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ダンジョン&ドラゴンズ  作者: 速水
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プロローグ

ドラゴン――其は力と象徴

その咆哮は世界を震わせ、その爪牙は全てを引き裂く。

絶対的強者、個としての頂点。



人間――其は知の具現者

森羅万象の理に挑み、その成果によって自らの可能性を広げるもの。

立ち止まらず、常に前へと進む群体。個として脆弱さを補って余りある進歩への活力。


あまりにも異なる二つの種族が今、邂逅を遂げていた。



方や窮屈そうというよりその体と部屋があっておらず嵌ってしまっているといった方が正しいだろうか。

ミシミシと、先ほどから時折部屋全体が震えているような。


方や尻餅をつき、唯々目の前の存在を見つめている。その足元には半球状の物体が二つ転がっている。色は透明と赤だ。

もっとも、それを気にするような余裕は無いようだが。


そこは小さな、本当に小さな洞窟の中。

出会った二人は―


「「なんじゃぁぁああああこりゃぁあああああああ!!」」


揃って、悲鳴を上げた。







やばい。

何がって目の前の存在がだ。

俺の目の前には現代日本において知らない人のほうが少ないであろうとても有名なモンスターがこちらを見つめている。さっきまで家でダラダラと休日を浪費していたはずなのになぜこんなところにいるのだろうか。ダラダラしていたのが悪かったのだろうか。


「フン、人間か。妙な恰好をしておるな、何者だ貴様、ここは何処だ答えよ」


喋った!ドラゴン喋ったよ!!

うおおおお、カッコいい!!怖いけど!!

しかし、意外に若いな声、声帯の問題か少々聞き取りにくいのが難点だ。


「えっと、内海櫂人26歳どこにでもいる社会人です!気が付いたら此処にいたんで場所についてはわかりません!」


機嫌を損ねてパクリといかれたらたまらない。

聞かれたことに対して簡潔にハッキリと返答する。社会人になって報告の仕方でネチネチと小言を言われて鍛えられたことがこんなことで役に立つ時がくるとは、人生なにがあるのかわからんな。


「転移の類か?まぁいい、状況を確認しなければならん。人間、この部屋を隈なく調べよ。・・・妙な真似はするなよ、我が牙にかかりたくなければな」


そういって目の前のドラゴンは口の端を釣り上げる。ドラゴンという生き物の威容と相まってその迫力は筆舌に尽くしがたい。嵌りすぎにも程がある悪い笑みだ。THE・ドラゴンスマイル!


「すぐに調べさせて頂きますですハイ!」


高速で周囲の捜索を始める俺。

凄んだドラゴンの圧は半端じゃなかった。心の片隅で夢かなとか思っていたのが全部吹き飛んだ、これはまぎれもない現実だ。

そうである以上この場でドラゴンに逆らうのは危険すぎる。夢だったら鱗とか角とか爪とか触ってみたかったのに、畜生。

今、俺がいる場所はずいぶんと広い洞窟のようだった。辺りは岩肌がむき出しになっており、縦横100メートル程度、高さは5メートルちょっとだろうか。目の前のドラゴンは横幅はともかく高さが足りていないようで、窮屈そうに身を屈めている。またちょうど俺の後方数メートルのあたりに人が2人ほど通れそうな大きさの木製の扉がついている。


サブカルチャー方面への知識もそれなりにある身としてはこの状況はもしかして、とも思うのだがそちらは考えないことにする。


「扉がありますけど向こう側見てきましょうか?」


ドラゴンのサイズからいってあの扉は通れないだろう。そちらの捜索に出られれば逃げることも可能かもしれない。


「いや、我の背後の捜索をせよ。あまり考えたくないことではあるが此処が当初の予定通りの場所であれば管理者がおるはずだ」


ドラゴンからは逃げられない!しかし、協力している間は大丈夫だろうしまずは捜索してみるか。

しかしデカいなードラゴン、全長80メートルくらいあるんじゃないか。


キョロキョロと辺りを見回しながら部屋後方へと歩を進める。

岩肌のところどころに生えている苔のようなものが微かに発光しているため視界は十分確保出来ている。まさにファンタジーまっしぐらな状態だ。

目ぼしいものも無いまま、ドラゴンの尻尾の先、広間最後方へたどり着く。そこには祭壇のようなものがあり、石造りの簡素なそれの上に、こぶし大ほどの黒色の球体が鎮座している。


「んー、なんだろうこれ。台座に玉??すいません、なんか黒色の玉を見つけました。どうしますー?」


なにが逆鱗かわからんからな、報告して相談だ!余計なことして敵対フラグ回収とか怖すぎる。お肉をもっていれば仲間にできるかもしれないのに…いや、一度倒さないといけないから無理か。


「黒い玉?ダ…ジ………アか?それならば守護者はどこに…人間よ、見てみないことにはわからん。見つけたものをこちらに持って来い」


一部聞き取れなかったが心当たりがあるようだ。落としたら割れそうだし慎重に持っていくことにしよう。

そう思って俺が黒い玉へ触れた瞬間、玉が激しくフラッシュした!



ダンジョン名 名もなき洞窟 

 ダンジョンコアLV1 

1階層

配下 ドラゴン

保有DP 89,000DP 

発生DP 10,000DP/月

ダンジョンマスター カイト・ハヤミ 人間族


一瞬の閃光の後、目の前に浮かんだ文字列。

そして手に取った瞬間に流れ込んできた知識がなによりも雄弁に物語ってくれた。

俺が、何者なのかを。何者に成ってしまったのかを。


其は迷い惑わすもの

其は昏き闇に生きるもの

其は誘惑し破滅を誘うもの


ダンジョン。

そう呼ばれる異界を纏め、管理し、発展させるもの。


その名は――


「ダンジョン・・・マスター・・・・・・」


無意識に出た声は掠れていた。

手の中のコアとの繋がりが、その事実を否応なく肯定していた。

なんてこった。たまたま電気屋のワゴンセールで自分だけのとか、無限のバリエーションをとかのありふれたキャッチコピーについつい惹かれて買ったゲームでまさかこんなことになるだなんて。モンスターも弄れる仕様に釣られなければこんなことには・・・


「ダンジョンマスターが居たのか?人間。やはりここはダンジョンだったか、我はダンジョンマスターと話しがしたい、連れて来てくれ」


ドラゴンの声が聞こえる。先ほどまでと違って、怯えの感情は浮かんでこなかった。

それもそうだろう、此処はダンジョン。この場においての絶対者は――俺だ。


・クエスト 配下との契約を完了させよう! 

 報酬 1,000DP

 

ピロン、という軽快な音と共に視界の端に新しい文字列が流れる。

配下というのはドラゴンのことだろう。ダンジョンマスターとしての初仕事は、あの偉そうなドラゴンとの契約からのようだ。

ドラゴン!胸が熱くなるな!!

成ってしまったものは仕方ない。ダンジョンマスター、前向きに検討しようじゃないか。

ダンジョンマスターならやはりモンスターで一杯にしないとな、仕事だから仕方ない。決して趣味になんて走ってない、あくまで仕事だヨ!


今は小さい洞穴だけれど、せっかくマスターになったんだ。

最高のダンジョン、造ってやろうじゃないか!

とにかく挫折せず「書き続ける」ことを目標に頑張っていこうと思ってます。

読んだ人が面白いと思って頂けるようなものを目指して精進していきます。


コンゴトモヨロシク!

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