召喚成功?
「おい!ここどこだよ!?」
「撮影?それでもこれはやりすぎだろ!責任者呼べよ!!拉致監禁だぞ!!」
「早く帰りたいんだけどー」
「よくわかんないけど、ドッキリ成功でしょー?帰してよー」
‥‥‥なんか落ち着いてる奴と騒いでる奴半々ぐらいだな。俺の時はもっとこう‥‥‥いや、俺も落ち着いてたか。女神から先に聞いてたからな。
「ハル?大丈夫?」
‥‥ん?
「あ、あぁ。雫か、他の二人は?つか、クラスメート全員いるか?」
「うん、大丈夫みたい。他の二人と先生は皆を落ち着かせてる。それよりもここどこ?まさか‥‥‥」
「あぁ、異世界召喚‥‥‥だろうな。けど、おかしいな。普通だったら聖女が『召喚にお応え下さりありがとうございます~‥‥‥』って登場するんだけど。ここ森だしなぁ」
人数が多すぎて位置までは決められなかったのか?まぁ、聖女の力がまだ不完全なら‥‥‥って、そうだ。あれから何年経ってるのか聞くの忘れた。ルークが生きてるってことはそこまで経ってないと思うけど。
けどなぁ、アイツあの『力』持ってたし、寿命が延びててもおかしくないし、うーん‥‥‥まぁ、いいか。
「取りあえず、王都を目指そう。その前に少し離れるけど、なにかあったら大声で叫べ」
「わかった」
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「ふぅ。なんとか抜け出せたな。アッチは雫達に任せるかな」
少し離れた茂みの中に入り、ステータス画面の確認を始めた。
少しだけ騒ぎが収まっている。雫達が何とかやってくれたようだ。安心して確認出来るな。
「ステータス・オープン」
蓮川 春人
称号 異世界人
フィルニールの英雄
ゲノムを滅ぼす者
魔王を消滅させた者
スキル 異世界言語
勇者の残りカス
魔法 火魔法上級
水魔法中級
風魔法上級
土魔法初級
聖魔法初級
精霊術(使用可)
‥‥‥なんか称号が増えてる。確かに滅ぼしたし、消滅させましたけど、これは‥‥‥酷いな。
なんか、元勇者の持つ称号じゃ無い気がする。普通、魔王を滅する者じゃないの?消滅なの?‥‥‥と、とにかく、精霊術が使えるんだ。それを使ってどうにかしよう。
「フィー、でておいで。いるかい?」
‥‥反応ないな。まさか、本当に何百年って過ぎてるのか?‥‥‥いや、いるな。目の前に。なんか魔力の塊が。
「なぁ、フィー、謝るから出てきてくれよ」
‥‥‥嘘つき。ずっと一緒って言ったのに、置いてった。
やっべー滅茶苦茶怒ってる‥‥‥何年経ったんだ?
「わ、悪かったよ。謝るからさ、な?あの時は俺もいっぱいいっぱいだったんだ。もう時間置いて落ち着いたからさ(まだ1日と経ってないけど)だからさ、許してくれよ。今度は置いてかないからさ」
‥‥‥ホント?置いてかない?ずっと一緒?
うーん。甘えん坊は直ってないな‥‥‥そんなに時間過ぎてない気がするな。
「あぁ、一緒だよ。なんでか知らないけど精霊魔術が使えなかったんだ。ゴメンよ。キミもつれて帰れる方法を探すから、手伝ってくれないか?」
‥‥‥うん!
「ハル!」
うおっ!!
いきなり実体化して俺の上に乗りやがった‥‥‥変わってないな。重さ的に。
「びっくりするからいきなり実体化するのは止めろって言っただろ?」
「あぅ‥‥‥ゴメンナサイ」
まったく‥‥‥
「久しぶりだな。フィー(俺は久し振りって感じしないけど)」
「うん‥‥‥会いたかったよ。ハル」
俺はそれから少しの間、フィーの頭を撫で続けていた。
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「さて、フィー。アレからどの位経ったのか教えてくれ」
「んっとねー‥‥‥ん!」
フィーは俺に手の平を目一杯に開けて見せてきた。
「五年か。随分と経ったな。いや、まだいい方か?‥‥‥っと、ありがとうな。フィー」
「んふふー」
頭を撫でてやると嬉しそうに目を細める。五年も居なかったんだ。暫くは甘やかしてやるか。
「さてと、そろそろ戻るか。フィー、中に入ってくれ」
「ん。わかった」
フィーはそう言うと俺の中に吸い込まれるようにして入っていった。
「よし、急に出てくるなよ?俺が良いって言うまで中に入っててくれ」
『わかった!』
よしよし、返事は良いな。ちゃんと言うこと聞いてくれるかはわからないが‥‥‥
俺は皆の所に向かって歩き出した。
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元の場所に戻ると、流石に撮影などではないと分かったのか、皆不安そうな顔をしている。
「あっ蓮川!お前どこ行ってた!?」
「あぁースイマセーン便所行ってましたー」
「こんな時に離れるんじゃない!」
えぇーサボるのは許したのに‥‥‥いや、これが普通だな。
横では雫が手の平を合わせて拝んでいる。いや、ここまで何とかしてくれて有り難いぐらいなんだか‥‥‥
「まぁまぁ、先生。戻ってきたんだし良いじゃないですか。それよりもこれからの事を考えましょう」
タツ。ナイス!‥‥‥そんな目で見るなよ。後で説明すっから。つか、なんで俺が絡んでるって分かるの?怖いよ。
「ん?そうだな‥‥‥そうするか、おい蓮川、そんな所に突っ立ってないでこっちこい。作戦会議だ。作戦会議」
「了解ですー」
『で、どうだったの?』
『なにが?』
『なにが?じゃないわよ!?ここがあんたの召喚された世界だったのかって話!』
『あぁ、合ってたよ。契約してた精霊もいたからな。ここは俺のいた五年後らしい。女神から何か聞いてないか?』
『は?女神?なにいってんの?教室で気を失って、気づいたらここよ』
あれー?アイツなにも話してねーのかよ?
「こら!そこ!なに話してる!?」
『何でもナイデース』
「取りあえず、今日はここで待機!!‥‥‥そこ、うっせー!しょうがないだろ!!先生もわかってないんだ。男子は薪探してこい!女子は食べれそうな木の実だ!!」
いやいや、待て待て待て。
「せ、先生、それは不味いです。離れるのは不味い」
俺が全員守れなくなる!
「大丈夫だ。なんも居なさそうだし、問題ないだろ」
いやいや、不味いんだって!それに多分、もうすぐでアイツら来るし!魔力近づいてきてるから、このままここに集まってれば面倒を避けれんだよ!
『なんでそこまで離れたら不味いの?魔物って言うのが近くにいる?』
『いねーよ!俺の魔力に怖がって下級の魔物ですら近寄ってこねーよ。そうじゃなくて、王都の騎士らしき魔力が何個か近くまで来てるから、離れない方が良いんだよ』
『そういうことね。どの位でくるの?』
『三十分はかかる』
『りょうかい、何とかしてみる』
「先生。暫くは動かない方が良いと思います。まだ日は高いですし、暫くは様子をみた方が良いかと」
「ん?んー‥‥‥そうだな。じゃ、一時間はここで待機だな。皆、見える範囲にいろ。それと、最低でも二人ずつで行動しとけ」
その言葉を聞いた皆は、木にもたれ掛かったり、泣きそうになっている子をどうにかしたりと、自由に過ごしていた。
俺は取りあえずステータス画面の確認‥‥‥
「ハールートークン。お話しよー?」
忘れてた‥‥‥
「私も聞きたいなー。雫はサボってたときに聞いたんでしょ?じゃ、話してよ。一時間ここにってのも気になるし」
あぁーめんどくせー。まぁ、暇つぶしにはなるかな。
「わかったよ。けど、途中で遮らずに全部聞け」
「おう。わかった」
「了解!」
「じゃ、話すぞ‥‥‥
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光球は流石に使えなかったが、雫に話した物とできるだけ同じになるように話していった。
「そ、そんなことが‥‥‥」
「流石にこれは驚いた‥‥‥」
うん。やっぱり驚くよな。
「全部ホントよ。今は皆がいるから使わなかったけど、実際に魔法もこの目で見てるわ」
「いや、疑ってるわけじゃねーんだよ。実際俺達もここにいるわけだし」
「うん。ただ、内容が内容だから‥‥‥」
まぁ、そうだよなーけどそろそろそんなこと考えてる余裕は‥‥‥来たな。
「う、うわぁ!?馬だ!」
「すっげー!って、なんでこんな所に?」
「知るかよ!逃げるぞ!!」
「ちょっと、走るの!?待ってよ!」
「早くしろ!おいてくぞ!!」
うわー、不味い。パニックになってるな。‥‥‥よし、
「おい、お前ら!落ち着けっ!!」
『落ち着けるか!!』
デスヨネー‥‥
『おい、俺が話してくるから。あいつら一カ所に集めとけ』
『了解』
そう言って俺は騎士の方に、3人は皆の方へと駆け出した。




