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置いてけぼり


ったく、アイツらのせいで変な誤解受けちまったじゃねーか。早く教室行って生徒会室行かないとなー。面倒くさい。


「ちょ、なにやってんの?」


「あれ素?素なの?だとしたらやばくない?」


「陽菜ちゃん‥‥君のお兄さん、マジでやばいかも」


騒いで落ち着いた雫達が追いついたらしい。まだ納得はしてなさそうだが、まぁ放って‥‥おけないな。今度は別の事で騒いでるらしい。校舎入ったんだから教室着くまで黙ってろよ。‥‥‥ところで、この貴重品入れみたいなのなんだっけ?


「またなんかあったのか?今度はなんだよ‥‥」


「「「いやいやいや、やばいのはお前だよ。お前!!」」」


は?なにいってんだ?こいつら。俺のどこが可笑しいんだよ?それより、この貴重品入れみたいなの、何に使うんだっけ?


「ねぇ‥‥マジで気づいてないの?」


はぁ?‥‥あぁ!?俺、上履き履き替えてないっ!!


「あははは!?も、勿論気づいてたよ、うん!!いやー、よく気がついたな!?」


「いや、無理だろそれは‥‥」


まさか上履き履くのを忘れるとは。向こうは靴を脱ぐのは殆ど無かったからな。部屋の中でも履いてたし‥‥やっちまった。確かに可笑しい奴だな、俺。


「なぁ、ほんとに大丈夫か?熱でもあんのか?」


失礼な‥‥って、これならそう思われてもしょうがないか。此処に来るまでの事も含まれて言われてるんだろうな。


「大丈夫だよ。心配させて悪かったな。夏休み前で浮かれてるみたいだ」


あぁー気をつけないとな。‥‥‥‥あれ?‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ヤバい、マジでヤバい


「なにやってんだ?ハル?上履き履かないのか?」


「えっ!?うん履くよ!?今靴脱いでんだよ!ちょっと待っとけ!!」


「お、おう?」


どうする!?てか、俺何番だっけ!?やばいやばいやばいやばい!?


「ねぇ、もしかして‥‥‥」


まずい!?考えろ、蓮川春人!!‥‥ん?蓮川?確かタツの名字って


『狭間』


と、言うことは‥‥俺はその下!見つけた!!フッ、簡単な推理だったな。


下駄箱を開けようとすると、


「ハル、そこ蓮見のだぞ?お前のはもう一個下だよな?なにやってんだ?」


‥‥‥やっちまったー!!そう言えばアイツ忘れてた!全く、似たような名字しやがって!!


「あっ、あー!そうだったな!!うん間違えた間違えたアハハハハ!!!」


やっべー!!3人の見る目がやばい!あれは頭の可笑しい人を心配する目だ。


『やっぱ保健室つれてった方が良くないか?』


『けど、今日は午前中だけだし‥‥』


『私が陽菜ちゃんについて行って、帰りはタツに任せる方向で良くない?』


『けど、今日1日持つかなぁ?』


聞こえてるっつーの!!いや、自業自得なのはわかるけどさぁ‥‥それでも、もっとこう、聞こえないようにさぁ。ねぇ?‥‥違うわ。俺の五感が鋭くなったせいだ。チクショウ‥‥


「分かったから、早く教室いくぞ!」


無理やり話を戻して、ズンズンと歩いていく。勿論、上履きに履き替えましたよ?


「大丈夫か?教室の場所わかるか?」


「そりゃ!‥‥‥どこだっけ?」


「保健室。いや、病院に行こう。な?」


「ほら、いくわよ。流石にこれはやばいって。皐月、先生に言っといて貰える?」


「わかった」


まてまてまて!皐月も、わかったじゃ無いよ!?なに素直に言うこと聞いてんのさっ!?


「大丈夫だから!ほんとに!何があったのか話すから病院は止めて!?」


「‥‥さっきの話と関係あるの?」


余計なこと言った。さっきからなにやってんだ俺は?ホントに病院行った方がいい気がしてきたぞ。


「‥‥あぁ、けど長くなるから学校終わって、アーニャちゃん迎えに言ってからな」


「‥‥わかった」


ふぅ。何とか納得してくれたな。

散々騒いだ俺達は、やっと足を動かし教室へと向かった。‥‥タツの誘導で。


「ねぇねぇ、さっきの話ってなにー?あと、アーニャちゃんってだれー?」


‥‥‥無視だ無視。これ以上此処に居たら他の奴らが入ってこれねーよ。



     ーーーーーーーーーーーー




教室にやっとついた。ここまで滅茶苦茶長かった気がする。ホントに疲れた‥‥


「席は憶えてんのか?」


「‥‥‥任せる」


そう言うとタツは無言で目の前の席を指差した。まさか真ん前にあったとは。三人が各々自分の席に向かう‥‥‥全員近いな。全く記憶にない。こんなだったっけ?

雫は左横でタツが前。皐月はタツの横で、俺から見たら左斜め前って所だな。まぁ、それは良いとして、生徒会室に行くかな。遅れちまう。


「ちょっと、どこ行くのよ」


はぁ?この子は何を言っているのかね?


「お前が生徒会の手伝いあるって言ったんだろ。まさかそれも嘘か?」


そうだったら流石に俺も怒るぞ?怒って何も話さなくなるぞ?


「違うわよ。あんたはここに留守番。代わりに皐月連れてくから」


「はぁ?」


「えっ、あたし!?」


ほら、皐月も驚いてるぞ?何も聞いてないって顔してる。


「こんな状態のあんた連れてける訳ないでしょ。大人しく待ってなさい。いい?変なことせずに、寝てる振りでもしてなさい。タツ、皐月。いくわよ」


えぇーそりゃ無いぜ。何のためにこんな早くに来たんだよ‥‥って、もういないし。


「はぁ‥‥‥いきなりヤバいな。てか、どうやって話せばいいんだ?ホントのこと言ったらマジで病院送りだぞ俺」


やっと日常に戻れるのにこんな事で躓くとは‥‥‥二年は思ってたよりも大きかったな。いや、こんなものかもな。


「‥‥‥寝るか」


教室では何人かの生徒が話していたが、いつもつるんでたほかの奴らはまだ来てないので、つまらないし寝ることにした。少し眠いからな。


そこで俺は、見たくもない『彼』の夢を見る。俺が、この世で一番憎み、そして、親友の一人だと思っていた、『彼』の夢を。



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