妹と母
今回は妹・母のお話です。
よろしくお願いします!
今朝から、おにいちゃんが変だ。
朝起きてきたとおもったら、なんか涙ぐんでるし、アーニャの事も昨日、散々言っといたのに
全然覚えてないし‥‥‥アーニャ、おにいちゃんに会うのホントに楽しみにしてて、なんか恋する乙女みたい。おかしいよね、私の話でしか知らない、会ったこともない男の人なのに。
昨日もご飯三杯もお代わりしたのに、あんなに落ち込むなんて、ホントおかしくなったんじゃないの?‥‥‥まるで、何年もお米を食べてない人みたいに‥‥‥なーんてね!そんなわけないよねー。だって昨日いっぱい食べてたもん!
でも、おにぎり貰ってうれしそうに食べてたと思ったら、いきなり思い詰めたような顔して、雫さんとタツさん置いて先に行っちゃうんだもん。
ギリギリでアーニャ迎えに行くって言えたけど。
やっぱりおかしかったなー。
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さっき、雫さんから連絡が来て、いきなり全国大会出るの辞めるって。しかも、小さい頃から続けてきた道場も辞めるって。ほんとにどうしちゃったの?おにいちゃん‥‥‥
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よし!学校も終わったし、早く迎えに行って理由聴かなきゃ!ただ飽きたーとかだったらひっぱたいてやんなきゃ!
「あれ、陽菜ーもう帰んのー?一緒に帰ろーよー夏休みも勉強ばっかじゃつまんないから、どっか遊びに行く予定立てるんだけどー」
さぁ、帰ろうっ!!という時に、クラスで仲のいい子が話し掛けてきた。夏休みの相談のようだ。けど、答えは決まっている。
「ごめんねー今年は去年ホームステイしてた家の子来るから、そんなに遊べないや。一緒だったら良いけど」
「おぉ、外国人!遊ぶ遊ぶ!!日本語OK?」
どうやら問題無いようだ。まぁ、何時かは会わせたいと思っていたし、向こうがその気なら此方としても嬉しい。けどアーニャとこの子合わせて大丈夫かな?‥‥なんか嫌な予感がするんだよねぇ。
「もうスッゴいよ。私よりも難しい言葉知ってるし」
「あんた、それは日本人としてどうなのよ‥‥‥」
「うるさいなー、てか、そっちも似たようなもんじゃん。それに、私の方が点数上だし!!」
「あはは、確かに。じゃ、一緒に帰るだけ帰らない?外国人の御披露目はまた今度で良いからさ」
「お兄ちゃんの高校寄ってくよ?高校まだ授業中だから待つけど‥‥ついて来る?」
「いってらー」
くっ、分かってたけど、即答って‥‥‥
「ホラホラ、また今度連絡するから。愛しのお兄さん迎えにいってきな」
なっ!誰が愛しのよ!?あんなの、ただのシスコン野郎なんだからっ!!
「うっさい!じゃあね!!」
「バイバーイ」
少し強めに言ってみたが、手をヒラヒラと降られただけだった。可笑しいな、少し殺気を混ぜた筈なのに。
まったく‥‥余計な時間過ごしちゃった。早く行こうっと。
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うぅ、暑い。暑いってゆうか、熱いよ。これはアイス奢りだなおにいちゃん。こんな可愛い妹を待たせるとは!‥‥何アイスにしようかな?お兄ちゃんも食べれるように、チョコにしようかな?お兄ちゃん、チョコ以外食べようとしないし。
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‥‥‥チャイム鳴って暫く経つのに全然出てこない。携帯も繋がらないし、なんか下駄箱前も騒がしいし。うーん‥‥よし!見に行ってみよう。おにいちゃんのクラスと名前出せば何とかなる!一応有名人だし!!良い意味でも、悪い意味でもっ!!
「あのー、すいません」
「ん?あれ、これすぐそこの中学の制服だよね?どうしたの?部活見学かな。ごめんけど今それどころじゃなくってね、また出直してくれるかな?」
うわー、大きい人‥‥‥三年生だよね?竹刀持ってるからおにいちゃんの事も知ってるはず!この人に決めたっ!!
「あ、すいません。部活見学じゃなくって、2-Dの蓮川春人の妹の蓮川陽菜です。兄をさっきから待ってたんですけど、チャイム鳴って暫く経つのに出て来ないから心配になって。何かあったんですか?」
「!?おい!先生呼んでこい!!‥‥‥ごめんね。いきなり大声出して、けど今は非常事態なんだ。詳しくは僕も良くわかってないんだけど、先生呼んでるから此処で待っててくれないかな?」
「は、はい‥‥‥」
私が名乗ると、さっきまでの優しい雰囲気が消えて、側にいた(多分二年生かな?)に伝言を怒鳴りつけるように頼む。いや、怒ってるって感じじゃ無いから、それほど切羽詰まった状況なのだろう。
な、何があったの?また何かしたの?おにいちゃん‥‥?それとも、怪我でもしたの?怖いよ。‥‥‥ううん!おにいちゃんだから、絶対先生怒らしたんだよ!うん、それしかないっ!!
ほんの十数秒で、優しい感じの先生が現れた。けど、額には汗びっしょりだ。可笑しいな、校舎の中そんなに熱くないんだけどな?
「済まない。待たせたね」
「いえ、大丈夫です。それで先生‥‥」
「うん。話は聞いてるよ。始めまして、蓮川陽菜さん。で、いいのかな?」
「は、はい!その、この度は兄が申し訳ありませんでした!」
「‥‥‥ん?君、何も話してないのかい?」
「は、はぁ。俺もよくわかってなくって、取りあえず先生呼ぼうと‥‥‥」
「そうか、わかったよ。ありがとう、ここからは僕が話すから君は他の人の手伝いを」
「了解しました」
厳しい顔をした先輩が、先生を連れてきた人と一緒に別の場所へと走っていく。残ったのは私と先生だけだ。
え?おにいちゃんが何かしたんじゃないの?
「あの、兄は‥‥‥」
「うん。そうだったね。落ち着いて、驚かずに‥‥ってのは無理でも、とにかく落ち着いて聞いてね」
な、なんなの?そんな大事になるようは事をしでかしたのか?家の兄は?
「君のお兄さんと、そのクラスメート全員が
居なくなったんだ」
‥‥‥‥‥‥‥‥‥え?
私はその場から動けなくなって、連絡しようとしていた携帯を、地面に落としてしまった。
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ふぅ。こんなものでいいかしら?
今日から陽菜がお世話になったホームステイ先の娘さんが来るから、気合い入れちゃった。でも、おかしいわね?そろそろ帰ってきても良いんだけど。春人に何か奢らせてるのかしら?‥‥‥あら、噂をすれば陽菜からね?
「もしもし?もうアーニャちゃんには会えたの?春人に奢らせてるのなら程々にね?今日は‥‥‥どうしたの!?落ち着いて、陽菜。今どこにいるの?泣いててもわからないわよ?‥‥学校?‥‥‥え?春人が失踪?」
その後、アーニャちゃんの所にはお父さんが行き、私の所にはお母さんがきた。聞けば、私はおにいちゃんの鞄を抱いて泣いていたらしい。
どこにいるの?おにいちゃん‥‥‥




