お母様と義理の娘
「おかあちゃん、おかあちゃん」
と駆け込んでマーブルと一緒に家の鍵をかける。
「クロード、絶対あけるなよ」
マーブルが念を押すが、クロードの顔を見るにつけ、なぁんか信用できそうもない。
しかも奥のほうでは、なんだか妙な声が・・・・・・。
マーブルいやな予感。
「あがが・・・・・・」
マーブルは目ン玉が飛び出しそうなほど驚いた!
なんと奥様、オーストリア兵を連れ込んでいちゃついておるではないか!
「げっ、帰ってくるの、はや! お、おかえり」
いや、にこやかに言われても・・・・・・。
しかも、げっ、ってなに!?
ああ、また暴走の予感!
「お、おくしゃま・・・・・・」
マーブルがガクガクブルブルと震えていった。
「不倫でしゅか!?」
「違います!」
お、断言した。
「あ、ああああのね、これにはわけが」
「どんなわけじゃ・・・・・・」
「このヴィリ(ヴィルヘルムの略)が、あたしを捕虜にしようっていうんで、お願い、連れて行かないでって言ったのよ。そしたらこうなって」
マーブル、立ち寝。
「ぐごー、ぐごー」
「ええい、聞きなっサーい!」
「いやじゃ」
とまあ、そんな問答をしているうち、どえりゃー勢いでドアが蹴破られそうに。
「マーブル、マーブル、キアラがきちゃうよぉ!」
だから、なんでうれしそうに叫ぶのだ。
「ぬ? キアラって誰?」
カエデ嬢は服を着るとクロードに尋ねた。
「俺の彼女〜」
「あんた、いつの間にそんな子つくったのよ! 変な子だったらかあさん、ゆるさないわよ!」
とうぜん、許してもらえるような尋常な子ではなかった・・・・・・。
ばっきゃ〜!
とばかり、キアラがドアを蹴破り、なぜかチェンソーもって現れた。
「おいおい、斧じゃないんかい」
マーブルはカエデ嬢のスカートにもぐりこんで猫のフリ。
「あっ、きったねー!」
マーブルをなじるが、それより早く、キアラに首を締め付けられた。
えええ、絶体絶命!?
しかもヴィリはヴィリで、パンツ一枚で窓から逃げ出した。
あんたホンマにブルガリア兵か!?
「覚悟しな〜、ふごー、ふごー」
キアラ、鼻息も荒くクロードに襲い掛かる!
「あんたはジェイソンか・・・・・・それよりわが息子を離すのだ、去れ魔物! メリンにかわって、この私がリーガンの悪魔を祓う!」
まてぃ、カエデよ。それじゃまた話が・・・・・・。
「ごちゃごちゃとうるさいわねぇ、お・ば・さ・ん」
お・ば・さ・ん、お・ば・さ・ん・・・・・・。
カエデ嬢の頭の中を、ぐるぐるとその単語だけが蘇る。
「なろーっ、ちきしょーっ! 表へでやがれーっ!」
とうとう切れた。
あーあ、切れちゃったよ!
マーブルは踏んづけられて足跡くっつくし、クロードは首しめられたあとが残ってるしで、女同士の対決も間近だしで・・・・・・。
ああ、カカンボ父さん!
早く戻ってきて〜!
シンデレラ、覚悟しいや! バトルでッか。
それにしても、この話、ほんとにネタばっか!?