2 毒親
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中学1年生の時、クラスメイトの女の子からバレンタインデーのチョコレートをもらったことがあった。
正直、とても困ったのだが、受け取ってしまったものは仕方がない。無視するのも悪いと思い、ホワイトデーにはお返しをして、一度だけデートした。
結果的に「お付き合い」はできないと伝えることになったので、お互い非常に気まずい思いをした。何が辛いといって、理由を言えなかったことに尽きる。
そのことがあってから、私は慎重に女の子からのアプローチを回避するように努めた。
当時は、自分がこれ以上傷つきたくないという一心だったが、かわいそうな女の子を増やさないためにも、それは正しい判断だったと今でも思う。
※※※
「知り合いの医者を紹介してやる」
長い沈黙の後、父親が言った。
「俺は娘を育てたつもりはない。どうしてもお前が女なんだと言い張るなら、性同一性障害の診断を受けて、性転換手術して戸籍を書き換えろ。オカマにクリニックを継がせるわけにはいかないからな」
祖父からクリニックを受け継ぐため、父親はプレッシャーに耐えながら猛勉強し、順調に経営者となった。祖父の期待に応えることが当たり前だった父親にとって、それ以外の生き方など眼中になかったのだろう。
「あと、精子バンクにお前の精液を保存しておくのを忘れるなよ。ウチのクリニックが、お前の代で終わりじゃ困るからな」
父親のこの言葉を聞いて、私はある意味安心した。下手に同情を示されたり、感情的になられるよりは、よっぽどマシである。
こういう父親ならば、遠慮なく切り捨てられる。




