22話 ナタリア神殿
ラビリスを先頭に入り組んだ道を進んで行く
「暗いですが大丈夫ですぅ?」
「俺とレゼは暗闇でも問題なく見えるから大丈夫だ」
「へぇ便利ですね あっ魔王様足元気を付けてください」
ディーの話には興味が無いようでファルチェの心配ばかりしている
「確かここら辺にスイッチが・・・これかな」
遠くからガコンっと音がして岩が転がってくる
「あやぁ 間違えました」
レゼのパンチで岩を砕く
「こっちですぅ」
本当に道が分かって進んでいるのか不安になる
槍が降ってきたり地下水が流れ込んできたり散々だ
罠が発動する度にレゼとディーが対処したのでラビリスとファルチェはピクニックにでも来たかのような陽気さで進んでいる
・・・わざと間違えているような気さえする
「お前わざとやってないか」
「そんなことないですぅ!ちゃんと能力を使っていますぅ!」
「喧嘩するでないのだ」
「はい 魔王様! 喧嘩なんてしませんですぅ」
「変わり身の早い」
自然が作り出した洞窟は進むにつれ人工的な床と壁に変わり壁には灯火が通路を薄暗く照らし始めた
人工的な通路を進んで行くと正面の壁が全て鏡になった十畳程の空間に出た
「先に行く道がねぇぞ」
「ここは鏡魔の祭壇ですぅ
魔導の血を引く者しかこの先には行くことは出来ないと言われているのですぅ」
「そうなのだ」
ファルチェが鏡に手を触れると蔦の模様が鏡を覆いつくしたと思ったら消えてしまい奥に蔦が垂れ下がった道が続いている
奥へ進んで行くと
地下水湖が現れ、その中心にある台座には一振りの剣が刺さっていた
「見つけました!私たちが探していた魔剣ですぅ! 唯一冥王を消滅させることができる剣ですぅ! これで 私たち悪魔族の時代が来るんですね!」
「魔剣までどうやって行くの?」
「それはですね、魔王様血を湖に垂らしてみてください」
「んう? わかったのだ」
血を垂らすと湖から飛び石が現れ、魔剣が刺さっている台座までの道になった
「道が現れたな」
「これも魔王様が魔導の血を引いているからできることなんですぅ」
得意気に言う
「凄いのはお前じゃなくてファルチェだろ」
ラビリスとファルチェが飛び石を渡り、魔剣を手に入れる
レゼとディーは入口で待機する
「さぁ 魔王様」
「うむ」
スルッと抵抗無く魔剣は台座から抜ける
魔剣はファルチェの体に溶け込むように消えていった
「なるほど・・・魔剣は確かに我が手に入れたのだ」
魔剣が消えると軽く地面が揺れ、
静かだった地下水湖がゴボゴボと音をたてまるで沸騰しているかのように水面が泡立ち始めた
「ラビリス、ファルチェ戻ってこい!」
「はいですぅ」
「うむ」
ガラガラと天井から砂や石が降り注ぐ
「何が起きてるのだ?」
「わからねぇ」
「とにかくここから離れるぞ」
来た道を急いで戻る
蔦の廊下を小走りで抜け、魔鏡の祭壇に差し掛かった時地面が崩れ始めた
「もうもたねぇね」
狼の姿になり、レゼ、ファルチェ、ラビリスを背に乗せ駆け出す
「しっかり掴まってろよ」
「ラビリス、道案内」
「はいですぅ! 感覚共有 この方が口で伝えるより正確ですぅ」
発動者の状態変化や能力を共有することができる魔法だ
これで出口まで迷わずに向かうことができる
「出口までの道が直接頭に浮かんでくる 凄いな」
降ってくる瓦礫を避けながら進む
上から爆発音がする
「ディー 上!」
「おう!」
天井が崩壊する
崩れた瓦礫を伝い、空いた穴から上の階に移動する
「下よりはましになったな」
皆を背中から降ろし元の姿に戻る
「見つけたぞ!」
「観念しろ」
「ここがお前らの墓場だ」
奥から天魔の兵がぞろぞろとやってくる
「私たちがここにいることがばれてましたですぅ」
魔力感知で兵を見渡し、ため息をつく
「天魔の兵どもか、我を楽しませてくれそうな者はいないのだ」
「どこにでも湧くな」
パラパラと洞窟の壁や天井が崩れていく
「時間が無いからさっさと終わらせて行くぞ!」
「うん」
「うがぁ」
「がはっ」
「ううぅ」
天魔の雑魚兵を瞬時に倒していく
落ちてくる瓦礫をレゼの影で破壊しながら地上を目指す
「倒しても倒しても限がねぇな 弱っちいけど」
「あいつらは数だけは多いですから」
天井が爆発する
「伏せろ!」
レゼの影で防壁を作り衝撃を防ぐ
「なんなのだ」
「一体何が起きたですぅ」
天井がごっそり吹き飛び赤い月が見えている
どうやら外に出れたらしい
「あ、あれは・・・」
ラビリスが空を見上げている
そこには巨大なクジラが泳いでいた
クジラの背には宮殿のような建物が見える
「魔境から動かなかった冥王城がここまで来ているなんて」
「めいおうじょう?」
「天魔の王 冥王ヘルヴァスが住む天空要塞のことですぅ
普段は魔界の辺境、魔境を出ることは無いはずですぅ」
「冥王の奴仕掛けてきたのだ」
「つまり親玉が攻めて来たってことか」
「そんなぁ私はどうすればいいんですか うぅこの人数じゃいくら何でも無理があるですぅ」
へたり込み頭を抱える
「大丈夫なのだ 我に考えがある ラビリスは援軍を呼んでくるのだ!」
「そんな、魔王様を残して行くことなんてできないですぅ」
「我にはレゼとディーがついておるのだ」
「確かにレゼとディーは強いですけど・・・それでも私は心配ですぅ・・・」
「我を信じるのだ」
「うぅ魔王様がそこまで言うのでしたらしかたないですぅ
どうかご無事で 直ぐに援軍を率いて戻ってきますから!」
「うむ 頼んだのだ」
「では 行ってきますですぅ」
「考えがあるって言ってたが、どうするんた?」
「考えは無い ただこのまま冥王城に乗り込むだけなのだ!」




