親子喧嘩
精霊魔術→精霊術に変更します!
「ママ、絶対に許さないからね!!」
「ちゃんと私の話を聞いてもらいたいんだけど?(ハルはどこに行ったのかしら?)」
「聞かない!!
撒き散らせ、『散華』」
「酷いわねぇ(気づいてないわね‥‥)乱れろ、『風華』」
サポート重視の精霊術、『風華』が広範囲型攻撃精霊術、『散華』を消し飛ばす。
「こんな物なのかしらぁ?フィー」
「そんなわけ、ない! 貫け!!『華突炎撃』」
「貫け、『華突氷撃』」
炎と氷のドリル型の華が交錯する。
通常、属性の相性で『華突氷撃』の方が押し負けるものだが、込めた魔力が圧倒的に精霊王の方が多く、相性の差など問題にならない。結果、精霊王は無傷。フィーの周りには華の氷の結晶が散乱した。
「フィー。今のはワザと外したけど、下手したらアナタ、本当に死んでいたわよ?」
精霊王が手の平で『華突氷撃』をクルクルと回しながら言葉で追撃する。
「アナタ、本当に私の後継者なのかしらぁ?このままだと、私の後を継ぐのは何十年、何百年掛かるのかしらぁ?私、早く楽したいんだけど」
「うぐぐぐ‥‥」
「こんなんじゃ、坊やも守れないわねぇ」
「そんなことない!ハルは、私が守る!!」
「無理よ。少し『眠ってなさい』」
その言葉を聞いて直ぐに、フィーは崩れ落ちてしまった。
「全く、こんな簡単な『言霊』で寝るなんて、まだまだねぇ‥‥私、この子に『言霊』教えたかしら?‥‥まぁ、大丈夫よね。ハルを迎えに行きましょう」
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フィーが『言霊』で眠ってしまう少し前、
「‥‥んぅ‥‥‥んぁ!?」
目を覚ましたハルは辺りを見回し、気絶直前の記憶を探る。
「ここどこだよ?何でこんなとこに‥‥腹が痛い‥‥‥」
フィーのやつ、俺を「炎華』から守ってくれたのはいいが、その守り方が雑!!
『氷撃』で俺を守ろうとして間に合わないからって、思いっきり突き飛ばしやがったからなぁ‥‥骨何本か逝ったな、これ。
「アイツ、俺が腕と目無いの忘れてやがるだろ‥‥」
遠くの方で精霊術の反応がある。恐らく、フィーと精霊王の反応だろう。
「ったく、なんで俺との勝負が、親子喧嘩になってんだよ‥‥‥」
お腹を治癒しながら、歩き出す。フィーと精霊王を、止めるために。もう、喧嘩が終わっていることを知らずに歩き出す。少し待っていれば、精霊王が迎えに来たのに、それに気づかず、痛いのを我慢して、歩き出す。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
※散華‥‥白い無属性の華を周囲に散らせ、攻撃する。広範囲型の精霊術
※華突炎撃‥‥ドリルのような形をした炎の華。一方方向にしか進まないが、スピードと貫通力は桁外れ。
※華突氷撃‥‥『華突炎撃』の氷バージョン。
※言霊『眠りなさい』‥‥その名前の通り言葉に力を乗せる。
相手が油断してるとき、相手が自分よりも弱い場合使用可能。
たとえ使えなくても、知識があればある程度は防ぐ事が出来る。
だが、これはあまり使用者がおらず、殆ど忘れ去られている。