいしね」
ちょっといたずらっぽく言う
次の日の朝
「客人、世話になったのう 里の危機を救ってくれて感謝しとる すずだけでなくとび丸も付いていくことになってすまんのう 二人とも迷惑をかけないよう気を付けて行くのじゃぞ」
「もう 分かってるよ」
「同行の許可 感謝する」
「兄ちゃんたち また里に来てね」
「また来いよ」
「バイバーイ」
里のみんなに見送られ、長の屋敷の裏手にある洞穴へ進む
洞穴は進むにつれ次第に分かれ道が多くなり罠も増えていった
奥に行かせないようにしているみたいだ
「凄い罠の数っすね 道も複雑で分かってないと一生出られなくなりそうっす」
「次は右・・・今度は左・・・上に登って・・・飛び降りる」
頭上から僅かな光が見える
「もうすぐ出口だよ」
「ここをこうして・・・引っ張る・・・」
ゴゴゴッ
岩が窪み、よじ登れるようになり、窪みを頼りに登っていく
地上に出ると渇いた風がレゼ達の頬を撫でていった




