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中に入りました ~受付にて~

そんな中。


“プルルルルル・・・・・・”


 突然、電話の音があたり一面に鳴り響き始めました。

 と同時に。


「う、うううけちゅけに・・・・うけちゅけにいぃぃぃ~」


 今度は、半泣き声で電話の音のする受付の方を指さす、般若面の女。


「え? この病院、まだ配線繋がってんの? ヤバくない?」


 ということで。

 鳴り止むことのない電話を、代わりにとってあげることに。


「もしもし・・・・・・。え? それなら、119番に・・・・・・。ですから、この病院はもうやっていないので、119番にかけてください。そしたら、教えてもらえますから」


 と何度も説明するも、相手は自分の言い分を主張するばかりで、一向にこちらの言うことを聞いてくれません。


「どうしたの?」


 私の電話対応を訝しる般若面の女の耳に、受話器を押し当てると。


「え? こ、こここれ・・・・・・」


 腰が抜けたのか、その場にペタン・・・・・・と座り込んでしまったのです。

 そんな彼女に。


「ね? さっきからずっとこうなの。“痛いよ痛いよ”だの“怖いの苦しいの~”だの“助けて~”って! 私、医者じゃないしここは営業していないから、119番に掛け直せと何度も言っているんだけど。この女の子、パニクっているのかな? ご両親は何をしているんだろうね?」


 せっかくご丁寧に、説明してあげたのに。


「あああ、あんた、おかしいわよ? この電話、なんともおもわないにょーー?」


 って、変な人扱いされてしまいました。

 幼馴染で親友だとは言え、この扱いはひどいと思うんですけど。


「もう! 早く119番にかけ直せばいいのに。ここでは、救急病院がどこなのかわからないんだし・・・・」


 深いため息をつき、思わずその場にある椅子に腰を下ろした、そのときにございます。


「・・・・・・アレ? 電話が切れた・・・・・・」


 突然、あれだけパニックってギャーギャー騒いでいた女の子の声が、全く聞こえなくなってしまったのです。


 と同時に、


「あんた! なんてところに座ってんのよーーー!」


 般若面の女に、腕を思いっきり引っ張られながら、大声で怒鳴られてしまいました。


「? 何を怒っているの?」


 全く意味がわかりません。

 が。


「怒るわよー! あんた今、血だらけの白衣を着てその椅子に座っていたお姉さんを、お尻に敷いちゃったのよーーーーー! したらね? “うぎゃーーーーー!”っていう奇声をあげて、消えてしまったんだけど? どうする? 今の、呪われたかもしれないわよ? 謝ったほうが、いいかもよ?」


「・・・・・・ソレ、私が重かったってこと? これでも標準体重よりは、痩せているんだけど? この暑さのせいで、5kgも体重減っちゃって、正直ちょっと困っているんだけど?」


 「ソレ、うらやましい。じゃなくて! 大丈夫なの? 体、なんともないの?」


 そういって、またもや私の体を前後にガクガクと強く揺さぶる、般若面の女。

 だから、血だらけの白衣の天使より、あんたの方が怖いんだって!

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