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これが俺たちの本音だ

作者: ぷれーー

「おりゃっ!」

 木々が生い茂る森の中。身動きが制限されてしまう状況。女性拳闘士は敵に一発拳をお見舞いした。それは見事に顔面に当たり、地べたに倒れこんだ。

「うおおおぉぉぉぉぉ!」

 男性ウォーリアは、ハンマーを両手で上に持って、敵の真上から攻撃しようと走った。全体的に動きが遅いので、ウォーリアが来る前に立ち上がってしまった。立ち上がったとしても、攻撃する手立ては他にもあるので問題ない……かに思われたが、

「おわっ!?」

 敵は弓使いのようだ。矢を弓につがえて、ウォーリアに狙いを定める。それでも尚ウォーリアは突っ走って来るので、相手にとってはとても狙いやすい。ありがたい存在。

 そして、

「あがぁっ!」

 案の定ウォーリアは射たれてしまった。矢一本が、正確に急所である心臓を狙って、ウォーリアを戦闘不能にした。

 拳闘士は急遽連携を無視して一人突っ込む事に。相方がいなくなったので苦しいかと思われたが、拳闘士はそんな素振りも見せずに敵を攻撃。

 だが、一人では火力が足りなくてHPがなかなか減ってくれない。

 敵は弓矢を振り回す。弓矢としての役割を捨て、一種の剣のようなさばきで拳闘士を切り刻んでいく。こういう時のためなのか、弓矢に刃がついていた。きっとこういう時のためにあるわけではないだろう。ただのデザインかもしれない。

 拳闘士は意表を突かれて、まんまと切られて戦闘不能となった。


「いやいやー、おつカレーライスゥー」

「ごめんホントマジごめん」

「謝らないでー。こっちもさ、多分わかってて協力プレイしてるんだと思う」

「それでも俺の弱さは異常でしょ」

「……ま、まぁ」

 先程の女性拳闘士と男性ウォーリアは合流したようだ。

「だいたい何なの。ろくに練習もせずに高難易度に挑んでボロ負けして。こちらも本領発揮できねーっつの」

「そだねー。プレイヤー次第でうちらの力の発揮具合も違うもんね」

 ここはゲーム世界の中。今の会話通り、プレイヤーが弱いとキャラクターの力は発揮されない。操作されてる側からすればストレスとなる。

「戦闘中にさ、指示とか出してあげたいけど、キャラクターボイスのボキャブラリー少ないしなぁ」

 大抵のゲームは、戦闘中のキャラクターボイスは少ないであろう。「おりゃっ」「はっ」「うわぁー」等のあまり意味がないボイスばかり。「ありがとう」や「ごめん」等があれば多少は助かるが、少なくともこのゲームではない。

 ボイスがない代わりに、ボイスチャットというものが存在しているのだろうが、生憎このゲームにはボイスチャット対応は成されてない。

「いろいろとクソゲー……いや、プレイヤーが悪いのか」

「第一にプレイヤーかな? 戦闘中の連携も確かに大事だけど……個人の戦闘能力も大事だよね」

「だよなぁ。あー、こうやってログアウト中も練習したい……」

「確かに! 何で酒場しかないんだろ。ベッドとかで休みたいよ」

 プレイヤーがログアウトすると、自動的にキャラクターたちは酒場に転送される。もちろん、プレイヤーがゲームを始めればセーブ地点に強制転送されるが。予告もなしに転送されるので、会話の途中で転送はよくあることだ。

 そしてもうひとつ、キャラクターたちもログアウトできるという。寝れないので、どこかで暇な時間ができてしまう。そこでキャラクターたちはお休みも兼ねて、ログアウトできる。

「精神的に疲れるもんな。このゲームはスタミナは無いけども、精神がやられる」

「それなぁー」

 二人してテーブルに突っ伏している。

「明日もリンちゃんと協力かなぁ? 強くなっててほしいけど」

「明日もだろうな、ここ毎日やってるし。多分一生強くならない気がする」

 そう言って少し経ってから、絶望を感じた。一生強くなれないのか、と。自分で言ったのだが。

「ってか、リンちゃんってやめろ。女みたいに聞こえる」

「男の人でリンってなかなかいないよねー。リンちゃん」

「おい。うるせーぞプリプリ」

「ちょっと! プリプリじゃなくてプリリンですー。汚いあだ名付けるのやめてくださーい」

「じゃあリンちゃんって言うのやめろ」

「はい。リン」

 ゲームで本名つける人はなかなかいなくなった。その代わり、変なニックネームをつける人が多くなっている。今のように、プリリンなど。

 だが、プリリンはマシな方。下品な名前をつけられては、こちら側が恥ずかしくなるというのに。「うんこ」なんて代表例だ。

「そういえばさー、多分うちのプレイヤー男じゃん」

「うん……? 知らないけど」

「男なのさ! 多分ね! それでね、前に装備品を買いに行ったわけさ。可愛い服があったの! なのにね、こうやって男っぽい服を買うの。女心わかってねーなって」

「……お、おう。ごめん、興味ない」

「チッ」

 プリリンは舌打ちをした。こっから話題がなくなり、お互いログアウトした。明日に備えて。


「おっはー」

「おはよう。今日は難易度低いからまだいけると信じてる」

「うちに任せとけ!」

 クエストを受注して、今はローディング時間。ここで一旦挨拶だ。

 ローディングは終わり、すぐにステージへ移行。

 一面砂漠のステージ。動きやすいが隠れる場所がない。隠れるという概念がないリンにとってはうってつけの場所なのだろうか。

 早速リンが出た。目指すは敵。戦法なんて考えるわけもない。

 もしもの時に備えてプリリンが後を追う。プリリンはちゃんと立ち回りを考えている様子。

 堂々と敵を叩くリンを見て、プリリンは思うのだ。絶対敵の攻撃パターンや、行動パターンを把握していないな、と。

 ぶっつけで攻撃しては、思わぬところから攻撃されて即死するパターンかもしれない。いつもそうだ。

 相手はラクダのような動物。ラクダなのは背中だけで、顔は毛で覆われて、羽が生えている。長い尻尾は、ワニのように太くて、とても固そう。

 このラクダは飛べる。尻尾で攻撃してくる。羽でも叩いてくるだろう。風も起こして飛ばして。

 そして、これらの動作をする前に何か動きがあるはずだ。その動きを把握すれば避けられる──

「ぐあっ!」

 ──はずなのだが。周りを見ないリンには無理か。

 ラクダの尻尾攻撃が見事に炸裂。尻尾を振る前に前足が上がった。これがポイントだろう。

 そして、今ので体力が大幅減少した。応急処置する程度ではないので続行。

 プリリンも攻撃に参戦。真っ正面にリンが立っているので、プリリンは真後ろでカバー。リンに攻撃を与えられない程にボコボコにしてあげる作戦に出る。

 多分無理だろうが。

 リンにしか集中してないラクダを、後ろから容赦なく蹴る。拳闘士なのに蹴りを入れてしまって。

 一発蹴ったら後は重い一発をお見舞いするだけ。当然拳で。

 確実に効いてるはずだ。ラクダのお尻付近が青アザになっている。そのまま外出血してくれればモチベーションが上がる。

 ここで、リンに構っていたラクダがプリリンを向いた。リンがここでハンマーをガンガン降り下ろしてくれれば、ラクダの体力はとても削れる。動きが鈍くても、距離が近いのでまだ攻撃はしやすいだろう。

「うらぁっ!」

 確実に重いハンマーがラクダの背中を打撃する。骨折は普通にしているはずだ。これはいけるかもしれない。

 前後から攻撃されてるので、ラクダは攻撃する余裕があまりない。痛いからなおさらだ。

 攻撃できないでいるラクダは、怒ったのか否か、体を震わせている。これは嫌な予感。

 プリリンは一応離れてみせたが、リンは攻撃が当たってることの喜びが大きくて攻撃に夢中。例え喋れたとしても、今のリンには届いていないだろう。

 案の定、嫌な予感は的中。前からの攻撃もなくなったからか、ラクダは羽を広げて、その場で風を巻き起こした。

 リンは吹っ飛ばされ、そのままリンを標的にしてラクダは突き進む。地面に叩かれたリンは、すぐさま立ち上がろうとしたが間に合わず、ラクダの下敷きになってしまった。体力はグーンと減り、またまた最初にリンが戦闘不能となった。

 ここまでは想定内といえばそうなる。勝てるという気持ちもあったが。

 一人でラクダを殺れるか。できなくもない。なぜなら、リンがラクダの体力をだいぶ減らしてくれたから。一応このクエストの必要ランク数は達成している。中には一人で行ける人もいるのだ、ワンチャンスプリリンにもある。

 ラクダの攻撃を注意しながら走る。ラクダもまた、プリリンへと向かう。

 先に攻撃してきたのはラクダ。口からヘドロのような汚い液体が放出された。プリリンは身を低くした。そのまま転がればよかったものを、しゃがんだまま動かず。プリリンもしまった、と思っただろう。上からヘドロが降ってきた。

 汚くなったプリリン。そして臭い。

 ラクダのくせになぜ口から異物が出せるのか。ヘドロでも食べてるのか?

 嫌々払いながらも、プリリンは屈しない。不快ではあるがそれでもラクダに近寄る。

 ラクダは尻尾をブンブン振っている。近寄りがたいが、プリリンは賭けに入ってみる。ラクダの真上にジャンプして、ラクダの上に乗るという作戦。殴りまくるという。

 プリリンはある程度助走をつけて飛ぶ。ラクダは上を見た。バレた。だがもう遅い。しかし飛び続ける。

 右の羽が攻撃体制を取っていた。殴られる前に殴らないと。

 早くラクダの上に! 早く!

「あぁーっ!」

 プリリンは叩かれた。地面に落ちたプリリンは、上を見上げた。もうダメだ……。

 プリリンは、ラクダに尻尾でぶん殴られて終わった。


「お疲れ……」

「うちもダメだった……」

 もはやふたりは疲れはてている。

「リンのプレイヤーこの先どうするんだろ。絶対クエストクリアできないよ。今のランクだとリンじゃ無理だよね」

「それな。プレイヤーにもの申したいわ」

 結局敗北で終わった。

「明日も頑張ろっか」

「だな」

 いちいちしょんぼりしていたらキリがない。ほぼ毎日こういう状況なのだから。

 プレイヤーが改善されないと、リンも変わりようがない。

 プレイヤーにほとんどがかかってると言えよう。

 個人が強くならなければ、本領など発揮されないのだ。基本中の基本なのだろう。

 リンの不満の日々が続く。

続けても読まなさそう

短編が一番いいのかもしれん

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