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天翔けるヴァルキュリアス  作者: 袋石ワカシ
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第6話  訓練(2)



  第6話   訓練(2)





 冷気を裂くように上昇した2人は上空1200m付近で上昇をやめた。

 

 「この辺でいいだろう。気を引き締めていくぞ。武器は本物だからな」


 武器は模擬戦闘用のものもあるのだがやはり実戦用の武器とは手ごたえや重さが異なるので武器は実戦用のものを使用することにしていた。

 つまり死傷する可能性があるということだ。

 

 「私の装甲に傷を負わせることができれば模擬戦でも十分に勝てる可能性はあるだろう」


 エマニエ司令官は頭だけではなく技量もあるのだ。


 「わかりました」

 「君から動かないのであれば私からいくぞ!!」


 エマニエ司令官はランスを突き出し突貫してきた。


 「加速せよ、アクセレラション!!」

 

 突き出されたランスをとっさのところでかわし上昇する。

 

 「逃げるか!!」


 上昇し一定の距離をとったつもりで上昇をやめる。

 下を見ると150mほど下にエマニエ司令官がいた。


 「止まるな!!止まれば死ぬぞ!!」


 エマニエ司令官は上昇しながら右腕の小型クロスボウで矢を射かけてくる。


 「それを身をひねりかわす。対物障壁を展開せよ、アンチマテリアルシェル!!」


 自分を守るように障壁を展開した。

 そこに矢が突き立つ。

 よく見るとその矢は総鉄製の矢であった。

 これがこの装甲に当たっていれば装甲は砕け散り傷を負っただろう。

 総鉄製の矢は重いため有効射程距離が短いがその分、貫通力には優れていた。

 

 「障壁の中に閉じこもったか……。であれば破るまで」


 エマニエ司令官は少し大ぶりの矢をつがえた。

 アンチマテリアルシェルは、対物障壁なので物に対しては防御してくれるはずだ。


 「動かないのだな?」


 エマニエ司令官はニヤッと笑みを浮かべて矢を射た。

 アンチマテリアルシェルにさらに魔力を注ぎ込む。

 そして、矢は突き立った。

 しかし、今までの矢とは違った。


 「なに!?アンチマテリアルシェルを貫くのか? 加速せよ、アクセレラション!!」


 飛び立った瞬間にアンチマテリアルシェルは砕けた。


 「避けたか。種明かしをしよう」


 耳からエマニエ司令官の声が聞こえてきた。

 頭部の装甲内に魔石を使った通信機器が内蔵されているためだ。


 「今の矢には、アンチマギーが付与されている。アンチマテリアルシェルが魔法による障壁ならそれを破ることができる。これは実戦にも投入されているぞ。飛び道具による攻撃はすべて避けろ」


 そして、通信が切れるのとともに矢が射られた。

 

 「くっ……」


 回避運動をしながら飛翔する。

 矢がすぐ横を抜けていくのが分かった。


 「さすがにそろそろ剣を使わせたいな」

 「加速せよ、アクセレラション!! 加速せよ、フルバーニア!!」


 エマニエ司令官は≪飛翔魔法≫を行使できるのにもかかわらずフルークアーマーを装着していた。

 ≪飛翔魔法≫による加速とフルークアーマーの加速の2つが合わさり速度が上がる。

 

 「加速せよ、アクセレラション!!」


 追いつかれるわけにはいかず、速度を上げる。

 しかし、後ろから声が聞こえてきた。

 

 「いつまで逃げる!? そろそろ君も攻撃しろ!!」


 慌てて振り向くと一定の距離を開けてエマニエ司令官が追従してきていたのだ。

 すると行く手を塞ぐように矢が前方へと射られた。

 このまま飛び続ければこちらに総鉄製の矢が当たってしまうだろう。

 なので止まって戦うことにした。

 かなりの速度が出ていたので止まろうとしてもなかなか止まれず慣性によって体は前に進もうとしてしまい大きな負担が体にかかる。

 骨がきしむようだ。

 なんとか止まり振り返って剣を構える。

 すると、すでに止まっていたのかエマニエ司令官は槍をこちらに向けて構えていた。


 「ようやく戦う気になったか」

 「はい、飛んでいても射落とされてしまいそうなので」

 「そうか。さっきは私が先だった。次は君から攻撃してこい」

 

 あの槍をどのような手を使って攻略したらよいのだろうか。

 とりあえず突っ込んで様子を見るか……。

 

 「加速せよ、アクセレラション!!」

 「フッ…。勢い任せに突っ込んでくるか。それは愚策だぞ!!」


 エマニエ司令官はランスを体の中央で構えた。

 その高さは剣の高さでありリーチが長い分、ランスに有利になる高さだ。

 なので、まっすぐに突っ込むのはやめた。

 左右に蛇行しながら距離を縮めることにした。

 

 「左右に動いても同じことだぞ!!」


 エマニエ司令官は、僕の動きに合わせてランスを動かす。

 

 「そこーっ!!」

 

 ランスが右から左に動くその刹那を狙って最大限まで加速し剣を突く。

 が、ランスは三角錐の形でありその側面で剣の軌道を変えられた。

 

 「今のタイミングはよかったがな。少し距離が遠かったな」


 ランスに体を打たれる前に急いでその場を離れる。

 元の間合いに戻った。

 隙がないな……。

 

 「早く来ないか!! 来ないならこちらからいかせてもらうぞ。加速せよ、アクセレラション!! 加速せよ、ブーストフルバーニア!!」

 

 エマニエ司令官は、一気に加速してきた。

 このまま手をこまねいていては、間合いを詰められ防戦一方だ。

 

 「弾けよ8つの火球、アハトプラッツェン!!」

 

 魔法を放ち火箭を張って足止めをする。

 その間にこちらも突貫する。

 しかしエマニエ司令官は、それを寸前で見切り避ける。

 なにもないところで8つの爆発が起きた。


 そしてその爆発の中ですれ違いざまに斬りつける。

 しかし剣先の軌道は、突き出されたランスを躱したために空を斬る。

 

 「なかなかだぞ。≪攻撃魔法≫と組み合わせるのはな。自分の利点を生かすことが大事になる」


 そしてお互い振り返りもう一度斬り結ぶ。

 しかし、剣は空を斬る。

 そのとき、右肩に痛みが襲った。

 よく見れば肩の装甲がなくなっていた。

 掠ったくらいに思っていたが、装甲は薄いのでその程度でもこのダメージだ。

 

 「もう一度いくぞ!! 加速せよ、アクセレラション!!」


 エマニエ司令官は槍をわきに構えランスチャージの姿勢で突撃してくる。

 

 「加速せよ、アクセレラション!!」


 自分も加速して距離を縮める。

 そして、ブンッという音ともにランスが突き出される。

 それを上昇して避ける。


 「なに!? どこへ消えた!?」


 エマニエ司令官はその動きをうまくとらえられていなかった。

 その様子を見て、今度は降下する。

 そのとき、振り向いた司令官と目が合った。

 だが時すでに遅しで背後に降下した瞬間、剣の側面でエマニエ司令官の背後から首を押さえる。


 「……私の負けだ…」

 

 勝負はついた。

 訓練とは言えども2人は真剣だったので尋常な勝負といえよう。


 「ありがとうございました」

 「いや、さすがに強いな」

 

 エマニエ指令官は清々しい笑顔を浮かべてそう言う。

 

 「明日の夜もやるぞ」

 「はい、お願いします」

 

 その後も訓練を軽く行った。

 こうして二人の夜は更けていった。



感想、ポイントなどよろしくお願いします。

私の力になるはず!!

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