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再会 

リビングに降り、まずは両親の顔をみる。


「おはよう。早く顔洗ってきて、朝ご飯できたから」


久しぶりの両親の顔。うん、懐かしいな。ヤバい、泣きそう。てか、気になるのはこの飾りだな。今日誰かの誕生日か?でも、夏は誰も居ないはずだし‥‥‥


「あー、今日ってなんかあったっけ?」


「えーっ!?おにいちゃん忘れてんの!?信じらんない!!」


えーそんなこと言われてもなー。


「なんかあったっけ?」


うわっ、なんか皆に可哀想な奴を見る目で見られてる‥‥‥そんなに大事な用あったっけ?ヤバいな、何も覚えてない。


「今日からアーニャが来るんだよ!?昨日の夜、夏休みの間泊まるからっていったじゃん!!アーニャ、おにいちゃんに会うの楽しみにしてるんだよ!?」


あー、そう言えばそんなことも‥‥‥そして妹よ、俺にとって君の言っている昨日の夜は二年前の夜なんだよね。‥‥覚えてるわけねーだろ。というか、会ったことも無いのに会いたいって‥‥コイツ俺のことなんて話してんだ?余計な事言ってないよね?


「そ、そうだったな。まだ寝ぼけてるみたいだ。顔洗ってくる!」


俺は逃げるようにして、リビングを出て、洗面所に向かった。後ろからは妹がグチグチ文句を言っているのが聞こえてくる。


『寝ぼけてんじゃなくて、本格的にアホになったんじゃないの!?昨日の夜のこと忘れるとか意味わかんない!』


しょうがないんだよ。だって二年も前だもん‥‥そんなことよりも、この分だと他にも大事な用があるかも。うわぁ、面倒くさい。


顔を洗い、一度部屋に戻ってスマホを開く。メールが何件かきてるな。殆どがどうでもいい内容だったが、一つ不味いものがあった。雫からだな。


『明日は生徒会の手伝いね。この前のサボリの罰。七時五十分までには教室にいること。‥‥ちゃんと来なさいよ?じゃ、おやすみ』


今は7時半 歩きで四十分だから‥‥‥終わったな。走る?ははっそんな選択しはねーよ。外クッソ暑いし。さて、どうやって返そうか?『メールみてなかったごめーん』で、済むか?‥‥無理だろうなぁ。一発ぐらい覚悟しとくか‥‥あれ、もう一つあるな?龍一からだ。


『明日来てくれないと死ぬ。俺が』


‥‥南無三

お前にとっては天国だろ?雫と二人きりは。てか、なんで怒ってんだ雫は?これも覚えてない。ま、会えばわかるか。

さて、そろそろ降りて飯食うかな、他にはなんも無さそうだし。


『おにいちゃーん?なにしてんのー?』


そろそろ降りないとまずいな。顔洗いに言っただけでこんなに時間使っちまった。


『雫さんきたよー』


ん?可笑しいな、なんか幻聴が‥‥‥


『ハル、早く降りてきなさい!!』


‥‥幻聴じゃ無かった。懐かしい雫の声だ。


「諦めようぜ、親友‥‥‥」


おまえいつの間に来やがった?そんでもって何でそんなに傷だらけなんだよ。


「昨日ストレス発散って、練習試合満足するまでやらされた‥‥‥」


あいつ、ホント容赦ねーな‥‥それも懐かしい。そう言えば、こんな感じの日常だったな。


「お前に対してもこんなもんだろ?」


「ここまでは酷くねーよ!?」


全く、俺がボコボコにされるのはバカやったときだけで、稽古中はなにもないってのに‥‥あれ、逆の方がいいのか?


「って、こんなにゆっくりしてていいのか?遅刻確定だぞ?」


「あぁ、問題ない。お前には三十分前の時間伝えてるから。それに、手伝いは終業式の準備で、朝はその説明だけだ」


酷い親友だな。てか、それ俺いらなくね?なんで呼ばれたんですかね。もう今日は寝てたいよ俺は。


『ハル、タツ!早く!!』


「いいから、ほれ、早く着替えちまえ」


「ん、了解。先降りてろ」


「おう」


ちょっと関係ない話をする。

龍一は、俺達からタツと呼ばれている。なんでかっていうと、子供の頃俺が『龍』というのは『たつ』とも読む。というのを雫に教えたら、じゃ、龍一は長いからタツでいいや。なんて事を言い、当時クラスのリーダー的存在だった雫がタツと呼ぶので周りも同じように呼び始めたから。高校に入ってからは、『リュウ』と『タツ』どっち?と言うことになり、タツは何度も訂正していて、少し可哀想だったな。嗤えたけど。


着替えてからゆっくりと降りていくと(雫が怒ってる理由を考えていたからだ)、雫とタツは俺の分の朝飯を食べ終えている所だった。家で食って来いよ。


「‥‥‥なにしてんの?」


「だって遅いし」


「朝走ってきたからお腹空いてたし」


「ふ、ふざけんなよ!?」


俺の二年ぶりの米が!!俺が、どれだけ米を食べたかったかわかるか!?米に似た物はあっても、全然美味しくなくて、でも泣く泣く食べた、あの時の気持ちがっ!!‥‥って、コイツらには関係無かったな。


「そ、そこまで怒るか?なんだ?夕飯食べてなかったのか?そりゃ、悪かったけどさ‥‥け、けど、食べて良いって言ったのはおばさんだぜ?」


雫も必死に首を縦に振っている。そんなに怖かったか?

そして母よ。何をしてくれてんのですか?いや、何も知らないから、しょうがないけどっ!俺が寝坊した時、たまにこういう事が合った気もするけどっ!!


「母さん‥‥‥なにしてくれてんの?」


「だってあんた遅いんだもん。安心なさい。ちゃんとおにぎり用意してあるから」


おおぉっ!!


「流石だぜ!母さん!!」

((こ、怖かった‥‥))


今だけ母さんが女神に見える!あの女神よりも女神らしいぜ!!


「おにいちゃん。そんなにお腹減ってたの?」


「ん?別に腹が減ってるとかじゃなくって、ただ単純に米が食いたかっただけ」


口におにぎりを頬張りながら、優しい俺は妹の質問に答えた。あぁ、やっぱり日本人は米だな!!アッチで食べた偽物、酷かったからなぁ‥‥


「ふーん。どうでもいいけどねー」


どうでもいいなら聞くなよ。俺は今二年ぶりの米に喜びを感じているんだからな。あぁ、これはあいつ等にも‥‥


「?どしたの?おにいちゃん?」


「‥‥‥いや、なんでもない。もう行く。母さん、おにぎりサンキュ」


ダメだ。またあいつ等のこと考えた。もう、関係ないのに‥‥‥


「ちょ、ハル!?」


「おい、いきなりかよ!?」


まだコーヒーを飲んでいなかったらしく、慌てて飲み干そうとしている。いい気味だ。


「あ、おにいちゃん。放課後アーニャ向かい行くから。私の方が先に終わるから校門でまってるね」


「わかった」


んじゃ、行って来ます。


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