10話 最終試験
セクシーな女性は鞭を取り出し攻撃してくる
鞭には雷がまとわりついている
鞭を最小限の動きで避けていく
「よけてばっかりじゃ倒せないわよ・・・ほらほら!」
避けるのもダルくなってきたな
レゼの目には鞭の動きがスローに見えている
どうやって倒そう 殺しちゃダメだし・・・うーん
「すばしっこいわね!」
雷を帯びた鞭を手で掴む
少しピリピリするかどうかの威力しかない
「素手で掴むなんて・・・お馬鹿さん」
雷の威力が上がるが持てない程ではない
そのまま握り切る
「私の鞭を素手で破壊するなて・・・!」
女性は破壊された鞭を捨て腕を天に掲げる
暗雲が立ち込め周囲がピリつく
「これならどうかしら!」
レゼの頭上から雷撃が落ちてくるが影でガードする
「これでもダメなんて・・・あんたなんなのよ!」
レゼは女性にゆっくり近づいていく
腕を前に突き出し雷の矢を飛ばしてくるが、動揺しているのか見当違いの方向に飛んでいく
「来るんじゃないわよ このバケモノ」
影で大鎌を作り女性に向かって振り下ろす
鎌は女性の体をすり抜けたがよっぽど恐ろしかったのか泡を吹いて気絶してしまった
対決はレゼの圧倒的勝利で決着がついた
その頃ディーはローブを目深に被り杖を持った男と対峙していた
「おまえ 俺とやろーぜ」
「ヒィッヒィッヒィ 威勢のいい奴じゃな わしに声をかけるとは」
ローブのせいで顔は見えないが声は若い
ディーより少し上くらいだと思うが老人のようなしゃべり方をしている
「余裕そうだな!」
おもちゃの銃を錬成する
「わしをおちょくっておるのか」
「そんなんじゃねーよ 殺しちゃまずいからこれで十分なんだよ」
「ヒィッヒィッヒィ 後悔しても知らんぞ小童」
杖を振るうと幾つもの火玉が現れディーに向かって飛んでくる
ディーの銃から圧縮された水が放たれその全てを打ち落とす
「少しはやるようじゃな」
ローブの男の周りに魔素が集まり炎の壁を作り出していく
2メートルの壁になり迫ってくる
「へぇ」
同じ個所に連続で圧縮水弾を撃つ
弾は炎の壁を貫通してローブの男の肩を掠めるローブに血が滲んでくる
「くっ!」
ダメージを受け魔法から意識が逸れると炎の壁は霧散してしまった
「降参するなら今のうちだぜ」
「なめるでないわ!」
杖を振るい炎竜を召喚する
炎竜の熱で周囲の温度が上がり陽炎を作り出している
ディーは炎竜のブレスが放たれるよりも早く懐に潜り込み蹴りだけで炎竜を消し飛ばした
「何が起きたんじゃ・・・!」
あり得ないことが起き、頭が理解できないでいる
消し飛ばした後直ぐに跳躍しローブの男の背後を取る
その動きは常人には見えないだろう
「観念しな!」
銃口を頭に向ける
「わしのまけじゃよ」
杖を放し降参のポーズをする
「ディーお疲れ様」
駆け寄り抱きつく
「おう レゼも終わったか」
頭をモフモフし、幸せそうな顔になる
そこだけのほほんとした空間になっている
ドゴーン!
壁を破壊する音がする
音がした方向に目を向けと壊された壁の傍に人が倒れている
「あっけないですわね これしきで気を失われるなんて・・・」
パサッと長い髪を後ろにやりながら少女は呟き会場を後にしようとする
赤い髪に深紅の瞳をした綺麗な少女だった
「待ってなのソーニャちゃん」
赤髪の少女の後ろから少しウェーブのかかった白銀の髪に金色の瞳をした少女が走ってくる
レグ-ダは担架で運ばれていた
「レ・・・レゼ・・・さ・・・ん・・・」
相手だと思われる猫の恰好をした少女も一緒に運ばれていた
前髪で表情は分からない
最終試験が終わると大きなホールの様な場所に通された
始まる前よりも更に減っている
「こほん・・・試験ご苦労様じゃ わしはここの学校長のマートスじゃ 皆よろしくなのじゃ
そして入学おめでとうなのじゃ! これから君たちの先生が寮を案内するから集まってほしいんじゃ」
クラス分けもすでに終わっておりクラスごとに集まっていく
「レゼと同じクラスみてーで良かったぜ」
「うん」
レゼとディー以外はレグ-ダ、赤髪、白銀髪、青髪の6人が集まっている
「レグ-ダはいなくても良かったけどな」
「ひどい! レゼさんはそんなこと思ってないですよね!?
僕は一緒になれて嬉しいです!」
「騒がしいですわね 少しは落ち着きを持った方がよろしいんじゃなくて」
「あ゛ぁ」
「そこ静かにしろ 全員集まったな・・・お前らいいか私はリーザ・クロムウェル
この特別クラス白銀の担任だ 私の話をよく聞くように!」
「特別クラス?」
「そうだ お前たちは他の奴らより優秀だから優秀なこの私が直々に教えてやろうというわけだ
気軽にリーザ先生と呼ぶがいい・・・では寮に案内する」
敷地内の奥に豪勢な建物が見えてくる門の前には白銀寮と書かれている
「ここが寮だ 寮を出て西に見えるのがお前らのクラスがある校舎だ
明日から授業が始まるから遅れるなよ」
「リーザ先生 もしかして男女同じ建物ですの?」
「ああ そうだ 問題は起こすなよ」
「信じられませんわ! 獣どもと同じだなんて
わたくし安心して過ごせませんわ!」
「そうカッカするな 部屋には鍵もかけられるし制御魔法もかけてある
何も心配はいらない 小さいことで文句を言うな
それでも嫌なら考えるが・・・まあ白銀クラスなら多少の要望を通すことができるからな後で要望を出せばいい」
「獣って俺たちのことか?
お前みたいなやつ誰が襲うんだよ 自意識過剰なんじゃねーか」
「なんですって」
「ソーニャちゃん落ち着いてなの」
「ディーさん今のは良くないです」
「知るかよ 俺は別にレゼがいればどこでもいいからよ
お嬢様のわがままに付き合ってやる義理はねぇ」
「そこまで言われてわたくし黙っていられませんわ
このわたくしが問題が起きないようにしっかりあなた達を監視することにしますわ」
「まあ 好きにしてくれ」
「先生の許可も下りたことですし あなた達、覚悟しておいてくださいませ」
「なんだか賑やかだにゃ~ おいらは楽しけりゃそれでいいにゃ~」
「部屋はどうしますか?」
「そっちで決めてもらって構わない」
このあとリーザ先生に連れられて寮でのルールや共同スペースの使い方など一通り見てまわった
「すごいですわね」
「本当一緒に受かって良かったの」
「高級ホテルみたいだにゃ」
「ディーご飯も出るって」
表情はあまり動かないが目はキラキラしている
「そうだな これならギルドで仕事を探さなくても良さそうだな」
「僕はレゼさんと一緒で夢みたいです」
「お前ら 良く分かったか?
荷物は3日以内に届く手筈だ・・・最低限の物は揃ってるから心配はいらないだろう
それじゃ私は帰る·····明日の授業でな」
そう言うとリーザ先生は教師寮の方に帰っていった