第10話 愚者の深淵3 我が眷属
第195階層、愚者の深淵はまだまだ続いていた。タツヤは威圧を使う事をやめ、軽くモンスターを駆逐していた。タツヤのレベル5389だった。
第350階層、まだまだ続いているダンジョンをタツヤはサクサクとすすんでいる。ここの平均レベルは3800。しかし、タツヤにはただの雑魚と認識されていた。そしてタツヤは思った、
「あれ?そう言えば、音速とか光速で移動してんのに周りに被害が無くね?」
と。しかしタツヤは思うだけで特に何もしなかった。そして、タツヤは知らないのだが周りに被害が無いのは『神族』となり神に成った為である。神龍などを除いた神は周りに被害を出さない特殊スキル[世界乃崩壊反対]を持っている為、タツヤもそうなったのだ。因みに魔王もこのスキルを持っている。
そして第1000階層。平均レベル10000の階層となった。タツヤのレベルは23681だった。余談だがダンジョンのモンスターは外に出ることが出来ないから地上の人々は安心安全である。
タツヤは第1000階層のボス部屋の前へと来ていた。タツヤは扉を開ける。その中には……………………あの日タツヤが助けられた白狼が血塗れで倒れていた。その部屋の中にいたボスの名は『裏切乃熾天使』。レベルは……999999999999999999。正真正銘の化け物だ。タツヤは『熾天使』に小手調べの一撃(フルパワーの2000億分の1)を放った。
ギィン!
「っ!?」
しかし、それは熾天使の左手の剣で覚醒して初めて防がれ、タツヤは反撃を食らい、そのままぶっ飛んだ。
普通ならここで死ぬか諦めるだろう。しかし、タツヤは違った。
「ハハハハ!ハハハハハハハハハハハハ!良いねぇ♪良いよ良いよ良いよ良いよ良いよ!初めて反撃をもらったよ!やっぱり戦いもとい殺し合いはこうじゃなきゃなァ!」
笑った。そう、普通なら即死級の反撃を受けて笑ったのだ。それもそうだろう。なぜならタツヤは今までで最高の相手に会ったのだから。そして、タツヤは呟く。
「ちょっと力をだしてみるか………」
タツヤはスキルを発動した。発動したのは、【身体強化】【魔力身体強化】【魔鎧術】【魔武】。そして、ある魔法を解除した。それは【重力魔法】。タツヤはいつも地球の重力の50000倍でかけている魔法を48000倍まで落とした。準備を整えたタツヤは熾天使に向き合う。
そして、
パンッ!!!!!!!!
ギィン!ギィン!
何かが弾けるような音がし、部屋の中央で金属のぶつかる音がなり火花がちっていた。
タツヤが突きを放つ!が熾天使はそれを避け、右手の剣で袈裟に斬撃を放った。タツヤはそれを戻した刀で切り上げるが熾天使が左手の剣で斬撃を放った。タツヤはそれを魔鎧を使って受け止め、左脚で蹴り飛ばす。
「GOOAA!?」
ドゴォオン!!!!!!
熾天使はそのままぶっ飛び、壁に当たり停止した。タツヤはそれを確認すると
「魔法を使ってみるか…」
と呟く。そして、それを聞いていたかの様に熾天使が立ち上がり黒い太陽を出現させた。タツヤもそれを見ると魔法を放った。熾天使も同じく魔法を放った。
「《太陽神槍Ⅱ》」
「GOOOA!!」
そして、タツヤと熾天使のいる場所の中央で黒い太陽と灼熱の稲妻の槍がぶつかる。その瞬間部屋が光に包まれた。
そして、光が収まった時、熾天使に灼熱の稲妻の槍が刺さっていた。タツヤは無傷だった。
パチン
そしてタツヤが指を鳴らす。すると槍が爆発し熾天使は消え去った。
タツヤはすぐに白狼のもとへ向かった。
「回復させるからな」
フルフル
そして回復させようとするが白狼はそれを許可しなかった。タツヤはもう一度訊いたがそれでも白狼は回復しようとはしなかった。そのまま白狼は目を閉じ、動かなくなった。タツヤがどうしようか考えていると白狼から光が放たれた。そして光が収まった時白狼のいた場所に卵が落ちていた。
「は?何だよこの卵!?あれ使えばわかるか!?」
タツヤは突然の事に驚きながらも冷静にこれが何なのか調べる事にした。そのため、スキルを使うべくタツヤは詠唱を始めた。
「『全ての叡智を 我がもとへ 【世界樹乃書庫】』」
タツヤの詠唱が終わると目の前に黒革に金で装飾された本がでてきた。これこそが【世界樹乃書庫】である。この出てくる本のデザインは人それぞれ違い、権限レベルに応じてその本で閲覧できる範囲と条件が決まっている。タツヤのレベルは神皇限定のEXのため何時でも何処でも条件無しで使える。その上、コピーも出来る。因みにだが勇者の中にも【世界樹乃書庫】をもつ者がいた。しかしレベルはFだったため人類の使える魔法全てがわかる程度だった。
タツヤはさっそく調べるために開きながら呟いた。
「さっき狼は何なの?」
そして開いたページには……
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
エンシェントフェンリル
世界に一体しか生息しておらずその強さは上位神獣程度。白銀の美しい毛をもつ狼。古代とついているが長く生きたフェンリルがなるわけではない。また、死亡すると光に包まれ、卵がその世界の何処かに出現する。が、気に入った又は従いたい者がいた場合にはその者の前に出現する。込められた魔力の質によって産まれた時の強さが変わるが大体上位神獣程度。最弱でも中位神獣程度だった。
もしエンシェントフェンリルに選ばれたのなら直ぐに魔力を込めるべし!
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
と書いてあった。タツヤはそれを見ると直ぐに卵に魔力を込め始めたが、
「神力も入れたらどうだ?」
という馬鹿な考えを実行し始めた。
30分後、卵が孵った。中から出てきたのは白銀の美しい毛をもつ狼ではなく白銀の毛と金の毛が少し交ざった黒目の狼だった。タツヤはその狼を鑑定した。そして、その狼の種族は
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
超越セシ神乃狼
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
となっていた。タツヤは意味がわからなかったので助けてユグドラシル先生を使った。その結果、
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
超越セシ神乃狼
新種。滅茶苦茶強い。超越神タツヤの魔力と神力を吸収して育った。タツヤ大好き。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
新種だった。まあ、そんな事を気にするタツヤではなく、狼をモフっていた。そして、ユグドラシル先生の説明をみて思い出したスキルを使おうとするのだった。
「なあ、俺の眷属になるか?」
「ワンっ!」
特殊スキル【眷属化】。タツヤが使おうとしているのは自らの血を与え、魂の繋がりを強くし、何処でも召喚したりできるものだ。召喚魔法やモンスターテイムとは違う。現在このスキルはタツヤしか持っていない。
それはともかく。
狼ちゃんはタツヤの眷属になることを望んだのでタツヤは自分の指先を切り、【眷属化】を開始した。
「『汝、我が眷属となり 我と供に歩め 汝の名は《十六夜》』」
「ワンっ!」
タツヤは狼ちゃん――十六夜に血を飲ませた。その事によって十六夜の目が金になった。こうしてタツヤは旅の供を手に入れた。
ちょっと無理矢理な気がします。
あと、書いてる途中でデータが消えて泣きそうになりました。