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だが断る(!?)


「な、なんだよ‥‥‥」


目の前にはブチ切れた天使。その後ろでアワアワしている女神。

女神使えねー。止めろよ。アワアワしてないで‥‥‥


「だからー、ゴチャゴチャうるさいんですよぉ。もう終わったことをグチグクチとうっざいですねぇ」


「う、うっざいって‥‥‥」


俺、世界救った英雄ですよ?うっざいは無いんじゃないですかね?泣いちゃうよ?


「いいですか?確かにシルさんは救えなかったかもしれません。が、『勇者』の称号を持っていたことで救えた命も有りますよね?」


「‥‥‥っそれは」


「有りますよね?」


「‥‥はい」


「じゃ、今回も救って下さいよ。今度は、救えない人を作らず此処にきてください」


「天使‥‥」


「春人‥‥‥」


恋人のように、熱く、強く見つめ合う二人。だが、女神は分かっていた。ハルが、自分の選んだ『勇者』が、こんな事で首を縦に振ることは無いと。
























「だが断る」


「‥‥‥‥はっ?」


良いこと言ったみたいな満足感溢れる笑顔で固まってしまっている天使。後ろで泣き出しそうな女神。


「当たり前だろ?確かに『勇者』を持ってたことで救えた人達もいる。けどそれはシルも救えてないと意味ないんだよ。シルを救えない力なんて俺には必要ない」


ヤレヤレ、といった感じで首を横には何度でも降る元『勇者』を前に、アワアワとしている天使。この流れで断られるとは思っていなかったようだ。


「い、いやそれはわかりますが‥‥」


「わかってんなら言うなよ。俺はもう勇者にはならない。これで終わりだ。いいな?」


「良くないですよ!?」


女神乱入。


「もういいじゃん帰せよめんどくさい」


「いやいや、だめですよ!?ほら、アナタも!固まってないの!!」


「‥‥ハッ!?」


あまりの衝撃に、固まっていた天使を思いっきり揺らして意識を戻させる。一人ではハルを止められないからだ。まぁ、居ないよりマシ。程度の戦力だが。


「いいですか春人さん!『勇者』はいらないと言うのは想定の範囲内です!!どうせ受け取ってもらえないのは分かってました!!!」


「じゃ、なんでアイツあんな話したんだよ‥‥‥」


「あの子の独断です!」


とめてやれよ、分かってるなら。最低な奴だな。


「ほら、あっちでいじけてるぞ?慰めに行ってやれよ。俺を帰した後で」


「帰しません!‥‥あっ、消えた」


あぁー、どっか行っちまった。今頃シクシク泣いているんだろう。


「かわいそうに‥‥‥」


「春人さんのせいですよね!?」


「知らねーよ。アイツが自身満々に話してるのを少し否定したぐらいで‥‥‥」


「少しどころかバッサリでしたよね!?考えてもいませんでしたよね!?」


「まぁ、考える必要ないし。つか、早く帰せよ」


「帰しませんって‥‥このままじゃ勝てませんよ?」


「力に関しては心当たりがあってな、そこに行ってみる。だからいらない」


「‥‥‥どこに行くんですか?」




「精霊王に会いにいく」




「せ、精霊王ですか?けど契約してる精霊はもう居ますよね?しかも次期精霊王」


うーん。まぁそうなんだけどね?


「初めてフィーと契約したとき『精霊武装』ってのいらないかって言われてさ。俺『聖剣』持ってたからいらないって言ったんだ。けど貰いに行こうかなーって」


「そ、それで強くなろうと?」


「まぁ、楽じゃ無いだろうけどな。今の所それしか思いつかないし」


「わ、私から貰うというのは?」


「なんか適当にごまかして『勇者』寄越してきそうだからいらね」


「や、やだなーそんなことしませんよー」


「嘘付け。目が泳いでるぞ」


「ぐっ‥‥」


こいつは、本当に嘘が下手だ。


「わ、わかりました‥‥わかりましたよ。もう言いません」


「そうか、じゃ帰せ」


「はい‥‥‥あ、そうだ」


今思い出した。といった風に手をポンッと叩いて準備していた手を止める。


「ん?どうかしたのか?」


「いえ、大したことでは無いのですが、向こうに戻ったら多分もう念話出来ると思います。勇者の頃と比べて回数は減りますが」


「ふーん。まぁいいや、どーせあんまり使わねーし‥‥‥泣くなよ」


「だって、今回も使ってくれないとか酷すぎですよ。しかも本人の目の前で」


「だって必要ねーもん」


「そうかも知れませんけど‥‥たまには使ってくださいね?」


えーめんどくさ。コイツと喋るの面倒くさいんだよ。変な厄介事まで持ってきそう。


「‥‥使わなかったら無理やり『勇者』渡しますよ」


「たまには話そうか!」


「はいっ!!」


くっそー、ずるい奴だ。ホントに女神かよ?


「ふふっ!じゃ、送りますね?ちゃんと連絡してくださいね?」


「わかったよ。だから早くしろ」


「はーい!あ、あとこれあげますね!!」


いつの間にか女神の手にあった光の球体が俺の中に入っていった。


「おいこらなにいれた!?」


問いただそうとすると目の前が真っ暗になり、俺の意識は無くなる。最後に聞こえたのは、


「ふふっ!内緒ですっ」





女神の、可愛い女の子がやる腰に手を当てて、人差し指を頬の横に持って行って『ナイショッ♪』という、良い年の癖に無理をしたポーズだった。

女神、潰す。そして、気持ち悪‥‥‥


「酷いっ!!」


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