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異世界転生安眠録  作者: 埴輪
一週間の悠々自適
7/12

六日目

「おはようございます」


『おはよう』


『、、、おはようございます』


聞いたことがないか細い声が聞こえた

聞こえ方は女神様と同じだ、神々の内の誰かだろうか


『言の葉の女神だよ』

『珍しいな、彼女が私達以外に話し掛けるなんて よっぽど気に入られたんだね』


そうなのか

せっかく勇気を出して話しかけてくれたのだから元気に返そう


「おはようございます、言の葉の女神様」


『、、、、』


以前と同じ感覚だ

喜んでくれたのだろうか


『彼女今真っ赤だよ』


女神様が笑った



「おはよう!」


「おはようございます、リン」


いつものように用意された朝食を摂りながらリンと談笑する




「では、行きますか」


「うん、わかった」


今日はやることが一つ決まっている


果物を何種類か採りながら、件の祠を目指す


採ったのは、みかん、さくらんぼ、葡萄、バナナ、そして自分たちで食べるための林檎だ


バナナの木は少し探すと容易に見つかった、勘が当たった

砂浜を思わせる感触の小さい湖周辺の浜に生えていた


やはりこの森の環境はよく分からない




寄り道したため、少々手間取ったが

昼前には祠にたどり着いた


「失礼します」


冴えた空気が頭を澄ます


『――来たか』


「ええ、約束通り果物を色々持ってきましたよ」


『――そうか、早く置け』


「分かりました」


生前の上司に少し似た感じがする


「今日持ってきた果物は基本皮を剥いて食べるのですが」


『――なら皮を剥いてよこせ』



まず、みかんを皮を剥いて置いた


『――甘いな、それに独特な食感だ、悪くないが歯ごたえが足りん』


この世界のみかんは果肉がしっかりとしており、粒がきちんと感じられる

甘さと酸味のバランスも丁度良い



次はさくらんぼを置いた


「種が大きいので注意して下さい」


『――言うのが遅い』


思い切り噛んでしまったようだ

申し訳ない


「すいません」


『――早く次をよこせ』


けっこう苛立っているようだ



次は葡萄だ、といっても白ぶどうもある

一つずつ皮をむいて一房分ずつ置いていった


一応それぞれの違いも説明した


どちらにも共通しているのは前世なら間違いなく高級品だったであろうこと


『――甘すぎず、香りも良い、しかし食感が微妙だ』



次はバナナだ


『――食感が気に食わん』


バッサリと言われてしまった

弟の一人にバナナの食感が苦手な子もいたので、理解は出来るが


少々好き嫌いが過ぎるのではなかろうか


腹は立たないが不満はある


『――お前林檎を持っているだろう、出せ』


「、はい」


林檎を置いた、一応二つ


『――うむ、やはりこの味、この食感だ』


私も林檎は一等好きだ




『――何を怒っている』


「怒ってはいませんよ」


『――嘘をつけ、我に使われたのが気に食わぬか』


「いいえ」


『――では何が不服だというのだ』


「少し、作った側に立ってみただけです。それにそれが友人とその親しい人達だった時のことも」



『――、、、ふむ、確かにそう考えれば腹は立つかもな』


思っていたよりも話が分かるかもしれない


『――悪かったな、林檎には劣るが、これらも悪くはない』


角が立つ言い方は変わらないが、もう不満はない




二言 三言交わし、祠を後にしようとしたとき、


『――待て、これを食せ』


「?」


陣の中央に表面に黒い紋様が浮かんだ林檎が出てきた


言われたとおり齧る


『――警戒しないのだな』


「特に理由もありませんので」


『――    やはり面白い』


「何か言いました?」


『いいや、もう行ってよいぞ』


「では、失礼します」




「すいませんね、リン 退屈だったでしょう」


「ううん、大丈夫」


洞窟への帰り道、リンに話しかける


また退屈させてしまった


「今日は一日遊びましょうか」


「いいの!?」


「ええ、是非」


その日は一日リンと遊んだ


鬼ごっこに隠れんぼ、達磨さんが転んだ

リンがルールを知らない遊びは教えつつ、日が落ちる直前まで遊んだ




「また明日!!」


「ええ、また明日」



疲れた、ここまで身体を動かし続けたのも前世を含めて久しぶりだ


夕食を林檎一つで済ませ、早々に寝ることにした


「おやすみなさい」


『お疲れさま、おやすみ』


ランタンも点けず、即刻深い眠りに落ちた





【安眠】【快眠】発動

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