序章:私の目指すもの
私はゴミのように捨てられた。いらない子供として捨てられた。
どうして私は捨てられたのかな。どこか変なところがあったのかな。
絶対に見返してやる。後悔させてやる。
そのために、私は生きた。どんなに悪いことをしても、どんなに人を傷つけても一人で生きてやると。
でも、誰でも一人で生きていけるなんて無理だった。あの時私はそんなこともわからなかった。
私は大きなヘマをした。ある冒険者を襲ったが近くに魔獣がいて私は死にかけていた。
私は生きたい。死にたくない。
でも、私は悪いことをしすぎた。だから私は誰も私を助けてくれない。
死に際になって初めて気がついてた。人は一人では生きていけないんだと。
誰かと助け合って、認め合って生きているんだ。きっと今のような状況でも助け合える仲間がいたら私 はまだ生きていけただろう。
でも、もう遅かった。
私は一人で生きていこうとしたのが間違いだった。
ああ、私はここで死ぬんだ。
魔獣の爪が私を切り裂こうとする。
その時、一人の女冒険者が魔獣を一刀両断した。
私にはよくわからなかった。私は自分が生きるためにこの人を襲った。
女冒険者が私に駆け寄って来た。
「君大丈夫」
私には信じられない。だって私は人を襲ってきた。ほかの人から見たら私なんて害をなす化物だ。そん な私を…
「もう大丈夫だよ。君は今まで大変だったんだね。」
そう言って私を介抱しようとした冒険者を突っぱねた。そして私は冒険者を睨んで
「なんで、なんでなのよ。私は生きるためになんでもしてきた。人も殺した。盗みもした。きっと私が
こんなゴミみたいなやつだから、私は捨てられたんだ。捨てられて当然なんだ。私なんて生きてちゃいけないんだ」
私は年相応の子供みたいに泣きながら喚いた。初めて誰かに助けられて、大丈夫だよと優しい声をかけてもらえて、どうしたらいいのかわからなくたった。初めて優しくされて私の心は壊れそうだった。そんな私の頬を冒険者が引っぱたいた。
「何子供が言ってんの。死んでいい人間なんて、捨てられていい人間なんているわけないじゃない。あなたは悪いことをしたのかもしれない。でも、あなたはそうしなきゃ生きていけなかったんでしょう。でも、誰もあなたに手をさしのめでくれなかったの。そんなのは周りがおかしいのよ」
そして冒険者は少し泣きながら、私のてを握った。
「私が、こんな寂しいところから連れ出してあげる。世界は広く素晴らしんだ。だから一緒に行きましょう」
そう言って私の手を引っ張って歩き出した。
その時見た冒険者の背中が凄く大きく見えた。初めて誰かに認めてもらった。嬉しかった。心が初めて満たされた。この大きな背中を見て、私を連れ出してくれた冒険者をみて、私もこうなりたいと思った。誰かを認めて、助けてあげられるような人間になりたい。
それから年月がたって冒険者になれた。
私も私を助けてくれた冒険者のようになれるかな。
さて、今日から初仕事。
よし、頑張ろう。
そう思って私は大きく一歩踏み出した。