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記憶と再召喚

「やぁ、ハル、ユリウス」


「あぁ、おはよう。『  』」


おはよ。いやー、こうやって3人が揃うのも久しぶりだな。一年前俺らが旅を初めて直ぐにお前、どっか行っちまったからなー


「うぐ、それは昨日の夜散々謝っただろ?夜も奢らされたし‥‥‥しかも酒場にいた全員に」


アハハハハ!あれはシルの奴が勝手に言ったことなんだから。別に奢る必要無かったんじゃね?お前が半泣きになりながら金払ってるのみて驚いてたぞ?『私、冗談で言ったのにー』って


「それは酒場じゃ無理だよ‥‥」


「まったく、ハルはともかく何で姉さんはこう‥‥‥」


寧ろお前にそういう知識があることの方が意外だよ。どこで知ったのかねー、この皇子様は?


「そうか?」


「確かに不思議だよね」


俺達はくだらない話をしながら、この一年の事を話し始めた。それは、この世界に召喚されてから初めてできた親友2人との、楽しい会話だった。

少なくとも、俺とユリウスにとっては‥‥‥




ーーーーーーーーーーー




「ハハハハハ!!‥‥‥あぁー笑ったな。ところで、『  』はどこに行っていたんだ?朝起きてみたら『ちょっと旅にでる。いつか追いつくから』しか書いてないので驚いたぞ」


そうだよなー。その日結局旅に出ずに1日中お前のこと探してたんだぞ?


「えぇ!?1日中!?それは悪いことしたなぁ‥‥‥」


よし、そう思うなら朝飯も奢れ。拒否は認めねぇ。


「もうホントにお金ないんだよ!?これ以上はここに暫くいることになるから無理!?」


「なんだ、ついてこないのか?僕はてっきりついてくるものだと」


あぁ、俺もそう思ってた。まだ来ないのか?なにやってたんだよ?


「うん。そろそろいいかな‥‥‥じゃぁ、話そうか。この一年、何をしていたのかを」


『  』がそう呟いたそれと同時に。魔物に近く、それでいて人間のような魔力が辺りにまき散らされた。その瞬間、俺とユリウスはその場を飛び退き、一気に警戒態勢に移った。


『っ!?』


((この魔力はあの時の!?))


以前、ハル達が壊した『ある実験』で生まれた、どす黒い魔力に似ていた。だが、この魔力はその時よりも強く、黒い。

その魔力の中心にいたのは‥‥‥‥‥‥‥


「アハハハハッ!流石の反応速度だねぇ!!二人ともォ!!!」


「どうなってんだよ‥‥‥なんで‥‥‥何でおまえが『それ』を!?」


「ルークゥゥゥッ!?」


「あはははハハははははははハはははハはははハ!!」




     ーーーーーーーーーーーー




まてよ‥‥そいつ等を‥‥‥シルを、連れてくなよ‥‥‥


「残念だよ。君はそ・ん・な・に・よ・わ・か・っ・た・か・い?」


殺す。おまえだけは必ず、この手で‥‥‥




     ーーーーーーーーーーーー




「此処まできちゃったカー。皆を助けたら逃げれば良かったのニ。大量殺人鬼サン☆まさか、ゲノムの兵士五万を独りで殺すなんて、流石に予想外だったヨ」


‥‥‥黙れよ。あいつ等を‥‥‥ユリウスを裏切ったお前は‥‥‥俺が殺す。


「アはハハっっ!!そんなこと、キミに出来るとは思えないけどー?」


そんなの‥‥‥やってみなきゃわっかんねーよ!!


『しねぇぇぇぇっっっっ!!!』




ーーーーーーーーーーー




はぁっ‥‥はぁっ‥‥‥はぁっ‥‥


「あーくそ。なんで負けたんだろ‥‥能力的にはこっちのが有利なのニ‥‥‥」


そりゃなー‥‥っ‥‥‥俺が勇者だからだよ。


「はっハハハハハっあはははハハハハハ!!そうだね!キミは勇者だ。悪は負けるんだよね‥‥‥あぁ、そうだったね。物語はそうやってハッピーエンドで終わるものだよね」


まだ終わらせるわけねぇだろ。言えよ。この『力』はどこで手に入れた!?あの『実験』は俺達が潰した筈だっ!!研究員も残らず殺したっ!!


「それはムリだよ。だって、キミの記憶はここで終わりだからね。それとね、キミの物語は、ハッピーエンドで終わるのかい?」


は?終わってねぇっていってんだろ!?おい、まだ終わってねぇんだぞ!?おい!!まてよ‥‥‥



  ーーーーーーーーーーー


「まてよ!!ルークゥゥゥっっ!!!」


夢‥‥か。くそっ、最悪のもん見ちまった‥‥‥クソ、胸糞悪い。


「はぁっ‥‥‥はぁっ‥‥はぁっ‥‥あ?」


既に朝のHRが始まっており、雫たちも帰ってきていた。先生も皆も驚いているのか、まったく動かない。‥‥‥魔力が身体から無意識に吹き出てる。そりゃ動けないわ。


「あは、あははは。すいませーんいきなり大声出してー」


「お、お前、汗やばいぞ?大丈夫か?」


へ?‥‥‥ホントだびっしょり。シャツが身体に張り付いて、気持ち悪い。


「だ、大丈夫ですよこのくらっ!?」


「お、おい!?」


どうやら思ってたよりも精神的に参ってるようだ。足腰に力はいんねー。プルプル震えててカッコ悪い。


「さ、サンキューな、タツ」


「おい、ホント保健室行こう。これはまずいよ」


「いや、大丈夫。せんせー俺終業式さぼるーHRはでるからさ。『おい!?』大丈夫だって」


俺はふらつきながら、支えようとしてくれるタツをやんわりと椅子に戻して一人で教室を出ていこうとした。扉を開けると、風が入ってきて汗塗れの身体に心地良い。


「私が行くわ。タツ、皐月。終業式の方はよろしく。先生、すいません」


「いや、いいよ。けど、今回だけだぞー」


教師としてどうなんだろう‥‥‥まぁ、いいか。今そんなこと言ってる余裕ないし。

俺は雫に支えられ、皆に不安そうな目で見られながら教室を出た。



    ーーーーーーーーーーーーーー


うーん。屋上はやっぱ気持ちいいなー。堂々とサボるのもいいもんだ。(しかも教師のOKも出てるからな!サボってもいいとか、トンデモネー教師だな、とは思うけど今は感謝だな)


「ねぇ、ほんとに大丈夫なの?」


「問題ねーって。少し汗でべた付くけど」


心配しすぎなんだよなー。こんなの、夢見が悪かったら誰でもこうなると思うんだけど‥‥‥無理もないか。今日の俺、明らかに可笑しかったんだと思うし。


「そう、じゃ、先に話してもらうわよ。さっきのルークって誰?そんな知り合い居ないわよね?」


‥‥やっぱその話になるか。ルークの事はゲームのキャラクターって言って信じてくれないかね?それだと楽なんだけど。まぁ、無理ですよね。


「いいぜ、話してやる。まぁ、後で同じ話をあの二人にもするけど、いいよな?」


雫は黙って頷く。そこまでして今聞きたいのか。俺としては同じ説明を二回もしたくないんだけど。


「じゃあ話すけど、信じられなくても途中で遮るなよ」


「分かったわ」


「よし‥‥さて、じゃあまずは‥‥‥」




  ーーーーーーーーーーー




「と、まぁ大まかに話したけどこんなもんかな」


俺は実際に光球を使いながら話していった。ルークとの話は、殺し合いをしたなんて言わずにケンカ別れした。って言ったけど。後は、胸くそ悪い部分を除いて話した。今の話でもヤバいのに、これ以上心配を掛ける訳にはいかない。


「昨日の夜に、そんなことが‥‥‥」


うん、流石に驚いてるな。‥‥‥あ、体育館のドア開いたな。もう皆戻ってくる。


「終業式終わったからろそろ戻ろうか」


「え、ここからわかるの?」


「あぁ。五感を鋭くする訓練受けたからな。これぐらいは魔力無くても問題ない」


「そうなんだ‥‥」


「おう。戻るぞ」


「うん‥‥」



    ーーーーーーーーーーーーー




教室に戻ると、もう皆席についていた。どうやら、よほどゆっくりと歩いていたらしい。扉を開けるとホッとした顔のタツと皐月が一番最初に目に映った。


「お、もう大丈夫なのか?」


「えぇ、大丈夫です。な?」


「えっ!?う、うん」


「なんだなんだ?今度は宇都宮か?」


「いえ、大丈夫です」


「そうか。じゃ、HR始めるぞー」


    ・

    ・

    ・

    ・


「きりーつ、礼」


『ありがとうございましたー』


日直の号令で、漸く長かった1日(と言っても半日授業だし、一番面倒くさい終業式はサボったのだが)が終わり、軽く伸びをする。


「はい、お疲れ、気をつけて夏休み過ごせ。警察の世話になんなよー」


先生の言葉なんて聞かずに、クラスメート達はこの後の事を話している。部活や、遊びの相談室だろう。まだチャイムが鳴っていないので教室から出られず、ウズウズしているのも数名いるが。


「なぁ、この後はアーニャちゃん拾ってから話すか?」


「あぁ、そうなるな。二人ともそれでいいか?」


「私はいいよー」


「私も」


「じゃ、いくか」


しかし、チャイムが鳴らない。もう時間は過ぎている筈なのに。まぁ、チャイムが鳴らないのはたまにある。授業前だと嬉しいんだけど、授業終わりだとただうざいだけなんだよなぁ。懐かしい‥‥


「あれー?なんか壊れてんのかもな。もう時間だし、いいぞ」


扉の前で陣取っていた奴らが、待ってましたとばかりに扉を開こうとする。が、


「あ、あれ?」


「先生、開かないよー?」


「部活遅れるー」


「はぁ?鍵でも閉まってるんじゃねーのか?」


「閉まってねーよ」


「てか、ビクともしない‥‥‥鍵掛かっててもコレはおかしいって」


野球部らしき男子生徒(ゴメン、名前忘れた)が顔を赤くして扉を開けようとしているのが見える。が、全く開く様子は無い。遊んでいる顔には見えないのだが?

‥‥‥ッ!!魔力!?


「皆!床に伏せて周りのだれかと手ぇ繋げ!!」


「は?あいついきなりどうしたんだ?」


「やっぱさっきのまだひきずってんじゃね?」


こいつら、言いたい放題だな?いや確かに、俺今日可笑しかったけどさ‥‥


「雫、タツ、皐月!俺に掴まれ!!跳ぶぞ!!!」


まず、雫が何か分かったのか、それとも反射的にかはわからないが、腰にしがみついてきた。

別に捕まるだけでいいのに‥‥‥ご馳走様です!(胸の感触?全くと言って良いほど無いよ?)

次は皐月だ。腕にしがみついてきた。胸の感触が心地いい。

腰がボキボキいってきた‥‥‥

タツはよくわからないといった感じで肩に手を置いてきた。その時、


「うわぁ!?」


「なんだこれ!?床が光ってる!?」


「皆!蓮川の言うとおり、一カ所に集まれ!」


先生の声が響きわたり、皆が固まったところで、光が強くなり、何も見えなくなっていった。昨日、というか二年前の夜と同じ。


あぁ、またか‥‥‥


本日二度目の異世界召喚


今度こそ、勇者はやりません。つか、やらせんな

次回は、別視点になります。

少し短くなるかもしれません。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

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