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異世界転生安眠録  作者: 埴輪
一週間の悠々自適
2/12

一日目

目が覚めると、真っ青な空が広がっていた。

寝転がりながら辺りを見回すと木で囲まれている、地面は柔らかい芝生で覆われており、心地良い。

春だろうか、優しい日差しが自分を包んでいる。


『やあ、おはよう』


吃驚した。

思わず跳ね起きてしまった

先程、転生する前に会った女神様の声だ。話し相手になるとは言っていたが、まさか向こうから話しかけてくるとは。


『いやあ、ごめんごめん。体の具合はどう?』


改めて自分の身体を確認する。

事前に説明を受けた通り、8歳ぐらいの少年になっている。


「大丈夫です」


『じゃあ移動しようか』


「はい」


『まあ別に急ぎでもないんだけどね、うしろ振り返って貰える?』


言われた通り振り返ると土が出ている道が一筋だけ見えた。


『その道を道なりに進んで』


歩きつつ女神様に教えて貰ったことを思い出す。


私が転生した場所は“原初の森”と呼ばれる自然豊かな山森で、果物も多く水も採れる。


動物もたくさんいて簡単な罠などで捕まえることができるらしい。


山を下りれば村もあるらしく、女神様曰く山で暮らしても村に出てもいいようだ。


『と言っても、歩くなら2、3日費やすから最低でもそれぐらい野宿して貰うことになるけどね。』


生前の経験からして野宿に抵抗はないが


「そういえば、今はどこに向かっているのですか?」


『今日君が泊まるところだよ』


泊まる?


『洞窟だけどね』


なるほど



少し歩いたところで道は途切れてしまい、その後数分間女神様に従い森を彷徨い、開けた場所に出たと思ったら、突然壁が表れた。


壁には大人が二人すれ違える程度の穴が空いていた。


「ここが件の洞窟ですか?」


『うん、そうだよ』


洞窟というだけあって日は入っているが、奥が見えない。


『洞窟に入る前にさ、そこら辺に木箱無い?』


「ありますね」


『木箱自体は空なんだけど、その上にランタンあるでしょ』


確かにランタンがあった、しかし手にとって見るとスイッチが見当たらないし、そもそも中に入っているのは何か石のような物だ。


「これはもしかして“魔法”を使う道具ですか?」


『ご名答!!』


女神様は剣と魔法の世界と言っていた、科学よりも魔法が発達し、ガスすらまだ扱えていない国が多いらしい。


魔法だと分かったところで結局付け方は分からないが。


『えっとね、それは所謂“魔法道具”というやつで魔力を込めて使うんだけど』


事前情報として、この世界の住人は多かれ少なかれ魔力という力を持っているらしい。


私にも魔力はあるらしいが、、、


首をかしげていると


『その道具に手をかざして魔力を込めてみて、』

『イメージとしては手のひらから熱を発する感じ』


言われたように手をかざし、手のひらに意識を集中してみた。


するとぼんやりと灯りが点ってきた。

驚いて手を離すとゆっくりと光は消えていってしまった。


『中々上手だね、もう少し練習してみようか』


女神様に助言を頂きつつ、小一時間ランタンに光を灯す練習をした。

最初はすぐに消えてしまっていたが、繰り返すにつれかなり明るく照らせるほどに上達した。


蓄電池のような仕組みが内蔵されているらしく、一定以上の魔力を込め続けると暫くは明るいままのようだ。


『それじゃあそろそろ食糧調達といこうか、魔力を使うとお腹が減るしね。』


言われてみれば空腹だった。

こんなにも健康的な空腹感を覚えたのは久しぶりだ。


太陽が頂点に見えるので昼食だろうか、女神様の提案により果物を食べることする。


『そこの木に林檎が生ってるよ、あと少し進むと苺がいっぱい生ってる』


異世界なのに果物は生前と変わらないようで、森では見慣れた果物を沢山収穫できた。


「いただきます」


木箱に腰掛け、林檎をかじる。


甘い


自然の林檎ってこんなに甘いものだろうか、遺伝子改変などされていないのに。


女神様曰く、この森には妖精が住んでおり植物はよく育ち、果物は甘く大きくなる。とのことだ。


「ごちそうさまでした」


沢山採った果物を平らげて、改めて神様と妖精に感謝を込めた。


突然耳元で鈴のような音がした。

しかし振り返ってもなにもいない。


またもや首をかしげていると


『やったね、妖精に気に入られたようだよ』


どうやら鈴のような音は妖精によるものだったらしい。


その後、女神様に自由にして良いと言われたので、ランタンに光を灯す練習をして、夜に食べる果物をいくつか採った。


ーーーーー


『左側に空間があるの分かる?』


「はい」


夕食を終え、洞窟の中で寝ることになった。

ランタンで照らしながら奥に進み、女神様の案内で少し広い空間に入った


『毛布も何も無くてごめんね』


「いえ、服と明かりが在るだけで有難いです。」


前世含めて久しぶりの睡眠である。


『じゃあ、おやすみ』


「おやすみなさい」


ランタンの灯りが消え、私はゆっくりと眠りに落ちた。









【安眠】【快眠】発動

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