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ダンジョン&ドラゴンズ  作者: 速水
2/20

契約をしよう!

「俺と契約してダンジョンモンスターになってよ!」


「言いたいことは伝わるがその妙な言い回しは何だ…」


ドラゴンにジト目で見られた。爬虫類みたいなもんだし表情とか読みにくいかと思っていたのに意外と芸が細かいな。

現在俺はドラゴンと向き合って交渉に入っている。ダンジョンマスターの自覚をしてからドラゴンに対しての怯えは一切無くなっている。ダンジョン内においてマスターと配下の関係は絶対なのだ。


「まぁ、俺の要件は契約なんだけどさっきダンジョンマスターに用があるとか言ってなかった?正式に契約を交わすための条件とかであれば聞くよ?」


現在、目の前のドラゴンは俺の配下という枠には入っているもののダンジョンモンスターとしての契約はされていない。契約完了をもってダンジョンのモンスターとして働いて貰えるようになるようだ。

ちなみになぜいきなりドラゴンがいるのかという疑問の答えは単純で、俺がチュートリアルとかすっとばして一回10,00DPのモンスター召喚ガチャを回したからだ。ガチャ演出が派手でフラッシュで部屋中真っ白になったと思ったらリアルダンジョンマスター生活が始まっていたのが前回の冒頭シーンということになる。


「人間がダンジョンマスターとは聞いたこともないし、このダンジョンも新たに出来たばかりのようだ。これでは我の目的は果たせぬだろう。人間のダンジョンマスターよ、送還を希望する」


拒絶された、地味にショックだ。やっぱり骨付きのお肉がないとダメなんだろうか、それとも霜降りか。

しかしここで諦めるのはダメだ。なんていったってドラゴンだ、ここは俺の華麗な話術でなんとか交渉しなければ!こういうのってゲームではなかったから新鮮だなぁ。


「うーん、こちらも召喚にかけた投資もあるし、はいわかりましたとは言えないなぁ。確かに出来たばかりのダンジョンなんで今すぐ要望に応えることは出来ないかもしれないけど、その目的というやつの実現をダンジョン運営の中で優先的に行うということで契約してくれないかな?」


「ダンジョンマスターと結ぶ契約条件としては悪くないが、それでも無理だ。まず、出来立てのダンジョンでは我を維持するだけのDPを賄ことが出来まい。」


維持にDPが必要なのか、初耳だ。説明書の類は読まない主義だし、ゲームなら困ったときに読むで問題はない。まさかいきなりダンジョンマスターライフが始まるとか考えてなかったし。チュートリアル、ちゃんとやっておくべきだったか。

交渉以前に情報が少なすぎる。何かないか、と考えながら先ほどから表示されたままの文字列から配下欄をタップしてみる。


―モンスター大全(初級)の所持を確認しました。配下項目とのリンクを行いますか?―


とりあえずYESっと。モンスター大全は召喚ガチャの前にお試しで1回だけ回した1,000DPのダンジョン施設ガチャの景品だったかな。


配下 ドラゴン

リンドブルム系ドラゴン


始まりの五竜の一角、リンドブルムを祖とするドラゴン種。

他種族との交配により生まれる亜竜種とは一線を画す戦闘能力をもつ純血種である。

牙や爪だけでなく、未確認だが個体ごとに性質の異なるブレスを放つと言われている。

宝石類や金貨等を集める修正があり、ドラゴンが棲むダンジョンはほぼ例外なく宝で溢れている。

もし仮にドラゴンを打倒出来たのであれば富と名声を一気に手に入れられるだろう。


危険度 AA


維持コスト 500,000DP/月

契約完了時、称号 「竜の巣」Lv.1を得る。



モンスター大全さんの解説は良い感じでテンション上がるけど維持コスト50万とか半端ねえ!手持ち9万で一カ月に1万の収入の現状だと確かに足が出まくっている。他にも気になる一文があったが契約完了してダンジョンモンスターとして配置しないと意味なさそうだから今は意味がない。


「確かに、現状で50万DPは確保できないね。でも逆に言えばそれさえ解決出来れば契約してくれるってことだよな?さっき条件としては悪くないって言ってたし」


「解決できるのであればな。もしそんなことが可能なダンジョンマスターが居るのなら我から契約を請うだろう」


「よし、ならそこを解決したら契約だな!」


クリア条件を洗い出すことに成功した、あとは実現方法を考えて実行すればいい。

ドラゴンのいるダンジョンライフのためにはやらねばならんのだ!


「人間よ、わかっておらんようだから教えてやる。DPの習得条件は大別して3種だ。一つ、ダンジョンへの侵入者への対応、基本的には撃退か討伐。二つ、ダンジョンへ宝物を設置と防衛。三つ、ダンジョンの拡張及びダンジョンコアの成長によるダンジョン自体のDP生産能力の向上。保有DPがほとんどない出来立てのダンジョンで二つ目と三つ目で大量のDPを確保できるだけの拡張は出来ない。となると一つ目だが、さすがに我という戦力をもってしても50万DPを稼げるほどの量や質と戦って勝つことは難しい。わかったか?」


そういってドラゴンがこちらを見据えてくる。さすがは維持コスト50万、ファンタジーでよくある脳筋ドラゴンとは一線を画す知性を感じさせる瞳をしている。痺れるじゃあないか、ますます欲しくなったぜ。


「いいか、ドラゴン。そっちもわかってないようだから教えてやる」


顎を引き、こちらもドラゴンを見据える。自然と口角が上がっていた。あぁこんな気分は久しぶりだ、湧き上がる衝動に流されるまま言葉を紡ぐ。


「人間ってのはな、不可能を可能にする生き物なんだよ。まぁ見てろ」


再度ダンジョンコアのメニューを呼び出し、ダンジョン運営に関する項目を表示する。

階層追加、フロア追加、施設追加などあるがそれは後回しだ。後々のことを考えて軽くDPコストだけ把握するだけにしておく。


「あった…見ていろドラゴン。これこそ人の可能性の力だ!」


探していた項目を選択、空中にえらく古いタイプのつまみが現れる。迷わず掴んで回す!


ガラガラガラ、コロンッ


出てきた球体を捻る。キュポンと、いい音がした。


・ミスリルの儀仗剣

宝物タイプ 武具・鑑賞

ランク A


総ミスリル製の儀仗剣。宝剣としての性質に特化しているため実用性は低くなっている。


発生DP 10,000DP/月


ガラガラ、コロン。


・妖精の取り分

宝物タイプ 消費

ランク C


妖精が取っていったとされる酒精、服用すると一定時間中程度の祝福効果を得ることができる。


発生DP 2,000DP/月


まだ来ない、ドラゴンはあきれたようにこちらを眺めている。見てろ、必ずお前を仲間にしてやる!


ガラガラガラガラ、コロン。


「なっ・・・」


ドラゴンがうめき声を上げる。俺の手に現れたそれは、ダンジョンコアとはまた趣が異なる水晶球のようだった。

淡く、仄かに、温かな光を放つそれは―


・光の玉

宝物タイプ 神器

ランク SSS


すべての闇を払う光の宝玉。かつて始まりの魔王を倒すために初代勇者が精霊より譲られたと伝えられる。

『光の玉、それは生きとし生けるものすべての光、希望の結晶。汝、怖れるなかれ―』


発生DP 10,000,000DP/DP

※ 祭壇フロアのみ設置可能。設置により特殊称号「光の祭壇」を得る。



「約束だ、契約してもらうぞドラゴン!」


「まさか―失われた神器を引き当てるとは。全く、自信満々になにをするのかと思えば運勝負とは人間というものは本当によくわからん生き物だ。だが、その運に我も賭けよう。契約だ人間、汝の名を告げよ!」


「内海櫂斗、新米ダンジョンマスターカイトだ!」


「我、ヘイムダル・スィエラ・リンドブルムは始祖リンドブルムの名の下にダンジョンマスターカイトの爪牙と成ることを誓う!我は竜、我は力!ダンジョンへ仇なすあらゆるものを打ち砕かん!!」



・個体名「ヘイムダル」の契約が完了しました。

 クエストをクリアしました、1,000DP獲得しました。

 称号「竜の巣」Lv.1を獲得しました。。

DPはもちろんダンジョンポイントです。お約束ですね。


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